毒牙
デスゲームまだー?
修学旅行前日の夜。
準備を済ませて私は家でじっと、見つめていた。
何をって? ……はは。うん。あれだよ。
街で会った占い師のおばあさんが渡してきたタロットカード。
今はネット時代。
少し調べれば、初心者でもなんとなくわかる。
魔術師のアルカナ。逆位置。
正位置じゃなくて、逆位置。
……うん。効果とか意味は割愛するね。
だって、恥ずかしい。
知ったかぶりして、痛い目にあいたくないから。
お守り代わりにって言ってたけど。
わざわざ修学旅行に持って行く必要、あるのかな?
でもね、うーん。気のせいだといいんだけど。
…………ふぅ。私もまだまだ子供だなぁって。
でも、カード1枚だけ持って行くのも、ね。
入れ物、入れ物、どこにあるかな。えっと。
仕方ないから昔買ったトランプの箱から拝借することにした。中のトランプを抜いてっと。
うん。蓋がパカパカして外れないか不安。
輪ゴムでも巻こうかな?
次の日。
荷物を持って、集合して、修学旅行のバスへ無事乗り込んだ。
隣の席は? アルマだ。
ちょうど真ん中から少し前の右側の席。
アルマは通路側。私が窓側。
早速お菓子の包みを広げて盛り上がるアルマ達。
私は、なんだか……疲れていた。
体全体が、重たいというか、気怠いとはまた違った、不思議な感覚だった。
アルマに飴玉を渡されたけど、後で食べるねと言って、目蓋を閉じた。
ーーー起きたら、いつの間にか真っ暗だった。
え? 着いたの?
……重たい頭を軽く振って、バスの時刻を見る。
01:04。
えっと、なんで止まっているんだろう……
周りを見ると皆寝てるか、席がいくつか空いている。
どうやら、パーキングエリアみたい。
休憩かな? あ、そういえばトイレ、行ってなかったよね。
意識したら、トイレに行きたくなってきたのはずるいと思う。
隣で寝ているアルマを起こさないように、そろりそろり。とは言っても、何回かぶつかったけど。
焦る気持ちを抑えながらバスを降りて、トイレ、トイレ。
ーーー暗転。
ぷつりと、意識が途絶えた。
これはうろ覚えな記憶。
植え付けられたかもしれない、偽りの、本物の、記憶。
『……確……したか』
『間違いない』
『ーーー術ーーーのアルーーー』
『撤収……よ。繰り返すーー』
ーーー暗い。
これは塗りつぶされた記憶。
何も信じられない、裏切りの記憶。
まーだだよ。




