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手紙と友達

一般家庭で生まれた私の眼は生まれつき線を見ていました。見えるけど触れない線。何かに例えるならなら毛糸の紐と呼んでもいいぐらいの太さのそれは私が見てきた人たち全員についていて、眼の前の人と誰かをつなぐカラフルな線であり、それは幼少期の私には面白く映ったのです。しかし物心がついたころには線がなぜカラフルなのかを知りました。青は妬み、藍は怒り、紫は恨みなどの感情を示していました。

それと当時は困ったことが一つ。私には誰からも線がつながってないのです。

私からの線も出てないし私の周囲の人も私に出ていない。世界から私という存在だけがいないようで怖くなったのです。幼い私は怖くなって親にも相談しました、しかし信じてもらえず不気味がられました。それまで……きっと恐らく愛情を注いでくれた両親だったのに、私と話すときはよそよそしくなってしまいました。それがこの世界ではめったにいない魔眼持ちであることを私が知ったのは10歳になってからです。たまたま私の家の近くまで遠征に来ていた皇子が私の眼に気付いて騎士団員として登用していただきました。

初めて見た皇子は多くの人から期待や好感を持たれていて私とは違う遠い存在に見えた



私の眼のことについて話したら

「へーおもしろいわね」

そんなそれがどうしたと言わんばかりの反応が返ってきた。中の人もこの反応は少々以外だったようでややうるさい

「そうなんです!面白いんです!色んな色があってとてもきれいなんですよ!」

「それで?私のユーゴ先輩への色って何色になるの?」

「興味なのであれば黄色ですね!」

「黄色なのね好きな色でよかったわ」


線を頼りに進む

「ねえ、一つ気になったことがあるんだけど」

「なんでしょうか?」

「あなたの眼のことって誰にでも話していいものなの?」

「ダメですよ~一応私が皇子護衛に選ばれてる理由の一つなので割と機密事項なんですよ。あ」

どうしようどうしようどうしよう!

中の人!リカバリーどうすればいいですかね!?私機密しゃべっちゃいましたよ!あわわわわ先輩にシバかれる!

「ね、ねえ私その話聞いちゃってよかったの!皇子暗殺のための密偵とか濡れ衣着せられるのは嫌なんですけど!?」

私の肩をぐわんぐわんゆさぶってきて目が回る……

「お嬢様方学園の廊下は広く、話し声も気になるほどではありませんがそれでも限度がありますよ」

「あら、ごめんなさい。ほらあなたも何フラフラしてるのしっかりなさい」

何とか焦点が定まってきたので声をかけてきた男性に目を向ける

「あ、先輩……」

「どうしましたかザンカ、あなたのような騎士がこのような場所で騒ぐとはどうしたことでしょうか」

まずい先輩の目が笑ってないキレてるときのオーラが見えるそれと先輩が普段私には見せない騎士モードで接してきてちょっとキモい

「えっとぉ……そのですね……」

「あなたの美点は快活であることですよ。そんなあなたが言い淀むとはどうしたんですか?」

中の人いわく翻訳すると「ザンカの唯一の美点は声がデカくて正直なことなんだから。正直にとっとと白状しろ」とのことだ

先輩からとなりの彼女への線を見る色は同情?とかそんな色だつまり怒りの矛先は私だけなのだろう

内容が内容なので先輩に耳打ちをする

「ごめんなさい……せんぱい……話しちゃいました……」

「っつ”!?」

先輩の膝が廊下にものすごい勢いで衝突する。昔先輩に膝カックンしたときだってこうはならなかったのにもはや芸術の域と呼ぶべきではないかというほどそれは見事にがっくんっといった。それでも倒れなかったのは一重に先輩のフィジカル故だろう。

「ねえ……私なに見せられてるの?」

彼女が私に聞いてくるが私にもわからない

「さあ?私にもサッパリです。でも一応報告はしたことになるんじゃないですかね?」

「今ので報告したことになるの!?私こんなので何かの処分受けたくないんだけど!」

「大丈夫ですよ!何があっても私が守りますから!」

「そういうセリフはイケメンの騎士様に言われたかったのだけど……」

「とりあえず先輩からもフォローしてもらうように頼み込みましょう私以外には優しい先輩なので。せんぱーいそろそろ正気になりましたー?」

先輩の前にかがんで頬をツンツンしてみる

「っああ、大丈夫だえっと……なんの話だっけかというかいつの間に目の前に」

「なんか記憶飛んでそうな雰囲気なんですけど本当に大丈夫ですか?」

「おそらくここ数日の疲れが溜まってたんだろうな、それで何だ、そちらのお嬢様の関係することか?」

「話が早くて助かります先輩。そのことなんですよさっきも言いましたけど私の眼がどんなものかこの方に話しちゃいましてどうすればいいんですかね?」

「別に問題ないんじゃないか?」

あっさりとした回答だ先輩にとって私はその程度の価値なのだろう

「あれそんな感じでいいんですか?前に機密だー絶対話すなよーって言ってた気がするんですけど」

「それもそうなんだが友達に秘密にするほど重要なもんじゃないからな。それで変なトラブルになるかもしれんし、お前が知っててほしいと思うなら俺はお前の意思を尊重するつもりだ」

「友達?」

「違うのか?てっきり俺に友達紹介しに来たのだと思ってたんだが」

「いえ単純に世間話の一つでしてしまったんですけど」

「うーん……お嬢様今からこのものと友人関係を結んではいただけないでしょうか?」

「え、まあ、はい?」

そうして先輩が頭を下げる。私のミスが先輩に迷惑をかけてしまった。嫌いな先輩とはいえとても申し訳ない

私の思考が暗く沈んでいくと先輩がパンっと手をたたいた

「よしこれでこの話は終わりだ」

「あっはいわかりました……」

「何しょぼくれてるんだ?」

「だって……先輩に迷惑かけちゃいましたし……」

「後輩のしりぬぐいするのも先輩の役目だから気にするな。それにお前は元気な姿が一番いい」

そうして先輩が私の頭にポンと手をのせる。ほんとこの人の手は……大きくてあったかい

「ぅ……はい!」


そうして先輩と別れた

「何とかなりましたね」

「そうね、あなたのせいだけどね」

「聞いたのはあなたじゃないですか!」

「敬語が外れたわねそっちが素なのかしら?」

「あなたとは友達ですしねフランクにいこうかと」

「なんというか……ほんとに切り替えが早い子ね……」

「なんか年下扱いしてきますけどリボンを見る限り同学年じゃないですか!」

「あえて言うなら同じクラスなのだけどね」

「え。」

私食堂からずっと同じクラスの人とともに行動してたのに知らなかったのか……え「そういうとこだぞ」ってなんですか、気付いてましたよ?というか最近そっけない態度ばかりで私にかまってくれないじゃないですか「友達との会話の方が大事だろ」?中の人も一応友達と思ってたんですけど!?

「あなたフリーズしてるけどまさか私の名前もわからないとかいうんじゃないでしょうね?クラスに20人程度しかいないのよ?流石に覚えてるわよね?」

ヘルプ!中の人!わかりません!あ、教えてくれるんですねなになに……

「えーと……クリスさんですよね!」

「あら、クラスメイトということは覚えてないのに名前は憶えてるの?面白いわね」

「あはは……」

教室に帰ろうとすると制服ポケットの中に何か入ってることに気付いた

「ん?これは……」

手紙だ。なんでこんなものが私のポケットの中に?というところで思い出した

「あああ!先輩に手紙出すの忘れてたー!」

「あ、そうよ!そうだったわ!手紙私も忘れてた!」

「クリスさんは教室に戻って大丈夫です!今からだと遅刻するかもしれないので!」

「そ、そう?わかったはあなたもしっかり手紙渡してきなさい!」


この後なんとか手紙は先輩に届けることが出来た


授業にはギリギリ間に合った

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