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A.b.y.s.s

「杏奈さん、からかい過ぎですよ?天道君が怒って帰っても知りませんからね?」


「あっはっはは!冗談だよ、冗談。でも見た目には少し自信があるんだけどなぁ。」


「えぇ、羽根崎さんは美人ですよ。ですが生憎と俺には目標が有りまして、他の事に現を抜かしている時間はないんです。」


「目標…かい?差し支えなければ聞かせて貰えるだろうか?」


「日本で…いや、世界一のヒロイックになることです。その為ならあらゆる障害もはね除ける気持ちですから。今の日本の英雄連ではそれは叶えられない…新しい組織を創るつもりです。」


「立派な目標じゃないか。でも良いのかい?君の隣に座ってるのは正にその英雄連の会長令嬢だよ?彼女の前でそんな事を口にして美守くんに嫌われちゃうんじゃないかい?」


「はい、別に英雄連を批判したい訳じゃないんです。でも現体制では多分近い将来綻びが出来ていずれ決壊してしまう。過去から続く今のやり方だけではきっと。」


「……美守くんはどう思ってるんだい?廻理君の言葉を。」


「…ふぅ…。杏奈さん、私も彼の意見には賛成です。出来ることなら支えてあげたいと思ってる。天道君の実力は認めるし、これからの時代には彼のようなカリスマや統率力のある人材…真の英雄が必要なんじゃないかなって、思います。」



「ははは!良いねぇ、初々しくて実に青春だ!廻理君も美守くんも、本気なんだね?よし、なら私は君たちのその青臭い目標を現実化させる為に手を貸そう。我々の持つ情報、技術、武具やアイテム、全てを捧げよう。…‥二人とも着いて来てくれるかい?」


徐に立ち上がった羽根崎さんは俺達を呼び寄せる様に手招きをする。


壁に手を振れると一基のエレベーターが姿を表した。


乗り込み動き始めるとそれは地下へと進んでいく。

どんどん加速していき地下二十五階という表示が表れエレベーターは止まった。


「ようこそ、異能力世界改革機構〈A.b.y.s.s(アビス)〉へ。同胞よ我々は君たちを歓迎するよ!」


「ここは…一体?」


廿楽先輩から困惑の声が響く。


それは当然だ。羽根崎さんに何も言われず乗り込んだエレベーターを降りた先には突然何もない伽藍堂な空間に剣と盾を携えた戦士の立像が聳え立っていたのだから。


「君たちのような情熱溢れる若き才能を支えるためにジェシカ・フロレンシアが秘密裏に用意した秘密結社さ。おっとここでの事は他言無用でお願いするよ?」


ジェシカ・フロレンシア?

誰だ…その人は?

そんな風に考えていると先輩が教えてくれた。


「アメリカで中学生ながらアメリカのランキングで3位の実力を誇るヒロイックよ。アメリカと日本のハーフで春からは桜峰(うち)に入学する手筈なの。将来を嘱望されてて頭も実力も顔も備えた天才よ。」


「そんな凄い人が同級生になるのかー」


なんて場違いな感想を述べつつ、先輩の話を聞いていく。


「能力は〈女王乃命令(クイーンズオーダー)〉、〈絶対支配〉、〈運命操作〉の三つ。どれも強力な異能よ。……天道君?聞いてる?」


完全に後衛指揮型の異能だなぁ。

あとどんな戦い方をするのか気になる。

他者を操るのか、自分で戦うのか、好む戦法とか…


「天・道・君…?」


「ふぇ?…あぁ…すみません、少し考え事してて。そのジェシカ某かがこのアビスを設立したとして俺や廿楽先輩にどんな恩恵があるんですか?」


「戦闘面での支援や生活面のサポートなどあらゆる点からの支援を保証しよう。」


「それでこっちからは何をすればいいんですか?」


「異能力のデータを取らせてくれれば他は望まないよ?我々には天道君の異能こそがとても興味深いものなのだから。」


うーん…何処ぞの青少年支援センターみたいなものか?


同年代の少女が設立した怪しさ満点の秘密結社なぞに所属していいのだろうか?


多分善意100%の押し売りなんだろうが、財力は俺にだってある。


だがヒーローになるために誰かの支援が必要か?


いいや、ちがうな。


俺は俺の目標に向かって動くべきなんじゃないか?


俺の異能は謂わば俺の武器であり人に見せて自慢する様なものではない。


自分の道を進むべきだ。よし、決めた!

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