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気づいたら俺、話術の天才?

ちょっと女子と2人で回ると緊張し過ぎて、トレイちけー。


「ちょっと七瀬トイレ行く。」


「うん、行ってらしゃい、待ってるね!」


チッ、可愛い奴め。まるで俺旦那様じゃないか。ふぉほふぉー!


さて、この無機質な地面本当心が暗くなるぜ。まるで俺の心そのもの。ああ、惚れ惚れするな。


ん? あれは女子軍団! うわー逃げろー! いや隠れるんだ。


おっ! あそこにちょうどいい隙間が。


あれ? 抜けれなくなった…なにこれ?



「なぁー! 私の彼氏さ、七瀬に取られんだけど!」


「私もだよ。私のこと好きとか言って、七瀬に告ってやがった!」


「締めてやろうぜ。トイレ連れ込んでさ。」


「いいね! それ。」


女子軍団が楽しそうに喋りながら、廊下で七瀬に危害を加えるような事を言っていた。


なんだと。とんでもない情報を掴んだ。



「あいつダサい神崎と一緒だったけど、神崎なら全然怖くないね。」



ああ? 何コケにしてやがる! 舐めた事言ってるな。残念だったな。俺には松岡王を味方につけてるんだ。君たちなぞ恐れすら感じない。


うぉー抜けた。この狭いんだよ。


よし俺は女子軍団に向かって胸を張って向かって行った。


女子軍団が気が付いたな。


「あんだよ? 盗み聞きしてやがったのかよ?」



ふっ、子犬がキャンキャン吠えてやがる。


この子犬怖い…なんなんだこの咆哮は!


出てきたは良い。だが口がパクパク…声が出ない。


「ふん、こいつビビってやがる、ウケる!」


腹を抱えて女子の1人が爆笑していた。


おおお! 調子に乗るな! このぁあ!

俺は手を握り締めて、歯に力を込める。



「俺は怒りに震えてるんだ! 七瀬を傷つけるだとそんな事して、何になるんだ!」


先手必勝、舐められないように声を荒げて言う。


いや、正直七瀬より俺の悪口が腹立つ! だがそれを言うより、七瀬を口実に叱り飛ばしる方が説得力あるからな。


「あん? 関係ねーだろ! 調子乗んな!」


すみません。調子乗りました。さようなら。はっ!  


俺は無言でこの場を立ち去ろうと踵を返した。


俺は振り向いた先に七瀬がいるのを見て、すぐに女子軍団に向き直した。


やべー! 俺が叫んだから、駆けつけて来たんだ。ここで逃げたら七瀬にバカにされる! 女子相手にププ逃げたんだ!


かぁー! 許せるかそんなもん!


「関係ない? 俺は彼女と約束したんだ! 傷つけるやつから守るってな! 彼氏取られただ?」


「そんなもん、自分の魅力上げて七瀬を見返せよ! ダセェよ! 逃げんなよ! お前らの魅力自分で否定するなよ!」


「あ、うん。神崎の言う通りだ。」


女子のリーダーらしき女子が、目に涙を溜めて言う。それを見た他の女子が驚いて口を開けていた。


「すみません。」


続けて他の女子も俺に頭を下げる。



「だね。神崎君…カッコいいね。私らに正論言えるなんて。見直した。ごめんなさい。」


相乗効果? の様に全員が謝罪の言葉を口にする。


なんだ? これは何が起こってる? 女子軍団が急に大人しくなりやがった。



確かに正論だが、そんな俺力こもってたか? はは、俺は話術の天才かもしれない! 


女子軍団にその後も俺の話術を披露して、少し和やかな雰囲気になった。


女子達の機嫌が直りつつあった。惚れ惚れする! なんて天才なんだと思う反面、ストレスで目が回りそうだった。


…ん? なんでリーダーだけ泣いてんの? 他の2人はまだ納得してない顔してるけど…。


リーダー格が納得すると、他のメンバーも大人しくなる? いや、そんな偶然あるか?


…いや、でも何かおかしいな。そもそも、俺、どうしてリーダーに刺さる言葉選べたんだ?


うわ! 誰か抱きついてきたぞ! 何者だ? まさか女子軍団の元彼? ごめんなさい! 殺さないで。


「神崎君! カッコいい! 私の事守ってくれるとか…、大体把握したよ。庇ってくれたんだね。」


なんだ七瀬かよ。感触は悪くない。背中の…な。



「悪い、七瀬に八つ当たりしようとした。そしたら神崎が私たち叱った。真剣に…胸打つよ。マジ。」


「先生でも言わないよね。神崎、先生やりなよ、転職!」

  

ふっ、なんだこいつら、チョロインかよ。あっ、さっきの隙間に挟まった時に隠した顔が見えてたのか。


俺顔は小学生の頃女の子に間違われるほど美形だからな…なるほど、やっぱり顔かよこいつら!


「そうだったんだ。神崎君…ありがとう。グスッ。」


何? 急に泣き始めた。君の為に頑張ったつもりないからね? 罪悪感出るから辞めてー。


「神崎君あのね、私…」


「ごめん、トイレ行きたい!」


くっ、すっかり忘れてたぜ。トイレ行きてーのに。邪魔だ君たち道を開けたまえ!


「神崎君待って、トイレ行く前に話聞いて欲しい。」


「話はトイレの後。CMでも見て待ってろ!」


よし、トイレまで後少し…頼む、俺の持ってくれよ! 


「おーい神崎。ちょっと話がある。」


「俺にはない。誰だ後藤か。」


「トイレで話そう。」



「分かった!」


ふぅ、間に合った。よし家帰るか。


「おーい、神崎どこ行くんだよ。話あるって言ったろ?」


「覚えてない。そんな事言ったか?」




「神崎お前、トイレと一緒に記憶を流すなよ。」


「なんだよ、金ならないぞ。金は貸さない。女子なら考える。」


「なんで女子なら考えるんだ。 それと金貸してくれとかじゃない。」



「愚問すぎる。男子に貸すメリットがゼロだからだ。俺が金貸せって言ったら貸すのか? 女子なら考えるだろ? 正直に生きろよ。」



「…そんなの事情によるだろ? ってなんの話だよ! 俺の話を聞いてくれよ!」


「分かった。スマホに内容録音しといて俺に送ってくれ。気が向いたら聴く。」


「それ、聴く気ないだろ? しかも急ぎの話だ。」


「なるほど、つまり恋愛の話か。さっさと告れ。さっさと告白の返事しろ。以上! さらばだ!」


「いや待て、雑だ! 雑過ぎる!」



「なんだよ。なんで俺なんだ?」


「友達だから…なんか俺にだけ当たり強くない?」


友達? こいつ勝手に友達認定してる。

いや、良いんだが…ふっさてはこいつ! 


俺と同じ友達ゼロか。ゴトーゼロ! 

ふっ、情けないやつ。


家に帰り…いや文化祭中で七瀬待たせてたな。マジど忘れしてたわ。


「悪い女子、いや女待たせてる。」


「何故言い直した? 仕方ないな。一緒に行く。」



いや来なくて良いぞ。このボッチさんが。いや、積極的過ぎる。さては裏ボスかこいつ。


実は松岡利用して影で裏工作してたのかも。悪いやっちゃ! 悪の匂いは…しないが。


「待たせたな。」


「むぅ〜。ふーんだ!」


腕を組んで、彼女が俺を見てわざとらしく顔を逸らした。



ご機嫌斜めだ。後藤のせいだ。おっ? これ語呂がいいな。


ご機嫌ななめ後藤のせい! せいや!


「なぁ機嫌直せよ。俺がスッキリしたんだから、喜べ!」


決まった! フィニッシュブロー! 俺の切り札。喜べ!


「何その、変な理屈。私は逆にスッキリ出来なかった当てつけ?」


「えっ? トイレ行けばいいじゃん!」


「はぁ〜神崎君、私頭痛くなってきた。」


うん? 保健室連れてけってことか。察しろと? 


俺が悩んでいると背後の存在感のない男が喋り始めて、ビクッと体が反応した。


「だろ! 神崎と話してると、カオスなんだよ。会話が通じないというかこの世のものじゃない感じがする。」



おい、後藤。それ言い過ぎだろ?

七瀬もサラッと同意してんじゃないよ。


「神崎君、気を取り直して文化祭まわろう。」


彼女が華奢な柔らかそうな手を差し出してきた。手を握れてと? 無理だ、好きになってしまう! 


だが、これは拒否は論外。女子に恥はかかせられない。触る! やましい気持ちはない。いや、かなりある!



俺はそっと彼女の手に触れ、感触を楽しんだ。


何か忘れてる気がする。んー? ああ、コレか…後藤、ついてくんなよ。気が散る。


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