表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
完結 吾輩は捨て子猫である ~動画投稿でご主人を救う恩返しにゃん物語~  作者: カトラス


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/101

第42話:もち、モデルデビューの危機!?

【もち視点】


 吾輩は、もちである。

 つい先日、商店街で“出演依頼”なるものを受けたばかりなのだが、今度はなんと――


「もちー!おしゃれしてー!ポーズ決めてー!」


……という、ご主人の奇声とともに、吾輩は妙な布を頭に乗せられていた。


「はい、シャッターいきますよー!にゃんモデルさん、カメラ目線お願いしまーす!」


 ぱしゃぱしゃぱしゃ!と、ご主人はスマホを連写する。

 しかも頭に乗っているのは、どうやら“唐草模様の風呂敷”。泥棒猫スタイルらしい。なぜ今それなのだ。


「これで、商店街のチラシに使えるかも……って!えっ?まさか、もちって“撮られるの苦手”だったりする!?」


 当たり前である。


 吾輩は慎ましくも自尊心をもつ猫だ。あくまで自然体の魅力で勝負したいのであって、“被り物芸”などで売れるつもりはない。――しかし。


「ねえ、もち……こんなに可愛いのに、この魅力が紙面で伝わらなかったら、ちょっと悲しいでしょ?」


 うぅ、そんな目で見ないでくれご主人……。


 吾輩はうっすら目を閉じて、撮影に応じることにした。これが吾輩の、芸への“妥協”である。


 だが、この日の試練はこれで終わりではなかったのだ。


【みのり視点】


「……あのぉ、まさか本当にチラシに使っていただけるとは思ってませんでした!」


 商店街の事務所で、私は店主さんたちに深々と頭を下げた。

 撮ったばかりの「もち唐草ショット」が、なんと夏祭りのPRポスターに採用されることが決定したのだ。


「この写真、反応いいよ!通行人が立ち止まって見てくれるんだよね。もちちゃん、表情が絶妙でさ」


――うそぉ。あの表情、たぶん我慢ギリギリの“我慢顔”だと思う。


「ついでに、近所のペットショップさんがね、もちちゃんを“新商品のモデル猫”にって……どうかな?」


「モデル猫!?」


 商店街のポスターどころか、モデルの話まできてしまった。

 私は帰宅後、もちにその話をそっと切り出した。


「もっち……すごいよ、ついに商品パッケージの猫になるかもよ……!」


――その瞬間。


「……うにゃああああぁぁぁぁぁぁん!!(断固拒否!!)」


 もちが全力でごろんと転がり、両前足を交差して抗議のポーズをとった。

 耳が寝てる。完全に不服の顔だ。


「も、もしかして……モデルってのがストレスだったの……?」


 私はもちの頭をなでながら、深く反省した。


「そっか、ごめん。もちは、ちやほやされたいんじゃなくて、ただ一緒にいたいだけだったのよね……」


【もち視点】


 やっとわかってくれたようだな、ご主人よ。

 吾輩は“猫らしく”生きたいのだ。モデル? タレント? 見栄えより中身、可愛さより信頼。

――いや、まあ、ちゅ~るのCMくらいなら考えてやらんでもないが(小声)。


【みのり視点】


 その夜、私は商店街に丁重にお断りの連絡を入れた。


「もちが疲れちゃってて……。今回はチラシだけでお願いします」


 本当はチャンスかもしれなかった。

 でも、もちは家族だ。ビジネスより、笑顔で一緒に過ごす時間の方が大事。

 テレビも動画投稿も、やりすぎちゃダメだって、もちが教えてくれた気がした。


 私は唐草模様の風呂敷を外し、もちにふわふわのブランケットをかけてやった。


「ありがとう、もち。今日もいっぱい頑張ったね」


【もち視点】


 吾輩はご主人の腕の中で、そっと目を閉じる。

 人気なんてものより、ご主人のぬくもりがいちばんいい。


 そして――


「明日からはまた、自然体のもちでいこうね」


 うむ。それが、吾輩のポリシーである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ