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10 ケーキは景気のいい証拠

 俺としては、正直一人でもやっていけそうな感覚が分かった以上誰かと組む必要性はないんだよな。

 俺は元々ぼっち気質で一人でのんびりやってくのがあってると思うし……


 まぁでもテーナに助けられた恩とかもあるしなぁ。ここで断るのも角が立つのか?


 それに確かにこの世界に来たばっかで常識とかはからっきしだし、先人たちと行動した方が学べる部分もあるのかもしれない。いうても一人でまったりするのなんて後でいくらでもできるし……



 ちょっとだけ迷った俺だったが、折角の機会を貰っておいて棒に降るのも損かなと思い、前向きな答えを出すことにした。


「……分かった。テーナたちのパーティーに入ってみるよ」


 俺がそう言うと、テーナは明らかに弛緩した表情を見せた。


「ほんと!? はぁ良かった。これで火力枠の問題は解決ね!」


「あくまで仮。使えなかったらしつこくこられても追い返す」


 なんか想像以上に好ましい反応だった。

 まぁテーナのパーティーっていうくらいだから凄いパーティーなんだろうし、それにこうして見ると……二人とも美少女だしな。まぁこれは完全なおまけと言うか男である以上仕方がないことだ。


 というわけで、俺は一旦テーナのパーティーに加入することとなった。





「それで俺が入ったところで一体何をしてくつもりなんだ? 当然目的というか、やりたいこととかがあるんだろ?」


 頼んだリンゴっぽい味のジュースを飲みながら、質問してみた。

 ここまで勧誘してくるということは、何も漠然と日々を過ごしているという訳ではなさそうだ。


「ええ、勿論あるわ。私たちは今ダンジョンの攻略を目標に活動してるの」


「ダンジョン?」


 この世界に来てからも聞いたことがあるようなワードだったが、なんだったかよく忘れたな。


「……まぁそんな気がしてたけどダンジョンも知らない?」


「知らないです」


「話には聞いてたけど本当に常識がかけてるっぽい……今までどこで過ごしてきたのか是非聞きたい気分」


「まぁここではない遠くって感じだな」


「こうやってはぐらかされるの」


「なるほど……」


「そんなことよりダンジョンが何か教えてくれないか?」


 俺の質問に対し、テーナはため息をつきながらも教えてくれる。


「ダンジョンというのは世界各地に点在する迷宮のことよ」


「迷宮……?」


「そう。いろんな形態があるんだけど、基本的には何層もの階層からできていて、深い階層ほど出現する魔物も強くなる」


「へー、魔物も出るのか」


「そうね、ただその出現ロジックはよく分かってなくて、判明してる事はダンジョンごとに多様な種類の魔物が住み着いてるということだけ。さらに言えば、ダンジョン自体も一体何故その場所に出現しているのか、どうやって生み出されるのかすら分かっていない。気付けばそこにダンジョンがあって魔物で溢れてる」


「へー……不思議な場所なんだな」


「そうね。とある研究者の話によれば、ダンジョン自体が生物なんじゃないかという説もあるぐらいよ」


 ふーん、不思議だなぁ、まぁ異世界っぽいと言えば異世界っぽいよな。あれ? でもなんで異世界っぽいって思うんだろう。ダンジョンって聞いてすごいピンとくるようなこないような……あれかな、神様が雷のせいで記憶が飛んだとか言ってたけどまさかその辺の知識も抜け落ちてたり……まぁ考えても仕方ないか。


 あとビリムさんは話に興味がないのかデザートを注文してやがるぞ。美味しそうなケーキ……


「そしてこれが一番大事なんだけど、ダンジョンには魔物だけじゃなくてお宝も出現するのよ」


「それは嬉しいな」


「そう。それも地上では手に入らないようなレアな代物がね。運によってはそれ一つ売るだけで一生遊んで暮らせるような額になったりもするから、皆必死になってダンジョンを攻略して回るというわけ」


 なるほどー。そりゃ確かに夢はあるな。俺も隙を見てケーキ頼もうっと。


「それで私たちはそのもっと先……話聞いてる?」


「え? 聞いてるよ」


「テーナはむしゃむしゃ話が長いむしゃむしゃ、もっと簡潔にばくっごくり、纏めるべき」


 ビリムさんが思いっきりケーキを頬張りながらなんか言っていた。大物だ……!


「一緒に行動する上で大事なことでしょ? そして、ここからが私たち天喰の猫の最大の目的とも言えるんだけど、それというのが世界八大ダンジョンと呼ばれてるダンジョンを完全制覇することなの」


「世界八大ダンジョン?」


「そう、この世界で最も巨大で難関とされる八つのダンジョンがあってね。その最奥に辿り着いてボスを撃破し、一番のお宝をゲットする! これが私たちの目的!」


 テーナはキラキラした目で言い放った。


「なるほど、ビックな夢だな」


「それだけじゃない。崇高な使命も隠されてる」


 ケーキを食べ終えた様子のビリムが参戦してくる。


「崇高な使命……?」


「そう。私たちラーマ太陽神教、信徒の考察では、世界八大ダンジョンそれぞれの最奥に眠るお宝こそ、ラーマ様が太古に身に付けられていた装備品という説が浮上してきている」


「へー……そうなんだ」


「そう。それらを集めることは私たち信徒の使命に当たる。全部集め、完成させる……!」


「因みに天喰の猫ってパーティー名もその装備品の一つらしいわよ」


「その通り」


 なるほど、ビリムにもちゃんと目的があるんだな。というか猫って装備なのか……?


「まぁというわけでダンジョンを攻略するためにも戦力が必要、だからメンバー集めも並行して行ってたってわけ」


「そういうことだったのか。話は大体分かったよ」


 そんな壮大な夢があっただなんて。

 俺なんて適当に生きてるだけだもんな。これからもきっとそうなんだろうけど。でもこの人たちの夢に乗っからせて貰うってのも一つありなのかな。



「だから行動を共にする以上は活躍して貰わないと困る」


「まぁ自信はないけど頑張ってみるよ」


 ということで俺はこのパーティーの目的を理解することができた。この世界の知識が一つ増えた。





「じゃあどうする? まだ午前中だし、やろうと思えばいろいろできるけど……」


「私もフリー」


「試しでテデダスのダンジョンに行ってみる? 軽く様子見る感じで」


「別に構わない」


「あ、ケーキ……」


「じゃあとりあえずギルドに戻りましょうか、会計は私が払っとくから」


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