皆でお買い物
翌日、起床しました。
トイレと洗顔、歯磨きを終えて一階のリビングへと移動。
ハニートーストを食べていたアカリの視線が俺を捉え、手も口も蜂蜜まみれな状態で吶喊してくる。
「アカリ、おはよう。御飯の時は走ったりしたらダメだぞ?」
「うー…めんちゃい…」
「よしよし、良い子だ。食べ終わったら買い物に行くぞ?今日は1日一緒だからな!」
「わふー!いっしょ、おでかけ?」
「そうだ。んじゃ御飯を続けようか。」
俺の朝食は和風だ。
御飯、味噌汁、鮭の切り身、おひたし、納豆。
わがままを言ったつもりはないが、御飯じゃないと体の調子があまり出ないと前にハイネたんにぼやいた事があり、それが料理長に伝わり、翌日から朝食は御飯になった。
本当、至れり尽くせりな生活だ。
前世(?)は家が貧乏で田舎暮らしだったから近所のおっちゃんおばちゃんの畑仕事を手伝って朝飯を食わせて貰っていた。
それは置いといていただきます、っと。
お、味噌汁の味噌変わったか?
風味と塩気が丁度良いな。
うんうん、朝はやっぱり味噌汁じゃなくちゃ。
ぱぱっと食べ終え食器を片して軽くうがいをしてから部屋に戻り日課のトレーニングウェアを来てからの敷地内をジョギングに向かった。
アカリの世話はハイネたんが焼いてくれるから任せられる。
うっし、今日のトレーニングは終わり。
軽く汗を流して出掛け用の服に着替えてアカリ達と合流。
ん?天羅と清奈が居ないな…お?
メッセージアプリが着信。
メールを開くと、『服選びに少し時間が掛かるから先に行ってて』とのこと。
仕方ないからアカリとハイネたんを連れて自家用車で移動することに。
運転手の田中さんは三十代の女性でアカリが乗り降りする時に飴をくれた。
子供好きなのかな?
今日の目的地は郊外のショッピングモールだ。
二百を越す店舗が連なり敷地は広大。
おまけにサッカー場とテニスコートまで完備していて兎に角広い。
東西南北でエリアを区切っており、一般人は南と西、富裕層は北と東と分けられていてトラブルも少ないし、セキュリティもバッチリだ。
そんなショッピングモール、〔天道モール〕はウチのママン桜子母上のしのぎ…じゃなくて経営をしている。
昨日のうちに用意された白いダウンジャケットにフリフリの青いスカートを身に付けたアカリはテンションが高くあちこちを駆け回ってる。
「ぱーぱ、こっちー!」
「こらこら、そんなに走ると転ぶぞ?」
「全くカイリってば…アカリ、ウチが一緒に行ってあげるから先に行っちゃアカンで?」
「あーい!」
なんて場面もあり、すっかりアカリとハイネたんも馴染んでいるようだ。っと、天羅から着信。
どこー?と此方を探しているので手を振って見せるとそれほど時間も掛けずに合流した。
今日の天羅は茶色いカーディガンにパンツルックの大人びたスタイル、清奈はいつものメイド服だ。
ちなみにハイネたんはアカリと似たような姿なので親子コーデと呼べる代物だ。
「お兄ちゃん、お待たせ。すっかり休日の親子じゃない?灰猫さんもママっぷりが凄いし」
「廻理坊ちゃまお待たせしました。理由は天羅さまが夜更かしをした為です。これは推測ですが、廻理坊ちゃまと出掛けると興奮した天羅さまが中々寝付けなくなってしまった為かと愚考します。更にわざと遅刻して付き合いたてカップルの『ごめん、待ったー?』『ううん今来たところー』を実践したかった確率87パーセント。」
「清奈、余計な事言わないで!と、とにかく折角来たんだから早く回ろうよ!」
「承知しました、お嬢様っと…アカリ、こっちだ。」
ひょいとアカリを持ち上げ、肩車をしてやる。
髪を引っ張られるがそこまで強い力じゃない。
ハイネたんが落ちないかと心配にアワアワしているのを横目に子供服コーナーを順番に回った。




