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平原 愛留 3

「よっし行くか。ふぅ…何言われるのか分かんないけど、大丈夫っしょ。」


俺はベッドから起き上がると屋敷の隣に経つ使用人館へ向かった。


メイドに要件を伝えると案内を受け愛留さんの執務室へと通される。執事長って執務室持ってるもんなのか?などとどうでもいい疑問を横に置いておいて愛留さんへと対面する。


「坊ちゃま、本日は急にお呼び立てして申し訳ございません。」


俺の目の前にいる清楚な女子高生にしか見えない蒼髪の美少女が愛留さん。


異世界から来ただけあって本当に年齢がわからない。


愛留さんも長命種なんだろうな。


「大丈夫ですよ、愛留さん。それでお話とは?」


「いえ。坊ちゃまの活躍が華々しく教育係としてわたくしも鼻が高いです!本日は諸々の御祝いと二つほどご忠告を…と。」


「忠告?まぁ愛留さんの話ならきちんと胸に留めますから心配しないで下さい。」


そう、愛留さんは俺が(はい)る前の廻理が12歳になるまで教育係として作法、帝王学、歴史、果ては女性の口説き方から房中術までを教えていた人生に置ける師と言った立ち位置の人である。


ハイネたんや清柰が大卒資格を(麗愛さんは大学進学を蹴ったが相応の学力あり)持っているのも愛留さんの教育の賜物だ。


部屋には廻理少年の涙ぐましい過去ノートが押し入れの奥底に眠っていた。


そう、廻理少年にとって愛留さんは逆らっちゃいけない類いの人なのである。


「ふふっ。素直で宜しい!さて、まずは桜峰合格おめでとうございます。来月からはきちんと勉学に励んで下さい。」


「それは勿論です。精一杯学業に励みます。」


学生の本分だからね、それはきっちりやるつもりだ。


「良い返事ですね。それから前後しますが異能を生かしての人命救助、天晴れです。それも二度…十六歳以下では最多ですよ?誇ってくださいね?」


「は…はぁ…一度目も二度目も無我夢中だったんですよ、俺。英雄願望は昔からありましたから。」


押し入れの中ではなく、鍵付きのテーブルの引き出しに入っていた廻理少年の日記。


十四冊にも及ぶそれには八歳からの日々が事細かく記されていた。


そしてどの日記の一頁目には

【世界一のヒロイックになってやる!!】

と、記されていた。


そんな英雄願望の強い廻理少年だからこそ俺の魂は引き寄せられたのかも知れない。


これを運命と呼ばずどう呼ぶか。

俺は少なくとも、そう思っている。


前世のヒーローに憧れた俺と、廻理少年の夢は同じだ。

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