文化祭準備と、俺の心の準備が足りない件」
俺は文化祭準備で七瀬と共同で手伝いをしていた。学力が近い者同士と言う事で、話も弾んだ。
文化祭の準備はっきり言おう! 脳内でな。
だるい! 勉強はするが、身体を動かす。俺はこれが苦手だ。
…七瀬と話を出来たので、許すとしよう。
「神崎君これ持って。」
七瀬の声はいつ聞いても幸せになる。かしこまりましたお姫様の言う通りに動きますよ。
七瀬が手を伸ばして、布の角を俺に手渡した。
上手く手に触れたいと思う反面、なるべく手に触れないようにした。
…女子慣れしてないサガ…か。この葛藤をいちいちするのは、我ながら情け無い!
他にも七瀬を手伝いたい男子はいたが、松岡との一件から、他の男子とは距離が出来ている雰囲気があった。
負い目というか、そう言ったものがあるのだろう。男のプライドか?
俺は助けたので、彼女との距離は近くなった。
親密になったというほどではない。そもそも俺は勉強に専念しているから、七瀬と近くなろうという気もなかった。
文化祭ぼっちにならなくて良かった。
他の女子も俺と後藤には今回の件で、好感度が高くなった。
やれやれ、モテてしまうな。そんな暇はないんだが。ハーレムになっている俺が目に浮かぶ。
髪型を変えないとか。髪切りに行くの面倒でずっと伸びてる。だが変えた途端、女子が寄ってくるんだ。
はぁー、やばいどうしよう! ああ、頬をが緩むぜ。
「神崎君、何ニヤけてるの? 良い事あった?」
「七瀬と仲良くなったことが良い事かな。」
「ぷぷ、なぁにそれ。口説いてるのかな?」
ひゃあ、可愛い。惚れてしまうだろ!
こいつめ! なるべく顔を見ない様にしなければ。
ここはなんていうか。口説いてないも失礼だし、かと言って、してる。はぁ? 恥ずかしくて、走り出してしまう!
ここは中間を取るか。曖昧にしてと。
「どうかな?」
うわー恥ず。何言ってんだ俺。
神崎君? 顔が真っ赤だよ? 熱あるんじゃ?
君のせいだぞ!
…いや。熱はないよ。
真面目な表情から、急に察したかのようにジト目で彼女が俺を見る。
そうか〜照れてるのか、可愛な〜神崎てば。
違っ! 俺は否定した直後後ろに転んだ。
大丈夫? 神崎君、動揺し過ぎ。
手を伸ばしてくれた彼女の手に触れる。
こんな幸せなことがあって良いのだろうか?
呆然として俺は立ち上がり、硬直していた。
「神崎君。」
「なんでしょ?」
手をいつまで握ってるのかな? もう立ち上がれたよ?
「あっ! ごめんなさい。俺は頬に手を当てて言った。」
「別に良いよ、さて文化祭の準備も終わりかな。私コスプレするんだ、楽しみ。」
良いのかよ! なら触るぞ! もう離したけど。
「神崎君、私が可愛い過ぎて倒れないでね?」
はい、俺も楽しみにしています! とは言えない。
「倒れないよ、でも…いや…うん。」
「うん? なんだね、神崎君誤魔化したな?」
いつもの俺じゃない! 彼女のペースに巻き込まれるな!
本当守ってあげたいって気になる…俺にそんな力はないが、彼女を見ていると、そう思わせる魅力があった。
「見てみないと判断出来ない、だろ?」
「よ〜し、倒れて貰うぐらい頑張ろっと!」
両手を上げて彼女が微笑んで言う。
本当可愛いぜ。俺は見なくても、もう満足じゃ…ジャー! 大切な事は2回言う!