イマジナリー妹爆誕!
お兄様! しっかりしてください! 傍観してるだけのお兄様は見たくありません!
君は…イマジナリー妹! 俺の妄想力が遂に限界を超えて爆誕させてしまった!
しかも顔が良過ぎる…この世の者とは…思えないほどに…誰にも言えない…自分の変態さに呆れてしまう。
このままではお二人ともわだかまりが出来ます! 今こそお兄様のすけべ心を発揮すべきです!
ウッ…この妹変わってる。でもすけべ心で君作った気もしなくはないから、当たってる…か。
ここは俺が出ないと…か。ふっ、仕方ない…ヒーローは遅れて登場だ。
「まぁまぁ2人ともその辺で、議論は終わりにして勉強会でもして、仲良くやろうよ。」
「はい、神崎先輩! 見事な仕切りですね! 裁判官みたいです!」
手を叩いて後輩ちゃんが微笑む。
ええっ? そこまで褒める? 七瀬の立場ないよそれ! でも言えない。言っても無意味だから。多分。
「…凄い腹立つ! 男子に媚びってさ、イライラするー!」
口を尖らせて、七瀬が不機嫌な表情をした。
「媚びてないです。神崎先輩が仕切ったの、かりん先輩を守る為です。それに気が付かないで、私に文句言うのは良くないと思います。」
「分かってるけど…ふぅ〜神崎君の手前、もう何も言わない。でも、媚びってるは言い過ぎた、ごめん謝る。」
ここが七瀬の凄い所だよな。一歩引いて更に謝る。俺関係してなかったら、どっちが議論上なんだろう?
…結局、勉強会に参加認めさせてしまった。この子も凄い。やれやれ…気持ちを切り替えよう。だけど七瀬、やきもちでイライラしたんだよな? だから感情的に突っ走った。
早く告白してこいって。待ってるから。
後輩ちゃんが、胸に手を当てて提案を出した。
「その謝罪受け取ります。その代わりと言ってはなんですけど、勉強会では神崎先輩の横に座らせて貰います。良いですよね?」
「別に良いよ! 私が悪いし、神崎君が良いなら。私が神崎君の右に座るから、絵梨奈ちゃんは左に座ると良いよ。」
「じゃあ良いです。私、神崎先輩の前に座ります。
両隣に挟まれたら、神崎先輩が集中出来ないと思うので。」
うわぁ〜あったま良い! 後輩ちゃん俺に負担させないように言って、好感度奪取、尚且つ七瀬は、配慮が足りないって暗に責めてる。
かなりの策士! でも俺には全部読まれてるけどね! ははは。
「それでは、勉強道具を取りに行かせていただきます。」
後輩ちゃんが礼儀正しく頭を下げた。
「いってらっしゃい! さて神崎君行きますか。」
非常口から廊下に出て、七瀬が廊下を歩き始めた。
あれれ? 何も言わないの? ここは引き出せってことか?
「面白い子だよね?」
俺はカマをかけるように呟いた。
「うん、そうだね。」
…あれ? 愚痴言わないぞ? これは想定外だ!
七瀬って怒ると黙るタイプか? どうしよ?
「神崎君思ったんだけど。」
何? やっぱり後輩ちゃんの愚痴?
もしそうなら、髪型変えたアニメキャラぐらい好きが減る。
私たち図書室進んでるけど、勉強道具持って来てない。
あっ…そうだった…ついでに忘れ物も思い出した!
「七瀬悪いんだけど、俺の勉強道具も持って来てくれない? ちょっと用事がある。」
「良いけど。」
「悪いな。」
すっかり忘れてた! 後輩ちゃんのハンカチ置きっぱだった。返すついでにちょっと七瀬と上手くやるよう話しつける。
俺はハンカチを手に持って、ポケットに入れた。結構抜けてるよな、俺含めて。
「さて、後輩ちゃんのクラスどこだ? 知らねー。」
ここかな? いないな。
「教科書返してください!」
後輩ちゃんの切迫した悲鳴ともつかない声が聞こえた。俺はその声のクラスに向かった。
「はぁ? 生意気なんだよ。土下座して靴舐めたら返してやるよ。ははは。」
うわぁ〜いじめだ。後輩ちゃんいじめを受けている。ここは…見て見ぬふりして図書室に行くか。
お兄様駄目です!
イマジナリー妹!
見てみてぬ振りするなんて、いじめに加担してるのと同じです。ここはいじめを止めるべきです、お兄様!
だけど、さすがにいじめやってる奴に話は通じないぞ?
大丈夫です!
何か策があるのか?
骨は拾ってあげます!
この妹役に立たねー!
くっ…どうするよ?
お兄様まだ悩んでるんですか? 猶予はありません! さっさっと行く!
はい,わかりました。イマジナリー妹の気迫に押されて、教室の中に入った。
「待て、何をしてるんだ!」
俺の声に全員釘付けになった。よし決まったな。
お前らを土下座強要罪で逮捕する! って言えればな。それに本当に逮捕できれば楽なんだよな〜。
「何? 見てわかんない? 教育してんだけど?」
怖っ! 中1女子じゃないよこれ。この人を平気で殴りそうな目は。そこそこ可愛からまだマシだけど…他にも2人いる。
悪党は3人パーティって決まってるのかな?
「神崎先輩、私大丈夫なので。気にせず図書室行ってください。」
絵梨奈ちゃんの儚げな声に、目を覚ませられた気がした。この子を見捨てようとした自分を恥じた。
カチーン! うぉー! そんな事言われたら健気すぎて守ってやりたくなっちゃう。
こいつら許せん! まぁ…俺何も出来なそうだけど。
「おい、見られたらから、こいつのズボン脱がしてやろうぜ!」
リーダーらしき女子が号令を出し、取り巻きと思われる2人に指示をする。
ひぇぇー! 辞めろ! いや…待てよ? 問題なくね? むしろご褒美だと思って、嫌がる振りして、撮ってもらえばいいじゃん?
そしたら、後で先生にチクる…証拠は撮られた写真! 完璧な作戦だ!
待て待て、写真を拡散されたらどうする?
イマジナリー神崎!
お兄様、拡散されてもヒーローになります!
男なので問題ありません!
イマジナリー妹!
いや駄目だろ! まともじゃないやつからいじめの標的にそれが使われる恐れがある!
イマジナリー神崎! 確かに!
お兄様名案が浮かびました! 学校の窓を椅子でぶち破るのです! そうすれば騒ぎを聞き付けた先生に事情を説明するのです! この方法ならお兄様の話術を活かせます!
イマジナリー妹! 頭イカれてる!
いいえ、頭がイカれてるのはいじめっ子です。実行すれば逃れられませんし、割れた窓ガラスで刺すぞって脅しましょう。
もしあれでしたら、窓から飛びおりやすくしたよ、と微笑んであげましょ!
うわぁ〜助けてだれか…この妹おかしいって。
あの〜実行に移せないよ。窓壊したら俺も悪者じゃん!
いいえ、お兄様。いじめを見逃してる学校の窓なんて1枚、2枚割られて当たり前です。
でもな〜。
ではこうしましょう! まず全裸になります。そして男の怖さを教えてやりましょう!
イマジナリー妹に社会的に抹殺される!
あれもやりたくない、これもやりたくない。はぁ〜お兄様はわがま〜ま!
可愛いくいってるけど、言ってる事は過激過ぎる!
窓破壊するまで追い込まれる前に、職員室行って、先生にチクれば良かったのでは?
イマジナリー神崎! 確かに!
駄目です! それだとプリンセスが土下座させられて精神的ダメージがあります! 止めに入ったのは正解です、お兄様! 惑わされては駄目!
イマジナリー妹! 確かに!
やるしかない! このイマジナリー妹に乗る!
考え直せ! 窓を壊すんじゃなくて、先に彼女たちと話し合いをすべきだ! それで駄目なら、改めて別の方法を考えよう!
イマジナリー神崎!
お兄様、それでは手遅れです! 狂気を見せなければ話し合いの土俵にすら立てません。
イマジナリー妹! ぎゃ〜頭が混乱する!
スマホ今持ってないお兄様の最善手を考えたのですが、お気に召さないようで。ではこうしましょう。
俺に手を出したら、さっきのお前たちが土下座強要してたところは、録画済みだ。俺に何かあったら、友達にYouTubeで流せって伝えた。俺がのこのこ1人で出てくるわけないだろ。こうハッタリを述べましょう。
イマジナリー妹! まともじゃねーか! どうした?
私はまともです、お兄様。もし証拠出せと言われたら、出すわけないだろ。証拠隠滅するつまりなのは分かってるからな。
とでも嘘八百言いましょう。賢さなら彼女達は、お兄様の相手ではありません。
おい! 初めからそれ言えよ!
俺はイマジナリー妹の言う通り彼女達に、ハッタリをかました。
俺はそれがどれだけ大変な事か切々と語った。それが項を制して、話し合いの結果…今後絵梨奈ちゃんに手を出さないことを約束させて、動画は流さないと約束した。
ふぅ〜。助かった! 話術がまさか、ここまで身を助けるとは…ね。とはいえ…納得してる感じはしなかったが。世の中こんな簡単に終われば苦労はない。
また何か…仕返しされるかもしれない。
「神崎先輩…凄かったです。でもこんな情け無い姿私見せたくなかったです。」
目に涙を浮かべた彼女の涙を俺は手で拭った。
「情け無くなんかないさ。君は強いよ。3人係のあいつらの方が弱い。」
ふっ決まった…慰めの言葉! 口だけで行動が共わないんだけどね…ふふふ。
「神崎先輩…好きになっても良いですか?」
…ええ? なんだよそれ! おい、俺には七瀬がいるから正直困るぞ。なんで…好きな人がいるとモテる! ふざけんなよ、この世の中おかしいだろ!
良いよ、好きになって…って言えないよ!
駄目だよそれ。
あのさ…俺…。
好きな人がってこれも言えないだと? どうする?
「フフ、もう手遅れですけどね、先輩。」
絵梨奈ちゃんが悪戯っ子の様に微笑んだ。
「いや、手遅れって?」
「何が手遅れかは言いませんよ、神崎先輩!」
恥ずかしそうに彼女が後ろを向いた。
「絵梨奈ちゃんっていつ頃からいじめられたんだ?」
「3ヶ月ぐらい前からです。最初は友達がいじめられてたんです。私がそれを庇って、そしたら今度は、私がターゲットになって、その友達も一緒になって…私を…。」
うわ…えぐっ! ここはふざけてられないな。
「その、後藤には相談しなかったのか?」
「1人で耐えれば良いかなと…お兄ちゃんが今度ターゲットにされるだけだろうし。」
頼りねー! 後藤おい! でも俺が頼りになるかって言うと…たまたま上手くいっただけだ。しかし、口ぶりから、他にもいじめっ子は、潜んでるのか?
「俺が先生に言ってクラス替えしてもらうように説得する。そんなんじゃ勉強に集中出来ないだろ。」
「神崎先輩…でもそれは…本来私がしなければ行かなかったんです…でも…それでまたいじめられたら、私が悪いって…いじめられる原因と思いたくなくて。」
…これは分かる。これで解決出来ると思っても、また起きたら…いや、起きてなくても…いつ起こるか分からない不安で、精神的にやられるんだ…ちくしょう! 腹が立つぜ。
「大丈夫だ。まずは自分を信じてくれ。自分は良い子、いじめる奴は理由なしにいじめるって。そしてまた起きても、何回、起きようと俺がお前を守る。」
「つまりだ。辛かったら学校無理に行く必要はない。俺が勉強教えに行く。」
「そんなこと言われたら…涙が止まりません…今日初めて会ったのに…優し過ぎます…大好きです…神崎先輩。」
七瀬にはあんなに強気だったのにな…うん? 大好き? ふ…後藤より兄貴やってね? ポエム作ってる場合じゃないぞ、全く。
兄の様に好きって事だよな。忘れたが、ブラコンだもんな。忘れてた事思い出した。
七瀬と上手くやれる様に言うんだった。
とりあえずハンカチで涙拭いてやるか。地面に敷いてあったやつだが問題ないよな。俺が使うわけじゃない。
今日は中止にするか? それも自分責めそうだしな…泣き止んだら言うか。
「七瀬にはお姉さんって感じで接してやってくれないか? 無理にとは言わないが、俺に対する態度とちょっと違うのが気になった。」
「七瀬俺の大切な人だからさ。」
「かりん先輩とは、お付き合いなされてるんですか?」
痛いところついてくるな。だが察しろ、俺が七瀬好きなのは。
「いいや、付き合ってない。」
「良かった。もしそうでも…気にしませんが。」
いや、気にしろよ! 付き合ってたらもっと、配慮せい!
お兄様…本質から目を逸らし過ぎです。ここは、しっかりと自分の魅力を自覚して下さい!
イマジナリー妹! 何言ってるのか分からん!




