平原 愛留 1
翌日。
全身に響いていた微かな痛みも取れた。
朝食の後に念のため当家お抱えの医師に診断して貰ったが問題はないと言われる。
よし、じゃあ日課の運動に…なんて短絡的な行動はしない。
天道廻理15歳は学習する生き物なのだ。
軽くストレッチくらいはしとくか…
庭に出てから身体を調整するようにゆっくりと動かし始める。
うん、特に異常無しだな。
そんなこんなしていているとアカリとハイネたんが手を振って此方に近付いてきた。
「ぱーぱ、なにしてるのー?」
「運動だよ。アカリ、追いかけっこでもするか?」
「わー!やるやるー!ねぇねもする?」
「ウチは見とくわ。アカリ、楽しんできぃや」
「はーい!ぱーぱ、おいかける?」
「よーし、十数えるから逃げて良いぞー?タッチしたら交代な?」
「わーい!」
「能力使うのは無しだからなー?い1,2,・・・9,10よーし、いくぞー!」
アカリを追いかけ始める。
うん、身体は動く。
違和感も特に無い…か?
調子もそこまで悪い感じもない。
その後30分くらいアカリと追いかけっこを続けて屋敷に戻った。
「カイリ、おはよう。昨日言っていた研究機関の件だけどどうやら白の様ね。でも過去の人拐いをしていた者達の関係者…親族とか弟子に当たる者達が所属している事まで調べたわ。どうか気を付けてね?」
「母上、ありがとう。俺の方でも警戒はしておくよ。明日行ってくる!」
屋敷に戻ると天音母上から調査報告を受ける。
親族や弟子か…
怪しいっちゃ怪しいが、あの廿楽先輩が態々誘ってくれたんだ。
変なことは起きない筈…起きないよな?
よしっ、とりあえず先輩に連絡を終えてから第一リビングのソファに座る。
今日は金曜日、明日が土曜日。
日曜はアカリを公園に連れてってやるとして…月曜がパーティーか。
うーん、今日はどうするかな。
明後日ミミランに行くし、今日は家で大人しくしておく?
そんな事を考えているとメイドの一人が俺にお茶と一緒に四つ折りの紙を手渡してきた。
『今夜18時、離れの談話室に来てください。愛留』
「愛留さん?どうして俺に?」
直接声を掛けてくれれば良いのに態々普段使わない談話室を指定してくるなんて可笑しい。
いや、筆頭執事だし、外にもいろいろな肩書きがあるのだから忙しいのは分かる。
離れは屋敷の使用人達が生活する場であって俺ら天道の人間は滅多に近付かないのだが…
まぁ夕方になればその辺も話してくれるだろう。




