39=13+13+13
物語を加速させる役割。
「……首尾は上々」
紫煙をくゆらせる。
「植え付けた罪の咎」
指で弾く、1枚のタロットカード。
「狂い咲くのは、もうまもなく」
めくられたアルカナは、吊るされた男。
コンコン。
「……入れ」
「はい。失礼します」
ノックの音で思考の旅は中断。
開かれたドアから現れたのは、上品なスーツを着込んだ金髪の女性。
眼鏡越しからでも伝わる、強烈な眼光。
「報告します。吊るされた男のアルカナを、確保したと」
「ーーーーそうか。では、手始めに」
葉巻を灰皿に押し付け、ゆっくりと手を組む。
「ずばり、聞こうか」
組んでいた手を、ゆっくりと離す。
「……私で宜しければ」
机に広げていた書類。
田中 勲の写真付きのプロフィールを指でトントンとゆっくり叩く。
「……高齢者。年寄り。聞くが、何故だ?」
「…………何故と申しますと?」
「はっきり言おう。脱落候補だ。それも、序盤か、或いは……」
「……中盤に、元刑務官の経験を活かしルールの盲点に気付くも、そこで失われる命だと」
机をトントンと叩く指が、止まる。
暫しの静寂が、部屋を包む。
「……君の独断かね?」
「…………この物語を盛り上げてもらいます。彼には、それだけの資格があります」
「……ほう。それはそれは。とんだ大穴だな」
新しい葉巻を取り出し、カットする。
そして、ゆっくりと火をつける。
「吊るされた男は、変わらん」
吐き出す紫煙に言葉を乗せる。
小さく息を呑む音が聞こえる。
「……必然なのだ。選ばれたのも、選んだのも」
「これで、3人目ですね」
葉巻を吸い終え、灰皿に押し付ける。
時計の長針と短針が踊り、砂時計の砂がさらさらと零れ落ちる。
死神と、魔術師と、吊るされた男。
生き残るのは、はてさて。
「…………全てはアルカナの導きのままに」
「………………はい」
部屋の主は消え、残るのは紫煙のみ。
ただただ、紫煙のみ。
物語を終わらせる役割。




