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3 冒険者になれますか?

 思えば俺はファイヤーボールの魔法を授かってたんだよな?

 まぁこの魔法がどのくらい強いのかとか、どうやって使うのかとか全然分かんないけどな。


 でもお金を稼がないとホームレスだからな、無理でもやるしかないのかもしれない。


「一応ちょっとだけですが戦える自信はあります」


「そうなの? これまで魔物を倒した数は?」


「ゼロですね」


 きっぱり言いきった。


「はぁ、まぁいいわ。私が止める道理もないし。どこかで死んだとしてもそれは個々人の選択だしね。それじゃあこれからギルドに行く予定なんだけど、一緒に来る?」


「え? いいんですか?」


「別にいいわ、ついでだし。あとそんなに歳も変わらないでしょ、敬語やめたら?」


「え、まぁそれはそうか……?」


「私はテーナっていうの。よろしくね」


「俺は春太って言いま……って言うんだ、よろしく……」


 いきなり敬語外しは難易度高くないか? しかも女の子に……


「ハルタね。ふーん。それじゃあ行きましょうか」


「あ、ああ。でもどうしてテーナは俺のことをそんなに気にかけてくれるんだ? 普通はこんな怪しいやつ放っといてもいいのに」


 俺はつい気になり質問してしまった。俺が逆の立場ならここまでは絶対しない自信があったからだ。


「それを自分で言うのね……まぁそうね……別に深い意味はないかな……なんとなく?」


 テーナは小首を傾げていた。

 鎧がぎしりと音を立てる。

 優しい戦士さんだな。


「まぁでも私もこの街に最初に来た時はいろんな人に助けられたから。その時の恩返しって意味もどこかにはあるのかも」


「へー」


「……なにそのどうでも良さそうみたいな反応」


「い、いや、そんなこと思ってないけど」


 やばい、コミュ障がばれかけてる?





 異世界の街並みは凄く新鮮だった。

 中世ヨーロッパ風の建物が並び、歩く人たちも活気づいている。

 通りには露店が何個も建ち並び、肉やら果物やら武器やらが売られていた。



 歩き始めて十五分くらいで冒険者ギルドとやらに到着した。


「へー。結構立派なんだな」


 三階建てはありそうな木造の物件だ。

 看板には剣と杖が交錯するロゴが描かれている。


「まぁね。この辺りの建物だと一番大きいんじゃない?」


「なるほど、でも確かに、大きくて半端ないものすごさだな」


「感想がすごい適当……」


「うーん、でもなんか中に入ってくの怖いなぁ」


「まぁ怖い感じの人もいるにはいるわよ。でも基本刺激しなければ大丈夫だから」


「動物か何かなのか……?」



 テーナが出入り口から中に入っていったので、俺も恐る恐る後に続く。


「おぉ……」


 内部も外観に違わずかなり広々していていい感じだった。

 人はまばらだったが、厳つい鎧を着た人や、魔法使い風の帽子をかぶった人なんかもいる。

 あの人たちも冒険者ってことだよなぁ……



「あ! お帰りなさいテーナさん! もう依頼の方は終わったんですか?」


 出入り口から真っ直ぐ歩いた先に受付があり、そこに行くと受付嬢から声をかけてきた。

 はつらつとした感じの可愛らしい子だった。



「まぁね、けっこう簡単な依頼だったし」


「ええ、だってシルバーウルフの群れの討伐でしょ? Dランクの依頼とはいえ一人で討伐しちゃうなんて、流石はテーナさん、ですね! あれ? その後ろにいるお方は……?」


 やばい、早速ばれたな。


「あーすみません、実は冒険者になりたくてですね」


「っていうことだから連れてきたのよ」


「え、それって、テーナさんの推薦ってことですか? 一体お二人はどういったご関係……はっ、まさか……テーナさんの裏切り者!」


「なにをどう勘違いしてるの……」


 泣き崩れる受付嬢をテーナが宥めていた。




「なんだ、その辺で適当に出会っただけですか、まぁ確かに見た目的にもパッとしないですしちょっと違和感はあったんですよね、テーナさんと釣り合うような感じじゃないですもんね」


 メチャクチャ言うじゃんか。俺も流石に傷つくよ?


「私はまだそう言う下らないことに手を染めるつもりはないって常々言ってるでしょ? ネルこそ可愛いんだからその気になればすぐ作れるでしょうに」


「ええ? 可愛い? そうですかね、えへへ」


 おいそう言う話をここですんじゃねぇよ、気まずくなっちゃうだろ?


「すみません、冒険者登録って話でしたよね。本来であれば入会するのにも試験があるんですが、テーナさんの紹介ということならその試験もパスできますよ」


「え、そうなんですか?」


 めちゃくちゃラッキーじゃないか。


「はい。確か規約にCランク以上の冒険者による推薦があればどうのこうのみたいなのがあった気がするので」


 ネルというらしい受付嬢の子は、人差し指を顎に当てて思い出す素振りを見せていた。


「いや、私別にハルタを推薦したいとまでは言ってないけど」


「おいっ、そこはもうそういうことにしてくれていいだろ!」


「よ、呼び捨てだなんてもしかしてやっぱりそういう関係だったんですか!?」


 ああ、なんだかもうメチャクチャだ……





 結局そのあとはテーナが融通を効かせてくれ、加入のための試験はパスして貰えることになった。

 一安心したのも束の間、俺の冒険者入会手続きが始まった。


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