表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化&コミカライズ】怠惰な悪辱貴族に転生した俺、シナリオをぶっ壊したら規格外の魔力で最凶になった  作者: 菊池 快晴@書籍化決定


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

159/175

152 舞踏会

 最終日、翌朝。

 海沿いを走っていた。

 太陽の下、無人島の海のさざ波を聞きながら足腰を鍛えるのも悪くはない。


 昨晩は大変だった。

 夜静かに眠れたことが幸いだろう。


 まあ、シンティアとリリスと一緒だったのでちょっと寝不足だが。


 その時、波から何かが見える。


 幻覚……幻覚か?


 なんか下級生(ガキ)どもが……。


 ……嘘だろ?


「つ、着いたぞメリル」

「ベルク、死ぬかと思ったわ……」

「はあ、お風呂に入りた――ヴァイス先輩っ!? 何してるんですか!? もしかして朝から訓練ですか!? くぅーかっけえっす!」


 頼む。今はせっかくの落ち着いた時間だ。

 波を立てないでくれ……。


    ◇


「このカレー最高っす! え、ヴァイス先輩たちの手料理なんすか!? すげええ!」

「シンティア先輩、今日も麗しいです!」


 ガツガツとカレーを貪るメリルとベルク。

 シンティアは優しく微笑んでいるが、少しだけ頬に汗を欠いている気がする。


 なるほど、彼女にも限界はあるんだな。


 ったく、流石に伝えておくか。


「お前らいい加減にしろ」

「え?」

「え!?」

「確かに前に助けてもらった恩はあるが、俺たちにもプライベートがある。そもそも台風はどうしてたんだ?」

「踏ん張ったっす……」

「魔法抵抗で何とか……」


 しゅんとする二人、まったく、天才たちめ。

 とはいえ、まだガキだ。言って聞かせるしかないだろう。


 ふう……。


「次からは来たいときはちゃんと言え。ダメならダメだと伝えるが、勝手に後をつけるのはやめろ」

「わ、わかりました! すいません!」

「すみません……」


 それを見て、シンティアがメリルの肩に触れた。


「仕方ありませんわ。次から気を付けましょうね」

「はい、シンティア先輩……すいません。ベルクと話してたんです、また何かあったりしたら後悔するかもって」

「そうなのですね。でも、私もヴァイスも本当に感謝していますわ。一歩間違えれば何かあったのは二人ですから心配しています」

「「ごめんなさい……」」


 ったく、聞き分けがいいんだが悪いんだが。

 まあでも話し相手が少ないんだろう。


 以前もそうだったが、天才すぎると一歩壁ができるからな。


「ついでだ。お前らも参加しろ」

「え?」

「え?」



 それから数十分後、俺たちは海沿いで柔らかい棒を構えていた。

 再度水着に着替えている。


 ベルクは海パン、メリルはフリルのついたピンク水着、こいつら……遊ぶ気満々じゃねえか。


「失礼しまっす!」


 すると、空中で回転しながら海パンベルクが棒を振り回す。

 片手で受け止めるも――重い。


「すげえっす、さすがっす!」

「はっ、猿野郎が」


「リリス、かかってきなさい」

「はい――シンティアさん」


「アレン、今日こそかつぜ!」

「僕だって!」


 結局、俺たちはせっかく集まったんだからと訓練していた。

 魔族と戦って勝利したとはいえ、かなり苦労した。


 一分一秒も無駄にはできない。

 このあたりはさすがノブレスって感じだ。


 ベルクを叩き潰した後、俺の前に立ったのは、オリンだった。


「お前と戦うのも久しぶりだな」

「そうかもっ。ねえ――本気でいい?」

「ああ、来い」


 頭の上のピピンが突然飛んだかと思えば、太陽を背にしながら攻撃を仕掛けて来た。

 こういうところに遠慮がないのは、流石だな。


 反射的に視線を背けるも、魔力の流れで見ているので、ピピンの攻撃を棒で受ける。


 ――はっ、前よりも随分と重いな。

 

 使役した魔物は、従者の能力を継承している。


 この前の魔族戦でも、10体の上級魔物を操作した上で俺の元へやって来たらしい。

 とんでもない話だ。一体、何人分の仕事をしたんだ?


 だがそのとき――。


「――は、オリン、いつのまに」

「えへへ。――ボク、もっと頑張るよ。皆を守れるように」

 

 無人島にいる低級魔物が、一斉に、おそらく二十体以上がとびかかって来た。

 攻撃力ダメージは大したことない。だが、凄まじい才能だ。


 はっ、オリン。もしかしたら一番成長度合いが凄いのはお前かもな。


 一見するとただの男の娘だが、その裏はアレンのように正義感で溢れている。


「――けど、俺に勝つのは無理だがな」


 全魔物をはじき飛ばす。

 それを見てオリンは驚くのではなく、笑った。


 案外お前が、俺に一番近いかもしれないな。


 

 ベルクとメリルが来てからは、悔しい事にさらに笑顔で溢れていた。

 底なしの元気ってのは、ま、ノブレスには合ってるよなァ。


「ヴァイス、入りますよ」

「ああ。――似合ってるな、シンティア」

「うふふ、ありがとうございます」


 夜になり準備を終えた俺は、シンティアから声を掛けられて扉を開ける。

 初めて会った時と同じ純白のドレスだ。綺麗すぎて、思わず見とれてしまう。


 それからゆっくり歩み寄り、片膝をつく。

 それから手の甲にキスをした。


「行こうか。シンティア」

「ええ、ヴァイス」

「ヴァイス様、シンティアさん。もうみんな集まってますよ!」


 そういって立ち上がると、リリスに手を引かれる。彼女もまた、シンティアと同じ綺麗なドレスを着ていた。


「リリス、似合ってるな」

「えへへ、ドレスなんて初めてですよ!」


 渡り廊下をいくつも超えて、辿り着いた先は舞踏会だ。

 と言っても、音楽なんてない。


 だがせっかく使えるのだ。存分に楽しもうとなった。


「よおヴァイス、似合ってんじゃねえか」

「確かに、でも、僕たちもなかなか格好良くない?」

「はっ、馬子にも衣裳だな」


 アレン、デュークも黒い燕尾服で、似合ってやがる。

 シャリーも白く、それでいてしっかりとした綺麗なドレスだ。さすが貴族、慣れてやがる。


 トゥーラは意外にも黒いドレスだった。立ち振る舞いが堂に入っている。

 

「ヴァ、ヴァイスくん飲み物どうぞ」

「ありがとうカルタ。いい色だな」

「え!? えへへ、嬉しい」


 カルタは赤色で、透け具合がいい。


 それからシンティアはリリスと踊り始めた。

 正式な社交界ではない。男女の区別なんて必要ない。


 セシルはオリンとだ。ハッ、原作の最終盤みたいでいいじゃねえか。


 デュークはシャリーと、ほう、意外にもいいな。


 そして――。


「カルタ、俺はあまりうまくないが、どうだ?」

「え、ええ!? いい……かな!?」


 カルタは驚き、頬を紅潮させ、シンティアにちらりと視線を向けた。

 だが俺は手を強引に取る。


「気にするな。そんなことで怒るわけがない」

「わ、わわっ!?」


 踊りながら、カルタに声をかける。


「ありがとな、カルタ」

「え?」

「お前のおかげで、色々と助かってる」

「……私もだよ」


 全ての始まりはカルタだ。

 彼女がいなければエヴァと対等に戦うこともできなければ、竜を倒すことはできなかった。


 俺は成長している。


 だが俺1人の力じゃ、おそらくゲームはクリアできない。


 無駄な慣れあいをするつもりはないが、それは頭に入れておくべきだ。


「オリンさん、ほら足がまだまだよ」

「わ、わわ」


 その横では、オリンとセシルの声が聞こえた。

 だが俺は視線を向けなかった。ドレスか燕尾服か、見てしまえば確定してしまう。


 シュレディンガーの猫みたいなものだ。


 全てが謎のままでいこう。


「ベルク。足、踏んでる」

「え、ああ、ごめん!?」

「――でも、前より上手くなったわね」

「そう? ありがと」

「なんかその言い方、上から」

「な、なんでだよ!?」


 下級生どもも、こいつらでくっ付いてくれたらいいんだけどなァ。


 さて飴はそろそろ終わりだ。


 試験も始まって、色々と忙しくなるだろう。


 次はどの属性にするか、決めていかなきゃな。


「ヴァイス、お手を」

「ああ」


 そして最後はもちろん、シンティアと踊った。何を想ったのかデュークが歌いだし、アレンが続く。

 そこにシャリー。


 ったく、愉快なトリオだ。


「シンティア、お前は俺が守る。だから、これからも着いてきてくれ」

「ええ、どこでへでも。あなたの為なら」

 

 ったく、ノブレス・オブリージュの飴は、やっぱり嫌いじゃない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

-


怠惰な悪辱貴族に転生した俺、シナリオをぶっ壊したら規格外の魔力で最凶になった

☆書籍版、第1巻ご購入はこちらをクリック☆

-

怠惰な悪辱貴族に転生した俺、シナリオをぶっ壊したら規格外の魔力で最凶になった

☆書籍版、第2巻ご購入はこちらをクリック☆

-

怠惰な悪辱貴族に転生した俺、シナリオをぶっ壊したら規格外の魔力で最凶になった2巻
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ