獣耳はいいぞ!
ハッ!?俺はいつから寝ていた?
待て…思い出せ…
確か灰猫たんにサプライズをして、良い感じに喜んで貰った時に姉さん達が帰ってきて…
そうだ、テンラが帰ってきたんだった。
それでハグをしようとしたら渾身の右ストレートと容赦なき言葉の刃を突き刺されて…
大体思い出した…
けど、待ってくれ…
俺悪くなくない?
誰かイエスと言ってくれー!
「カイリ、やっと起きたんか?夕食の準備出来とるで?」
「あぁ…ちょっと記憶の擦り合わせをしていた…なんか散々だったけど楽しいな、ハイネ?」
「モチロンや。うち、こんな幸せな誕生日初めてや!それもこれもカイリがあの時あの場所に通り掛かって声を掛けてくれたんが始まりや!カイリ…あんがとなァ…!」
「気にすんな!俺はハイネの笑顔が見れりゃそれだけでいいさ。さて、腹も減ったし、飯に行くか!」
「…うん!」
ハイネたんのイタチ耳が現れてたのでどさくさ紛れにもみもみ…
うーん、固さと柔らかさが同居した良い耳だ。
ずっと触っていたくなる心地よさ。98億点!
「あ…あんま触らんといて…ぇな…!力抜けて…変にゃ気分ぅ…」
「おっと、すまんすまん!さぁ、行こうか。でもハイネも悪いんだぞ?俺の前でそんな触り心地の良さそうな獣耳を露出するなんてけしからん!思わず触りたくなるのが漢ってもんだろ!」
「い、意味分からん…!けど…カイリだったら……良い…よ?」
「ハイネ…?」
なんだよ、灰猫の癖に滅茶苦茶可愛いじゃねえか…
なんだこれ?
なんだこれ?
このまま唇を…奪っーーハッ!
「カイくーん?いつまでラブコメしてるのかなー?お姉ちゃん、嫉妬しすぎてカイ君の事膾斬りにしちゃいそーう。」
「愚兄よ!我の事をもっと甘やかさんか!使用人にばかりかまけていたら我は…我は…!うぇぇえん、お兄ちゃん!」
姉と妹+従者が突然扉バーン、俺とハイネ、ビクーッ!
てか危ねえ、俺よりによって何考えてたんだ?ハイネにキス…おかしいだろ?
そりゃ少なからずハイネがカイリの事を主従として以上に好意を向けているのには気付いてる。
けど彼女が好きなのは俺じゃなくて元の持主だったカイリだろ?
自惚れるなバカ…
だけどさっきのあの感覚…
もしかして俺の想像通りならば…?
「すまん、さぁ飯にしよう。今日はハイネの誕生日祝い&テンラ様の帰国祝いだ!朝まではっちゃけようぜ!」
「クスッ…流石はお兄ちゃん!私の下僕にしてあげようぞ!ヌッフッフ…!」
やっぱり嘘泣きしてやがらぁ。
「カイくーん!お姉ちゃんにも構ってー♡」
「ええーい、一斉に纏わり付くな!歩きづらい!けどまぁ…たまにゃこんな日があっても良いんじゃねえか?な、ハイネ!」
「ーーーうん!」
いやー、遊んだ遊んだ。
まさか流音姉さんが間違えて桜子マンマの酒を飲んじゃったのが全ての元凶だよな…
麗愛さんが悪乗りしてそれから下着相撲やら野球拳やら…
なんだよ、下着相撲って…?
ハイネたんに目潰しされてなかったら俺はどうなっていた事か。
俺の目は十分くらい機能してなかったけど…
夜も更け年少組は船を漕ぎ始めたので桜子マンマが寝かし付けて俺も部屋で寝ようとしたら素っ裸の姉さんがベッドに乱入してきて…仕方ないから俺は屋敷の離れに避難して漸く眠りに着けた。




