宿題の内容
ここは、ボロノナーレ王国。
王国の端っこにある村に、魔女コンデッサと彼女の使い魔である黒猫ツバキは住んでいる。
コンデッサは20代。赤くて長い髪の美人さんだ。魔法使いとしても、とっても有能。
ツバキはメスの黒猫で、まだまだ子供。魔女の使い魔なので、人間の言葉を喋ることが出来る。使い魔として、とっても有能……では無いが、ボケに対する鋭いツッコミには定評があった。ちなみに誰が評価しているかは、謎である。
さて、夏の暑い日。
コンデッサがツバキに言う。
「ツバキ。お前はいつも、家の中でゴロゴロしているな。少しは働こうとは思わないのか?」
「暑いから、仕方ないのニャ」
「確かに、今年の夏は異常に暑いが……」
「ちょっとでも動いたら、暑さで溶けて、お化けになっちゃうニャン」
「猫が溶けるわけないだろ! あと、なんでお化けに?」
「ご主人様は知らないニョ? 猫が溶けたら《溶解・化け猫》になるんニャよ」
「それは《妖怪・化け猫》のことか。〝ようかい〟違いだ」
「それにアタシは現在、夏休みの真っ最中なのニャン」
「お前は春夏秋冬、のんびりバケーション状態なのに、今更…………で、誰に貰った〝夏休み〟なんだ?」
「自分で自分に、夏休みをあげたのニャ。これぞ、まさしく《自休自足》ニャン」
「正しい用語は《自給自足》だ。《給》を《休》に変えて、勝手に休んで満ち足りるな!」
「猫は休むのが仕事ニャン」
「コイツ……良し! 分かった。だったら、夏休み中のツバキに宿題を出そう」
「にゅ? どんにゃ宿題?」
「作文だ。
作品①冒頭部分をインパクトがあるものにする
作品②主人公の名前を出すタイミングを工夫する
作品③キャラクターが登場するときの描写を考える
作品④視点移動をスムーズにしつつ書いてみる
……と、①②③④それぞれのお題に注目した短編を計4つ、どれも1200字で仕上げること」
「4つも作文があるニョ? 大変そうニャ……」
「ツバキには、難しかったかな? なんといっても、ツバキはダメ使い魔だから」
「アタシは、ダメ使い魔じゃ無いニャン! やってやるニャ。キャットファイトにゃ!」
「キャットファイトは……こういう時に使う言葉じゃ無いぞ」
♢
これより4話、本文1200字(でも長い〝後書き〟がついたりもします)で、黒猫ツバキのお話を書きます。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
次回から、別サイトの「小説勉強会」に参加したときの作品を紹介いたします。
4つとも全て〝黒猫ツバキの話〟で提出している……(汗)。
※どの作品も「それのみで、1200字で完結している(本文パート)」「シリーズの他作品とは無関係」という設定です。