あのこが、くまのぬいぐるみが、きた。
眠っていると。
ぽぴゅぽぴゅぽぴゅ。
赤ちゃんのパプパプ鳴る靴のような音がした。
しかも、その音がだんだん、私のところに向かってきている気がする。
すると、その音が私の眠る枕の横で止まった。私は、眠い瞼を無理やりにこじ開けると、そこにはくまのぬいぐるみがいた。
「あの、おっきいママさんは、ボクのこと……ボクたちのこと、わしゅれたんでしゅか?」
くまのぬいぐるみが眠る私の顔を覗き込みながら、聞いてきた。
私は寝ぼけながら、首を横に振り。
「……忘れてなんてないよ。忘れてなんかいないけど……おっきいママは日々に疲れちゃっててね。ごめんね。けど、またきっと、君たちに会いに行くから。君たちの笑顔でいられる世界を作りに、また戻ってくるから。もう少しだけ待ってて──」
そう言って、私はすぅっ……と寝た。
眠る前に「……ありがとうございましゅ。また絶対に会いに来てくだしゃいね。おつかれしゃまでしゅ……」
そんな声と、ポフポフとしたふあふあのものが、私の頭を撫でたような気が……した。