100 最凶の四人
翌朝、ノブレス学園の正門。
「……時間、合ってるよな」
俺は久しぶりに、入学式と同じ正装に身を包んでいた。
真っ白なノブレス学生服の上から、襟付きの純白のマント、金の刺繍が入っているものを羽織っている。
リリスに綺麗にしてもらっていたので、ピカピカだ。
まるで新一年生。まあ、一応そうだが。
それよりも予定時間を過ぎている。
だがそれでもいい。もはや予定がなくなってほしいとさえ願っている。
そのとき――。
目の前からゆっくり歩いてきたのは、ミルク先生だ。
パンツルックの黒スーツっぽい服装、いつもと違う新鮮な格好だ。
はちきれそうなたゆんの破壊力が、余計にエロ――、いやなんでもない。
「早いなヴァイス」
「時間通りですけど」
「体感時間の話だ」
よくわからないが、口答えはやめておこう。
「残りの奴らは遅刻か?」
「みたいです」
と、思っていたら、遠くから魔力を感じる。
それは、高速で移動していた。
到着した後、髪の毛がボワボワになっているのは――シエラだ。
「す、すいませーん、ね、寝坊しました!?」
「夜更かししていたのか?」
「ごめんなさいっ気づいたら朝でしたっ」
ぺこりと頭を下げる。シエラでもミルクには敬語なのか。まあ当たり前だが。
そしてミルク先生、あなたも遅刻してますよ。
しかしこの二人が揃っているだけで不安だ。
といっても、最後の一人のほうがもっと……。
しかしあの人ならドタキャンもありえそうだ。
そのほうがいいな、うん。
「まあいいだろう。残りは一人か」
「あら、もう来てますわ」
すると突然、後ろから声がする。
魔力が一切感じられなかった。訳が分からない。
だが常識が一切通じない相手が、ノブレスには存在する。
いや、この世界でただ一人。
エヴァ――エイブリー。
「ちゃんと来たか」
「あら先生、私はいつも真面目ですよ」
「エヴァ、先輩よりも遅いってどういうことよ」
「シエラ先輩は、今日もちっちゃくて可愛いですねえ」
「そ、そういうのはいいの!」
おわかりいただけただろうか。
今ここにいるのは、ミルク・アビタス、エヴァ・エイブリー、シエラ・ウィッチだ。
とんでもない面子だ。いや、はたからみれば俺もその一人かもしれないが、俺からすればそんなことはない。
そしてなぜ俺たちが集まっているのかというと、これこそが、褒美だからだ。
「とりあえず近くまで飛びながら行くか、そのほうが早いだろう」
「はあい」
「朝から面倒だけど、それがいいわね」
ミルク先生がそう言うと、全員がふわりと浮く。
エヴァは箒に跨り、シエラは鎌の上に乗る。
ミルク先生は何も持っていないが、飛ぶことだけに集中すればかなり飛べるのだろう。
だが――。
「すいません、僕まだきついです」
この人たち、俺のこと考えてるかな?
飛行魔法って、凄い卓越した技術なんですが。
それに僕まだ下級生です。
「まったく、もっと研鑽しろ」
「あらあら、可愛いねえ」
「ヴァイはまだまだおこちゃまね!」
俺が反論できない状態は久しぶりだ。
まあ……たまにはいいか。
「なら歩いていく。お前たち、あらかじめいっておくが、暴れるなよ。今日は他校での親睦会だからな」
「そんなことしませんわ、先生」
「ヴァイ、ちゃんと先輩の言うことを聞くのよ」
「はい」
そう、今から俺たちは、ノブレス代表としてとある他校へ見学にいく。
下級生からは俺、中級生はエヴァ、上級生はシエラ、そして引率のミルク先生。
これが褒美。
だがメリットは大きい。
他校の魔法や練習風景を見ることができるのだ。
授業内容とかもある程度教えてくれるらしい。
楽しみだ。非常に楽しみだが――。
「高速で行くぞ。時間がもったいない」
「はあい、いい子がいるといいなあ」
「ヴァイ、ちゃんと付いてくるのよ。もし……着いてこれないなら、手を繋いであげてもいいわよ?」
「大丈夫デス、頑張りマス」
この面子、不安すぎるだろ……。






