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桜峰学園 受験編1


姉さんとの模擬戦から約一ヶ月後、俺は国立桜峰女学園の校門前に立っていた。


そう、今日が受験当日である。


「いや…デカすぎだろ…!」


前世で言う有楽町駅辺りにある広大な敷地に白亜の巨城と言っても過言では無いくらいの大きな学舎が目の前に広がっている。


「受験生の方はこちらにお並び下さい!」


圧倒されつつも集まってくる人混みに流されながら俺は案内に従う。



「ねぇ、あれって男の子じゃない?」


「嘘…ここ女子高よ?あ、男子もOKなんだっけ?」


「あっ、本当だ!男の子よ!」


やべッ…なんかロックオンされた?


「カイ君、こっち!」


「おろ…?姉さんなんでここに?」


「一応今月付けでここの教員よ、私は。」


「そう言えばそうだった…助かるよ!」


家でぐうたらしてるとこしか見てないから忘れてた。


姉さんに手を牽かれ列とは別の方へ歩き出す。そのまま校舎に入っていった。


「すっげぇ…!教会かよ…」


吹き抜けの五階建ての校内は入った瞬間にステンドグラスが目を奪う。


天使に祝福された花畑に佇む少女…で良いのか?これは印象に残るな。


「あぁ…【原初の恩寵】と呼ばれる実話の一幕を切り取ったステンドグラスだ。我が校の自慢の逸品だよ。」


ほへー。


色々と調べたけど、こんなのがあるなんて知らなかったなー。


【原初の恩寵】なんて聞いたことないや。


「その顔は知らないな?」


「あはは…勉強不足でしたぁ!」


「まぁ、いい。行くぞ?」


姉さんに呆れられながらも歩き出す。


移動の間に【原初の恩寵】に付いて調べた。


ふむふむ…最初は傷付いた人を癒す〈癒し手の祈り〉だったと…灰猫たんと一緒だな。


あと神様からの神託を受け取る〈聖女〉って恩寵もあった…と。


これ多分出るだろ、覚えとこ。


暫く歩くと一つの扉の前で止まった。


「失礼します」


「し、失礼します!」


姉さんに合わせて俺も声を掛け部屋に入るとそこには一人の女性が座っていた。


薄緑色の髪にコバルトブルーの瞳、優しそうな微笑みの女性と二人の男子生徒が座っていた。


男子達の方は端末で映像を見ているらしくヘッドホンをしているので会話は問題なさそう。


「こんにちは。貴方が流音ちゃんの弟君ね?」


「は、はい!天道廻理って言います!」


「挨拶出来て偉いわねぇ~。どうぞ、座って?」


こ、子供扱い…だと?!


我15歳ぞ?


だがこの優しそうな笑みを見ているだけで怒る気も失くなっていく。


「姉さん、この方は?」


「私の恩師で葉倉ミナト先生だ。過去に一度会って居るがカイ君の事情はすでに話している。」


俺の記憶喪失の事なんかは諸々話しているのだろう。


敢えて初対面の対応をしてくれているのかも知れない。


優しい人だ。


「ご紹介に預かりましたぁ~ミナト先生で~す!」


「えと…ども。よろしくお願いします。」


「とりあえずぅ~試験の説明をしましょうか?男の子がウチを受験なんて久しぶりだから緊張しちゃうわ~!ウフッ!」


「先生、あまり弟をからかわないで下さい。カイ君は私のものです!」


「いや、姉さんのものじゃないけど…」


この姉は権利を主張したがるが、俺は俺だ。誰のものでもない。


まぁ…正直言うとこんな綺麗な人に迫られると言うのはちょっと嬉しいというか…だが本人は絶対言わない。


調子に乗せたら押し倒されてしまうだろう…



「あらあら仲が良いのねぇ~!けど時間もあまり無いから説明しますねぇ。この後一時間半の筆記テストをしてもらいますぅ。その後に実技試験の後に学園長、生徒会長との面談となっていますぅ!昼食は学食を利用するも良し、お家で食べるのも良し、街ではあまり進められませんがそこは自由ですよぉ~」


「ほへー。面談なんてあるんですね。」


「はい~。当校は華族や豪商、政治家、医者などあらゆる分野のご息女が集まるので面談は大事なのですよ。当校に相応しくない生徒は不要ですからその為の措置ですねぇ。裏口入学や収賄などは断じて許されませんから~!見つけ次第地下の…これは話しちゃいけないことでしたぁ~、てへッ!」


おぉ…てへぺろやん。まぁ色々あるんやろな、と察しました。


「大体分かりました。筆記テストはいつ始めます?」


「おぉ~!やる気満々ですね~!早速準備しますね、30分後に開始するので少々お待ち下さいねぇ~。」


何時からやるのか確認したかったのだが、言い方を間違えたかな…まぁいい。


何度も予習復習してきたんだ。


うやむやだったこの世界の知識も頭に叩き込んできた。


「では頑張るのだぞ。私は外の応援に戻るからな。何かあったら直ぐに連絡してくれ!」


そう言うや否や姉さんは教室を出ていってしまった。


少し心細いが職務を全うするためにはいつまでも俺の面倒ばかり見てられないだろう?

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