本当の美人ってすっぴんが綺麗
昼食は…向こうで食べるか、折角だし。
桜子ママンから貰ったお小遣い残ってるし、何ならへそくりもある。
そんな事を考えていると門の前からジャージ姿のチーム・六花の皆さんが此方に向かって歩いてきた。
「おはようございます。」
「おはよう、廻理くん!今日から正式に護衛として御守りするからね!」
「はい、よろしくお願いします。今日の予定なんですけど、お昼からミミックランドへ行くことになりまして。」
「ミミランだと?!マジか、やったぜ!」
ワクワク、と言った感じの真白さん。
美人がはしゃいでるのって見てて楽しいよね…!
「こら、真白!ごめんね、廻理くん。この子、ミミックランド大好きで…」
「いえ、うちのハイネも好きなのか張り切ってましたよ。由利菜さん達も行くとしたらバスを田中さんに出して貰うか。それで大丈夫です?」
「そうね、周辺警戒に私達はバイクと乗用車を出すけど、凛と芳加には近くで護衛させるわね?」
「助かります。それじゃ12時過ぎに屋敷で!」
「廻理くんはどこに行くの?」
「日課の運動を。少しその辺回って二時間くらいで帰ってくるだけですよ。」
「なら…真白と芽琉を連れてって頂戴。この二人副業でジムトレーナーをやってるから役に立つ筈よ?」
ほへー、真白さんは何となくイメージが湧くけど、芽琉さんも詳しいんだ。
「タハハ、昔取ったなんちゃらって奴だ。坊主、ビシバシ鍛えてやっから覚悟しな!」
「芽琉、ちゃんと真白の動き見ててね?私達は色々準備をしてるから。」
「あわわ…分かった…よ!頑張るぅ~」
凄く頼り無さげに答える芽琉さん。
でもチーム・六花のリーダーだし真白さんより強いと昨日の帰りに聞いた。
何も問題はないだろう。
真白さんが俺の腕を掴み、行くぞと走り出す。
待ってー、と追いかけてくる芽琉さんは凄く早かった。
まぁ、いいかと考えを放棄し真白さんの横を走り出す。
暫く街中を走り河川敷に到着した。
整備されているし、ベンチや自販機、公衆トイレも完備している。
「ふいー…そろそろ休憩すっか。なんだ、坊主。息切れもしてねえな。いつもどのくらい走ってるんだ?」
「んー、日によりますけど大体二十キロ前後ですかね。」
てか真白さん顔が近すぎる。
睫毛長っ、これすっぴんだよな?
肌ツルツルじゃん。
「おー、バチバチじゃねえか!っとすまねえな。あたしの性格上どうも距離感が近過ぎるって由利菜に怒られたばっかでよー。しかも坊主みたいな男とはあまり接点がねぇから女と同等に考えちまう。」
「いえ、お気になさらず。昨日似たような状況に由利菜さんと遭いましてね。けど美人な女性に接触されて喜ばない男はいませんって!」
「カーッ…年上をからかうんじゃねえ!」
「からかってませんよ?だって真白さん凄く綺麗ですし。」
「本心…なのか?」
真白さんの顔が真っ赤だ。
その羞恥顔、凄く魅力的なんだが…
「ええ、本心でふぅ…おわっ!」
「私を放置して二人の世界に入り込んだ罰です。むぅッ!」
「いひゃい、いひゃいって!ほへんへふー」
「何言ってるか分かりません。それよりストレッチをしましょうか。そこに座ってください。後ろから押しますね。」
あぁ…なんか芽琉さんが何でリーダーをやってるのか分かった気がする。
真白さんの勢いも下がってるし、この人に従わなきゃって気持ちにさせられる。
多分ギフトの類いじゃなくて生来の物なんじゃないかな?
「芽琉さん。俺と手合わせお願い出来ますか?」
気付いたらそんな言葉が口を出ていた。
彼女の強さを知りたい。
いや、違うか。
変身抜きでどこまで戦えるのか…ようは腕試ししたいんだ。
「え?私と?でも私魔術師だし…それなりには動けるけど…」
「何がそれなりだよ。あたしより能力抜きの試合で強い癖しやがって。てか琉音とも格闘実技で首位争奪戦してただろうが!謙遜もその後ろ向きな性格も行きすぎたらあたしらを貶してると一緒だって何度も言ってんだろが」
「あう…」
真白さんがドスを利かせた低い声で凄むと芽琉さんは言葉に詰まる。
なんか気分は良くない感じだけど、俺はゴリ押しするぜっ!
「手合わせ…願えますか?」
「分かりました。す、少しだけ時間を下さい。」




