【スピードスター】飛燕
投稿再開します。
本日短めを三話、明日から一話ずつ、といった形になります。
12時更新です
これまでの道程で程々の装備品を確保している。
階段優先で道中にある宝箱とボスドロップ品くらいだけどな。
「これで90階層踏破だ!」
現在午後5時を過ぎて90層。今回はドロップ無しか。けどポイントうめぇです!
ドロップアイテムもそこそこ手に入れて強化はしているが、あと二時間か。
100層越えられるだろうか?
悩んでたって仕方ない。追いつけ追い越せ目指せ110層だ。
91層、特に問題なし。00:08:45でクリア。
92層、戦闘四回。少しロスって00:17:45でクリア。
93層、戦闘二回。そこそこのタイムで00:12:22でクリア。
94層、モンスターハウスに突入してしまい、大幅のロス…00:21:15でクリア。
・・・
これ行けて100層までじゃねえか?一時間近く掛かってるし…仕方ない、あと一時間本気で走ろうか。
「〈身体強化〉四倍。〈変身〉モード:飛燕、[気配察知][魔力障壁]!!」
〈身体強化〉を予め掛けてから〈変身〉で最速の英雄へと姿を変える。新しく覚えた[気配察知]でモンスターが居ない方向へ移動しながら[魔力障壁]で不意打ちを防ぐ。
【スピードスター】飛燕。
彼女は真っ黒なボディスーツに身を包み闇夜に紛れて敵を討つ。
赤い髪に青い瞳と燕のマスクでその麗しい相貌を隠しているがアルテマ登場作品のヒロインにして本業は世界を魅了し続ける名女優。しかしそれは世を忍ぶ仮の姿だ。
忍びの里育ちの父から仕込まれた忍術と陸上選手だったアメリカ人の母の間に生まれた彼女は幼い頃から辛い修行に明け暮れた。
才能を開花させた飛燕はアルテマの隣に立つ資格を得た。
素早い身のこなしと高い身体能力で翻弄するスタイルだ。
そう、女性だ。
俺の〈変身〉が何処まで模倣するのか…
それが疑問ではあったが、俺の身体には女性的な起伏が表れている。
「あー、あー…少し高くなってる?」
声も変わってるな。
まぁいいや。
進め進めー!
95層、96層を僅か15分で駆け抜ける。
四倍だと効果時間の問題と速すぎて壁に激突してしまうので二倍に抑えたがそれでもかなりの速度で移動出来ている。
速度にも段々慣れて来て97層は約五分で突破。
セーフティエリアの98層は直ぐに階段を下りて99層へ。
出待ちのギガンティックミノタウロスを飛燕の武器、刃鞭で切り裂き、先へ進む。
いい感じだ。
階段発見。
一度変身を解きインターバルを終えてから扉を開く。
それは人型の姿をしたモノだった。
黒の外套に身を包み、周りには光の玉が複数浮いている。
一陣の風が吹く。
フードの隙間から覗かせた顔は悲しそうな目をしていて、精緻な彫刻の様な美しさで耳は先が尖っていた。
「エルフ…」
目があった瞬間、俺の頬を岩塊が掠めた。
こいつが100層のボス。
エンシェントエルフか…全力で相手させて貰おう。




