私の目
風邪引いて更新遅れました
どういうわけか私は先輩から呼び出しを食らって正座させられてます
「ザンカ」
「はい」
「何で呼び出されたかわかってるか?」
「いいえ」
「いいえ?」
「はい!わかってます」
「ほう、なら言ってみろ」
「あれですよね。訓練所にいたころ洗濯物干すときに先輩が使ってたタオルが風に飛ばされちゃって追いかけずにどこぞのご令嬢に拾われたのを見て見ぬふりしたやつですよね。返却されたって話も聞きませんし今頃どこぞで使われてるかわかりませんが」
「その話ではないんだが、過ぎたことはまあいい」
「じゃあどの話です?」
「この前お前が女子寮でご令嬢方相手に啖呵切ったことだよ」
「あ、それですか……」
「ああ、皇子の耳にもとどいていな、よくやったと褒めてたよ」
「は、はい。え!?」
「何驚いてんだ?」
「いえ、怒られてると思ったので、というか正座させたのは先輩でしょ!」
「この部屋に来るなり正座したのはお前だろ」
「あれ、そうでしたっけ?」
中の人もお前が勝手に座ったと言ってるマジですか……
「じゃあなんで先輩怒ってる雰囲気出してたんですか!?」
「お前が何か怒られたがってるように見えたからな面白そうだと思って乗ってやった」
「先輩の鬼!悪魔!魔族!」
「人聞きの悪いことを言うんじゃねえ」
ポカっと先輩は私にチョップを入れる痛い
「まあ、そんなことよりだ。俺としちゃそれで何か困ったことはないか?」
「困ったこと……」
考えてみるが入学してからの日々はクレアさんがいることで光に満ち溢れているから困っていないな
「ないならいいんだ。あちらにだって面子があるからな身分の低いものにホイホイしたがってちゃだめでな、しっかり上下関係をださなくちゃならん。で、だお前の忠言を聞いたのは誰だ?後でその方の功績にするよう根回ししなきゃならん」
「あ、はいえーと……誰でしたっけ?」
「覚えてないのか?」
「ご令嬢方って皆様似たような流行りもので着飾っているのでよくわかんなくって……」
「失礼のないように顔と名前は一致させとけ……まあいいお前の目で見た印象とかはどうだ?」
「えっと、周りの方から尊敬……憧憬というか一目置かれてるといった感じでお嬢様を取りまとめているような感じでしたね」
「ああ、あの方か。わかった後はこっちで何とかする。あの方相手ならこっちも楽できる」
わざわざ呼びつけたくせに私に何の話もせず勝手に納得して笑顔になっているのがちょっとモヤってする
「……それで、誰なんですか?」
「なんで機嫌悪そうな声してんだ?」
「違いますけど。先輩が言ったんじゃないですかちゃんと知っておけって」
「それもそうだな、おそらくお前と言葉を交わしてくださったのはこの国の宰相の娘の方でライラってお方だ」
「ライラ……ライラですね覚えました」
「どこでだれが聞いてるかわからないんだからいつでも様をつけとけよ」
「む、わかってますってライラサマ、ライラサマ」
そんなやりとりをして私は空き教室を後にした
くぅとお腹の音が鳴る
今は昼休みご飯の時間だ。先輩は私が食事を大事にしている人間だと知っているはずなのにその時間に私にご飯を食べさせないとかやっぱり私は先輩に嫌われてるのだろう
ご飯どこで食べようかな
学園の食堂はいくつかある、公言はされてないが水面下では派閥争いがあるためだ昨日は南の食堂で食べたがここから近いのは北の食堂だ
善は急げですね
クレアさんと一緒にご飯が食べたい
誰かと食べる約束をしてないためぼっち飯、やはり誰かと一緒に食べるご飯の方がいい
もぐもぐ……もぐもぐ……
ハッ私には中の人がいるじゃありませんか
おしゃべりしませんか。といっても四六時中一緒にいるので話題が……クレアさんの話とかします?
それはいつでもできるし今食べてるものについてですか。カレーですよカレー具材ゴロゴロの野菜メインのカレーです、中の人は味わえないですよね!こんなおいしいもの!女子が茶色いものを喜んぶのはどうなんだってそんな負け惜しみ言われても何も響きませんし、おいしいものを味わうのに性別なんて関係ありませんよね?
「あら、あなたは」
声!方向からして多分私に声かけられた!
振り返ると若干の見覚えがある女性とその取り巻きと思しきご令嬢方が立っていた
誰だっけ
「ええと……覚えてらっしゃらないのかしら」
先頭の声をかけてきたリーダー的な人が困惑の表情を見せる、それに準じるように取り巻きの方々も顔をしかめてる
まずいまずい!さっき先輩に言われた通りちゃんと覚えておくべきだった!
私がいいわけを考えていると取り巻きの方一人が前に出た
「この方は!この国の宰相の娘…」
「ライラサマですね!ええ存じ上げております!初めまして!」
全力で頭を下げたがいけましたかね?
「初めましてじゃないでしょ!」
「あ、うぇ……」
終わったー!完全に終わりましたー!
「構いませんよ。会ったことはあるにしても数分程度しか会話していませんでしたし。名前を知ってもらえてるだけ十分です」
「そ、そうですかライラ様がおっしゃられるなら」
取り巻きの人が引いてくれた
「それで……私に何か御用でしょうか?」
「そうですね。要件というわけではないのですがこれを」
そう言って手紙を差し出してきた
「これは?」
「それをユーゴ様にお届けできますか?」
「ユー……ゴ」
「皇子護衛の騎士ならばユーゴ様のこともご存じでは?」
ゴエイキシユーゴ……護衛騎士ユーゴ……先輩、先輩かぁ……あの人かぁ……
「わかりました。この手紙しっかり届けさせていただきます」
先輩と私との仲をライラサマは知らないのだろうから悪くないのだが受けるしかないか
「なんで満腹の幸福に満たされてる後で先輩に合わなきゃいけないんですかね……」
頼まれたのを断らなかったのは私なのですが、お腹をさすりながら先輩の方に向かう
「というかあなたこれ向かってる方向大丈夫なんでしょうね?」
「?大丈夫じゃないんでしょうか、ってなんであなたがここに」
先ほどいたご令嬢の一人でさっきライラ様を紹介してた子だ
「あなたがちゃんと手紙を届けるのか確認するためよ!」
「そうですか、流石に心配いらないと思いますが……」
「ユーゴ様ってすっごいモテるらしいじゃない一目見ておきたいのよね!」
「は……はぁ」
私にはよくわからないけどあの先輩ほんとにモテるんだな
「話は戻すけどあなた食堂を出てから人に場所も聞いてないしどうしてこう迷いなく進んでるの?」
「さっきまで会ってたからですよ」
「二人っきりで?」
「そうですが」
「二人は付き合ってるの?」
「違いますけど、なんなら私あの人のこと嫌いですよ」
「評判いいのに?」
「私にはその評判のよさの片鱗みせてくれない鬼畜男ですよ先輩は」
「ふーん」
話しているうちにさっき先輩に会ってた部屋に来たのでノックをするが返事が返ってこない。なら探すしかないか
「いないみたいね」
「すみません先輩についてどう思ってます?」
「急になに?さっきも言ったけど興味はあるくらいなもんよ」
「なるほど……これかな?」
先輩の場所の方向はわかったし向かおう
「ちょっとちょっと待ちなさいよ!」
「先輩のいる方向に向かうのでついてきてください」
「説明してもらえるかしら?」
「私魔眼持ちで、人と人の感情が線でつながって見えるんですよね」