EP1:本当に好きなものが手に入らない人生
いいですよね、デスゲーム。
「あー、しんど」
日雇い派遣のバイトが終わり、作業報告のメールを帰りの電車で打ち込む。
相変わらず座れない電車の座席。
はしゃぐ親子連れの子供。
ベビーカーの赤ん坊。
うるせぇな。
そんな喉から出かかったつぶやきを飲み込み、俺はスマホをポケットにねじ込む。
「なんで、こんな人生なんだろうな」
電車の中吊り広告に目をやると、やれ政治家が裏金だの、芸能人が浮気だの、心底どうでも良いことばかり。
そして、胸をチクリと刺す痛み。
○○○大賞受賞作品、アニメ化決定!の広告を見て思わず目を逸らす。
「……今年で38か。俺、今まで何やってきたんだろうな」
電車が最寄駅に着き、ドアが開く。
おっさんの虚しい独り言には誰も耳を貸さない。
それが、この世界の掟。
帰り道。足取りは重い。
道の小石を蹴飛ばす気力もない。
財布から自宅の鍵を探している時、やっと1日が終わるのを実感する。
扉を開け、服を脱ぎ捨てる。
腰が痛い。何もしたくない。
でもスマホだけは手放せない。
明日のバイトの詳細を確認する。
乗り換えるルートを調べる。遠い。舌打ち。
目覚ましをセット。5個。それぞれ5分ずらしで。
「…………こんな、はずじゃなかった」
手に入らないもの。
ただただ、情けない。
泥のように眠りたい。でも疲れ切っているとかえって寝られない。
苦しい時間…夜は嫌だ。
何もしたくない。
生まれ変われたら。
やり直せたら。
今流行りの異世界にでも行けたら。
そんな奇跡は、起こらない。
何もかもが嫌になったこと、ありませんか?




