調和の糸
たぐり寄せて
結局、押し切られちゃった。
なんとか理由をつけて断ろうとしたけど、無理だった。
気が付けば、アルマの家の前。
インターホンを鳴らす。
ただ、それだけのことなのに。
…………逃げ出したい。
だから、押さずにその場から離れた。
そうすれば、どれだけ楽だろうね。
そんな私を、アルマは軽蔑するだろうね。
だから、鳴らした。
待つ間、心臓が強く響いて。
少しして出てきた声は、アルマのお母さん。
出迎えてくれて、そのままアルマの部屋まで連れて来てくれて。
だから、私は今ここにいる。
アルマの部屋で、アルマと2人きりで。
「……移るよ。風邪」
「うん。……知ってる」
アルマは布団に横になったまま。
少し顔は赤くて、氷枕を乗せていて。
ピンクのパジャマは汗で少し張り付いていて。
「……なんで、来たの、って。……ううん。…………ごめん」
「私も、ごめんなさい。もっと、言い方ってあったから」
お互い、これだけの言葉を言うのに。
なんで、こんなに遠回りしちゃったんだろう。
「私ね。どこか油断してたのかなって。ずっと思ってたの」
「油断? それって」
「んーっと、なんていうのかな。上手く言えないんだけど」
アルマがいつもより少し遅い会話のペースで。
唸ったり、あーでもないこーでもないって言いながら。
「オヴェリアが好きなものは私も好きだと思っていて、私が好きなものはオヴェリアも好きだと思っていた。……うん。そういうこと」
「……? どういうこと?」
「わっかんないかな〜」
うーんと。
ごめん。それって、私達の好みがってこと?
それはない。私達は好き嫌いは違うことの方が多い。多分。きっと。おそらく。
「こうしてさ、風邪でダウンしていた時だったからこそ、気付けたんだと思うんだ」
「それって?」
アルマが氷枕をどかして、顔をこっちに向ける。
「私、オヴェリアに甘えていたんだなって」
「アルマ……」
「オヴェリアがあんな事あったのにわざわざ来てくれたじゃん? 私が同じことをやれって言われたら、すごく迷ったと思う。これ正直に言ってるからね?」
「…………そうなんだ」
「だからさ、オヴェリアはすごいなって」
ズキリ。
違うよ。すごくなんか、ないよ。
だって、私……私ね。
「プリント、ありがとね。早く治すから。あー、京都まで間に合うかなぁ〜!」
アルマと別れ、アルマのお母さんからの夕飯のお誘いを何度も断り、外に。
帰り道。
私は意識を保つことに精一杯だった。
アルマ……違うんだよ。
私、何度も。じゃないよ。
すぐに、断ろうとしたんだよ?
私は、すごくなんかない。
ほつれて




