人敵王=強欲
断ろう……うおッ?!
『ギャシャシャッ!ただッ広いとこに出ちまったなぁ!んおう?人間が一、二ィ…いっぱい居るじゃねえか!』
突然地面が揺れ掘削音が響き、轟音と共に鋭い牙に一角獣の様な角を額から生やした二十代くらいの男が現れた。
なんだコイツは一体?!
「おや?招かれざる客…というより迷い混んでしまったみたいだね。食べられたくはないかな、私は戦闘はからっきしなのでね。その代わり情報だけは私に任せてくれ。〈解析〉!ふむ…人敵王=強欲…能力は…ダメだ、これ以上は分からない!」
『へへッ!狩りの時間だァ!ギシャシャシャシャッ!』
人敵王=強欲…長いからグリードでいいか。
グリードが凶悪な牙を剥き出しに此方へ駆け出してくる。
俺は咄嗟に庇うように先輩と羽根崎さんの前に立つ。
「いえ、十分です。先輩は英雄連に連絡と出来れば避難指示を!俺が時間を稼ぎます。〈身体強化×四倍〉〈変身モード=アルテマ・グランデ〉!!」
「廻理君ッ!クッ…仕方ない…!無茶はしてくれるなよッ!」
「はいッ!」
ふぅ…相手はヴィラルド…魔界の王だ。
気の抜けない相手だな。
気合いを入れて望まなければ。
「ふんッ!ハァ!どりゃあ!」
『ギシャシャシャシャアッ!弱ェ弱ェ!そんな遅い攻撃なんざ当たらねえぞ、ニンゲン?』
チッ…動きが速い!
アルテマの攻撃が掠りもしない。
コイツ、どんどん早く、一撃が重くなっていく…!
このままじゃジリ貧だ。
飛燕に変わるか?
いや、火力が足りないッ!
ならどうする?
俺の出来得る最善を尽くせ。
グリードを囲むように火を放つ。
火は形を変えグリードを拘束する。
奴の牙や角が脅威だが、接近される前に距離を取って戦えばいい。
ライカンの弓やヴォルフガンプの銃が有れば…と考えるが無い物ねだりは止め…ーー
ーーその瞬間頭の中に何かが割れる甲高い音が響き女性の声が聞こえた。
〔条件を達成しました。〈叡知〉の異能力が開花しました。叡知を獲得したことにより能力を解析し最適化します。エラー…エラー…エラー…成功。個体名【強欲】の魔王種を確認…〈分別〉の取得を試みます。エラー…エラー…エラー…エラー…エラー…問題点を解析、最適化します。成功。特殊異能力〈七ツノ善行〉を獲得し〈分別〉の異能力を獲得しました。〕
これは…?




