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黒猫ツバキの主従逆転

 作品①冒頭部分をインパクトがあるものにする

 人類は猫に降伏した。



 魔女や妖精やモンスターが暮らしている、地球とは異なる世界。『ボロノナーレ』という名の王国がある。


 ここは、王国の(はし)っこにある村。……の隅っこにある、魔女コンデッサのお(うち)


 コンデッサは、20代前半の美貌の魔女。

 猫のツバキは、コンデッサの使い魔である。まだまだお子ちゃまなメスの黒猫だが、魔女の使い魔なので、人間の言葉が話せたりする。


 ツバキが、コンデッサへ言う。

「人類さんは、アタシたち猫に降伏したのニャ」

「そうか」

「そんにゃわけで、ご主人様とアタシの立場は逆転しちゃったのニャン」

「ほぉ」


「これからはアタシが〝ご主人様〟に、ご主人様がアタシの〝使い魔〟になるのニャ」

「それは構わないが、だったら、この先はズッと、ツバキが私の衣食住(いしょくじゅう)の面倒を見るんだぞ」

「……にゅ? しなきゃ、ダメ?」

「当然だ。使い魔の生活の保障は、主人の義務だからな」

「でも、アタシは()の面倒は見てもらってないニャン」


 ツバキは常時、素っ(ぱだか)である。猫なので。


「……まぁ、衣は置いといて、住と食の提供はシッカリとしてくれよ」

(じゅう)は今のお(うち)があるけど……(しょく)って、朝昼晩の3食?」

「うん。食は、健康の基本だからね。使い魔が快適で楽しく、無病(むびょう)息災(そくさい)で元気に勝手気まま、やりたい放題に過ごせるようにする――主人の役目とは、そういうものなんだ」

「アタシ、そこまではしてもらって無いニャン」

「何か言ったか? ツバキ」

「何も言ってないニャン。……3食は全部、煮干(にぼ)しで(オー)(ケー)?」

(エヌ)(ジー)


「…………」

「…………」


「……アタシ、やっぱり使い魔のままで居ることにするニャン。『ご主人様は、ご主人様で居てください』なのニャ」

「分かった」



「で、ツバキは、どうして『人類は猫に降伏した』なんてアンポン(タン)を言い出したんだ?」

「バンコーコ様が、お友だちの魔女さんと話していた時、そんにゃコトを口にしていたのニャ」

「へぇ~」


 バンコーコはコンデッサと仲の良い、同年代の魔女である。


「バンコーコ様はグ~タラなご主人様と違って、立派な魔女様にゃんだから、嘘をつくはず無いニャン」

「ふ~ん」


 ツバキはコンデッサにお仕置きされた。



 後日、コンデッサはバンコーコに会った際に、彼女へ尋ねた。


「……という出来事が先日あったんだが、本当にそんな話をしたのか?」

「ああ。それは友人が『猫の可愛さには、(まい)っちゃう』と言ったから、冗談めかしに『人類は猫ちゃんに全面降伏ね』と言葉を返したのよ。ツバキちゃんは我が()に遊びに来ていて、たまたま、その会話を聞いちゃったのね」

「なるほど」


 納得しているコンデッサへ、バンコーコが語りかける。


「私の意見に、貴方も賛同してくれるでしょ? コンデッサ。ツバキちゃんも可愛いしね~」

「…………まぁな」

「猫ちゃん達の可愛さの前に、私たち人類は手も足も出ない。これは、降参不可避(ふかひ)!」

「まさに『幸福(こうふく)降伏(こうふく)』だな」


 そう言って、コンデッサとバンコーコは笑い合った。



♢以下、後書きです。


◯ツバキとコンデッサの会話・その1


「『そこにあったのは〝ちっちゃいの〟だった』――これこそ、〝インパクト〟がある冒頭部分ニャン」

「〝ちっちゃいの〟……それは『インパクト』じゃ無くて『コンパクト』だ」


◯ツバキとコンデッサの会話・その2


「ご主人様~♪ 『使い魔が快適で楽しく、無病息災で元気に勝手気まま、やりたい放題に過ごせるようにする』――それが、ご主人様の務めにゃんだよね?」

「誰が言ったんだ? そんな寝言(ねごと)。初耳だぞ」

「ニャ~!!!」

 本文パートが1200字です。

 本作は『他の「黒猫ツバキシリーズ」とは無関係!』という設定で書いています。なので冒頭は説明部分が多くて……インパクトは最初の一文にかかっていますね(汗)。

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― 新着の感想 ―
冒頭の一文、たしかに「おおっ!」と興味がひかれました。 なるほど、こういうふうに書くと、読者さまが興味をもって読み続けてくれるんですね。勉強になる……! そして最終的には、いつものコンデッサとツバキ…
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