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神崎の拗らせ、失態を演じる


七瀬…またナンパされている。


綺麗な花には虫が寄ってくると言うが、スズメバチだと殺虫スプレーが必要だ。


七瀬が気づく前に…手遅れだ…手を振ってる。


くっ殺虫剤入手失敗!


「待たせたな。」


俺は胸を張って彼女に挨拶した。髪の毛が立ったままだ。喰らえ顔面フラッシュ! なんて、そんなものはない。


「チッ、彼氏持ちか。」

奴らが花から急に飛

び去って行った。


ふっ、ただのコガネムシか。


「お帰り神崎君。」


「ただいま、七瀬。」


何このやり取り夫婦じゃん! おいおい、この花の蜜、全部吸うクマか俺?


なら何も要らないよな。あいつら俺にビビって立ち去ったのか。


だが俺は何もしていない。まさか漫画のチートキャラになって、何もしなくても強くなれるのか!


「七瀬! 俺は無限の力を手に入れたのだ!」



「神崎君って小学生? みっともないよ、そんな事言うの。」


「フフフ、今ならどんなやつでも倒せるぞ!」


「へー面白い事言ってんな。じゃあ俺とタイマン張るか?」



「望むところよ…!」


俺は口角を上げて、背後の男に言って、振り返った。


鬼……がおる…松岡…様ひぃ。ヤバい…殺される。


「駄目だよ、神崎君いじめたら、許さないから。」


七瀬が松岡を叱るように言った。


なにこの花…めっちゃ良い花! 大切にする!

…でも大丈夫なのか? 


「ふん。」

鼻を鳴らして鬼は立ち去ろうとした。


はは…さてはこいつ俺に友情を感じたか?

それとも花に弱みを握られてるのか?


俺は鬼を引き留め、明るく声を発した。


「おい、松岡俺と友達にならないか?」


「ああ? 勘違いしてじゃねーぞ。お前は俺の下僕だ。ダチだ? 舐めんな。」



鬼の眼球に衝撃を受けた俺は、すみませんでしたと即座に謝った。


…怖っ…心臓に悪い…調子に乗った。あいつは…はぁ…花の蜜を…吸って気分を変えなければ。


「神崎君、大丈夫? 顔色悪いけど。」


「大丈夫。七瀬の笑顔で疲れは吹っ飛ぶって!」


大丈夫なわけねーだろ! 再起不能寸前。だが笑顔を見て癒しを…あの鬼のイメージがチラつく。浄化せねばなるまい。


「ふふ、なぁに? それ。告白のつもりかな?」



えっ? なんでそうなる? まぁ良いや。今はそんな事より、女子と会話して気持ちよくならなければならない。


でも答えは? これそうだって言ったらお付き合い始まるのか? 駄目だ…俺には勉強という人類を救う大賢者よろしくの、指名がある。


……


うん、そうだよ。そう言えば良いのに言葉が出ない! こんなにプライド高いのか! 俺は!


「あは、そんな訳ないよね。ごめん、今の忘れて!」


ああぁー! そうじゃないんだー!

まだ間に合う…もう少し待ってくれ!


「七瀬〜。時間だよ〜私と変わってー!」


何! モブ子が黙ってろ、いいとこだ!


「は〜い! 私行くね。今日はありがと! 文化祭楽しんでね!」


うわー! 世間は俺の決断を待ってくれないのか! 優柔不断に冷たい世界だ! あまりにも!


ちっくしょう! 駄目だ…このままじゃ年齢=恋愛歴なし…一生人類の為に尽くす人生になってしまう! 


待ってくれぇぇ〜七瀬!


「なぁに? 神崎君。」


しまったぁー! 心の声が出てしまった!

たまに心の声が漏れるのなんでだ。


いやそれよりなんて返事する? ここはチャンスを掴んだんじゃないか?


告れば人生薔薇色が待ってるんじゃないか? 良し言うぞ! はぁー!


「七瀬! 俺と勉強友達になってくれ!」


「…うん、良いよ! 勉強一緒に頑張ろ!」


彼女の微笑みが天使としか言いようがないほどの松岡のストレスを吹っ飛ばすほど、可愛いくて…惚れてしまうだろそれは!



いや、それより、なんだよ! 勉強友達って!

勉強なら俺1人で充分だろ! 


ああー! 千載一遇のチャンスを自分の手で握りつぶした!



だが落ち着け俺。よく考えろ…まだ俺は中2だ。3年なってもまだ1年ある。その間に…いや、駄目だ。遅すぎる。


俺は男子校に行くつもりだった。高校行ったら離れ離れ。スマホで連絡取れるとはいえ、七瀬が別の男を好きになったら? やはり側にいないはリスクが高すぎる。



どうする? 決まってるだろ、俺が今何をすべきか!


占いで俺と七瀬の相性占いチェックだ!





七瀬との相性占い87%…中途半端だな。そこは100%にしとけよ。ケチんなよ!


語呂で読むとやな結果…いや、相性占いは腐るほどある。いっぱいして…いや、それは悪手だ。これより下があったらどうするんだよ。


さて相性占いも終わった。次の手を考える。


よしこれだ。俺から告白するのはプライドと、恥ずかしさで不可能。


だとすると七瀬から告らせる作戦を打つしかない。



例えば俺が七瀬を好きだと言う噂を流す。そうすると七瀬の耳に入り、俺が好意を持ってると知る。


そしたらあとは神崎君、噂本当なの? 私が好きって噂。



煙のないところに火は立たないだろ?


やったー! 私も大好き! チュチュチュのチュ…完璧だ!


あれ? しかし噂立てるには友達いないと無理じゃないか? あー後藤だけじゃねーか。てか無理だろ!


噂をすればなんとやら。後藤が再び俺の元にやってきた。


七瀬のメイド姿に見惚れてたいんだがな。


「何の用だ?」


「ポエムを作ったんだ。まずはお前に見せて評価して欲しい。」


 

やっぱりこいつも変わってる。ポエムが悪い意味で使われるのこう言った輩のせいだ。害悪俗に言う、賢い天然。


「聴かせてみろ。評価してやる。ちなみに無料でやる。本当なら金取るレベルだ。」


「なんでだよ! ポエムを聴くのに金取るつもりのやつに初めてあったぞ!」


「俺は忙しいんだ。勉強に恋愛…いや恋愛?」


「なんだ、神崎も好きな奴がいるのか?」


「いや、好きかって言われると微妙かな。」



「七瀬と手を握ってたな。それで惚れたのか。」



人のプライバシーを覗き見するとは、こいつ、ただもんじゃない。ポエムを聴かせる上に人の恋愛まで首を突っ込むなんて、ぬらりひょんだな。あの妖怪のようにふてぶてしい。



お札で消えないかなこいつ。


「どうとでも考えれば良いさ。それよりポエムを聴かせてくれないか? とっても楽しみだよ。」



ふん、ポエムを聴いたら、消えると踏んだ。どうだ、俺の言い方は。配慮し過ぎて180℃違うから、洞察力高いこいつは、ポエムを聴くの嫌なんだと察するだろう。


「ありがとう。やっぱりお前は良いやつだ。」


咳き込んでポケットから紙を取り出し、後藤が両手に広げて、ポエムを読んだ。



あーあー。君を見た時まさに女神という言葉が当てはまるほど、君は僕には眩しくて、ああ景色がまるで、宇宙の様に真っ暗で、それでも君の輝きで僕の心の中に光を灯してくれる。


ああ、君の美しさは女神なんてちっぽけな言葉では表せなれない。そう思うほど君は綺麗で僕に恋を植え付けるんだ。世界に君だけでも僕は構わない。君が好きだ。世界の誰よりも。



「どうだ? 良いポエムだろ?」



とりあえずなげーな。なんだって? 君が好きだで良いだろ。


「どうだった? 俺のポエム。」



「素晴らしい! 最高! 聞いたらその子も泣いて感動するよ!」


後藤のお花畑な頭にな! っと辛辣過ぎる。後藤が可哀想だろ。ポエム俺が書いたらどんな内容になるのか。


でもバカじゃ作れないポエムなのは確か。秀才だなこいつは。

  


「ありがとう…神崎ありがとう。俺…どうせ辛辣な事言われると思ってた…うぅぅ。心を込めて作ったポエムだから。感動…してもらえると良いな。」



「後藤! 大丈夫だ! 絶対感動してもらえる! 俺が保証するよ、自信持てよ!」


「神崎…お前は最高の親友だ。」


うーん…そんな辛辣な事言うわけないだろ。

ここが駄目、こうすると良い。ふん、それで腕は上がるだろうが、モチベーションは?



後藤をバカにする奴は許さない。モチベーションが上がれば下手くそも上達する。ふっ、俺ってやっぱり天才だわ。



さて後藤にはもう用ない。いや、初めから用などなかったが。俺が七瀬の事好きって噂をって話も何故か、こいつは俺が言う前に流しそうだし。


「今度神崎も…ポエム書いて聴かせてくれないか?」



なにぃ! こいつポエマーに誘ってやがる。待てよ…七瀬にポエムを聴かせてやるとどうなる? ポエム作戦で口に出さなくても済むじゃないか! 七瀬に読ませればいい。


面白い! 


神崎君このポエム大切にするね。ありがとう! 私も愛してる! キュンキュン。



いや恐らく…神崎君、恥ずかし過ぎるってちょっとごめん、怖い。


…これは…却下。引かれるな。


「いや、辞めとくよ。後藤を超えるポエム作るのは無理そうだからな。」


「ふっ、そうか。まぁポエム書いてみたくなったら、言ってくれ。アドバイス出来るかも。」


「ああ、分かった。じゃあまたな。」


「おう! またな。」


しかし、どうするか。七瀬に告らせる方法…黒板に相合傘書いて、神崎/七瀬って書いて、周りに認知…駄目だ! 筆跡で俺だとバレる。



こんなの漫画だけの世界だ。現実は、書いた犯人バレる。そもそも自作自演…告白より無理だ!



うーん、繰り返し作戦はどうだろうか?


俺さー自分から告白出来ないんだよね。


そうなの? 神崎君って意外に照れ屋なんだね。


俺さー自分から告白出来ないんだよね。


それはさっき聞いたよ、なんなのさっきら。私の話スルーしたいの? ちゃんと聞いてほしいな。



失敗! なんでだよ! 普通じゃないからだ、彼女は!


ふっ、脳内補完…試してもいないのにシュミレーションで失敗する。


行動力の無さ。だが失敗は成功の元。脳内シュミレーションで何千何万の失敗の先に、失敗を超えた現実の失敗が待っている。


あれ? 意味ねー!


どうすれば良いんだ。だが失敗するとしても、その中でマシだった方法取れば良いじゃないか。


よし続き…七瀬に告らせる方法。


今日エイプリルフール、嘘ついても良いんだってさ。俺七瀬の事嫌いで、好きじゃない。


なに、それ。嘘ついて良いからって私にそこまで言う事ないじゃん。


…なんで…ネガティブな負けになるんだ? 



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