表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/15

14 ナンバーワン


「ふぅ」


 集中から解放された俺は、ほっと一息をつく。

 良かった、ちゃんとファイヤーボールを撃てた。

 相手はしょぼかったけど、個人的にはかなりいい感触だったな。ファイヤーボール撃つの気持ちすぎて癖になるかもしれん。



 でもこれで俺がちゃんと魔法で敵を倒せるということは証明されたはず。

 もしこれで不合格だったらもう流石に諦めるしかないが……まぁ個人的には満足だったしもうなんだっていいや。



「よし、とりあえず倒したぞ……ってあれ?」


 感想を聞こうかと思ったのだが、肝心の二人は何故か固まってしまっていた。


 ぱちぱちぱちぱち……


 遅れてテーナが拍手をしていた。


「さ、流石ね。ファイヤーボールと呼んでいいのかすら分からない桁外れの魔法……ただならぬ迫力も感じたし……もうあっぱれの一言よ。やっぱり私の目に狂いはなかったわ」


 テーナは何故か汗ばみながら、軽く笑みを浮かべていた。

 そんな緊張するようなことだったか?


「んじゃとりあえずは合格ってことでいいかな」


「当然よ、むしろ逆に良いのかっていうような気分になってるし」


「じゃあこれからどうする? 先に進むか?」


「そうね、行けるところまで行きましょう」


 と言うことで俺たちは先に進み始めた。

 だが一人付いてきてない人物がいることに気付く。


「あれ? ビリムさん……?」


 ビリムはまだ固まってしまっていた。

 唖然とした顔でピクリとも動いていない。

 どうしたんだろう?


 顔の前で手を振ってみるも、反応がない。


「ば、バカ、な……」


 突如そんな一言を発した。


「え? なんだ? 大丈夫かよビリム……ってうお!?」


 なんか知らないが、ビリムが凄い剣幕で俺をがっしり掴んできた。なんだ!?


「か、神が宿ってる!! この体には間違いない! 神が宿っているううう!」


「お、おい! 大丈夫か!? 」


「な、なんで、なんでラーマ様が人間の体に!? どういうこと、その力はまさしく……なんで、なんでこの男が、なんで、なんで、なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで――」


 こ、怖いよぅ……!!


「ビリム……! 離れなさい……!」


 ビリムはテーナに引き剥がされていた。

 な、なんだこの子!? 目が正気じゃなかったぞ? 大丈夫なのか……?







「テーナ……これってどういうことなんだ?」


 流石にそれどころじゃなくなり、俺たちはその場で休憩していた。

 ビリムは静かになったがうずくまってしまっている。


「分からない……こんなビリム初めて見たわ。もう付き合い始めて二年くらいになるけど……」


 テーナも大分面食らっているようだった。


 マジでどういうことだよ……めちゃくちゃ狂気に満ちてたぞ。狂人という言葉がまさに相応しい。ガチでビックリしたわ。


「……もしかしたら、ビリムの入信してる宗教がらみの問題かも」


「なるほど、そう言えばなんか言ってたな」


「私は興味ないから全然分かんないけど……ビリムの中では何かあるのかも」


 確かにビリムは神官だもんな。その辺に関係があっても不思議じゃない。


「……分からない」


 ポツリと、小さくビリムが呟いた。


「ビリム、大丈夫か?」


「あの輝き……あれはまさしく神聖なる輝きだった……ただの炎なんかじゃない。ハルタ……あなたは一体なにもの?」


 ビリムがこちらをぼんやりと見て尋ねてくる。


「俺? まぁ俺は……」


 毎回迷う質問を、また飛ばしてくる。

 この質問なぁ……正直に答えても別にいいんだが、その場合どういった目で見られるか分かったもんじゃないからな……。神様に転生させられたとか言ったところで信じるのか?

 ていうか思えばこの魔法って神様に直接貰った能力だよな? ビリムは神聖なとか言ってたけど、もしかしてそれが関係してたりするんじゃないのか……?


「わからん…………まぁそうだな。遠い場所からって感じだよ」


「なんで教えてくれない?」


「別に大したところじゃないからな。本当に普通の場所から来たんだ。だからわざわざ言うようなことじゃない」


 答えになってないような気がしたが、まぁ正解がよく分かんないから一旦保留ってことで……


「私の気のせい……ではないはず。その魔法には、確かな光が混じっていた。あの時見た光が……」


「よく分からないけど、ほら、プライベートのことあんまり聞いたって仕方ないでしょ? 冒険者同士の過去は詮索しないっていう暗黙のルールがあるじゃない。気になるのは分かるけど、今はダンジョンの中だし、ひとまず探索に集中しましょう」


 空気を変えるようにテーナが言葉を挟んでくる。

 ナイスだ、お前がナンバーワンだよ。


「……分かった……テーナの言う通り、詮索は冒険者の間ではご法度。聞くときは、相手の方から話すときだけ……ハルタ。悪かった、余計なことを聞いた」


 ビリムが頭を下げて謝ってくる。

 えっ! いや、そこまでのことじゃないというか、俺が無駄に渋って言わないのも悪いと言えば悪いし……。なんならもう言っちゃってもいいかな?


「い、いや、いいんだよ別に。そうだなぁ、全部の目的が達成されて、もうやることがなくなったってなったら、俺の知ってること全部教えてやるよ。でもとりあえずは世界八大ダンジョンの攻略っていう壮大な目的があるんだろ? それに向かっていこうぜ」


「それはほんとう?」


 ずずずっと凄いスピードでビリムが詰め寄ってくる。


「あ、ああ。本当だ、男に、二言はない」


「分かった。テーナ」


「え? あ、はい、なに?」


「続きを探索する。いち早くダンジョンをクリアする必要がある」


「そ、そうね。その為にここにいるんだわ。じゃあ皆、探索を再開しましょう!」


 と言うことで、俺たちは再び歩みを進めることになった。


 ヤバい、ひょっとしてなんか余計なことを言ったか? でもまぁビリムも普通に戻ったっぽいし、とりあえず落とせるところに落とせたってことで、大丈夫かな……? 大丈夫、だよね?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ