表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒険者東へ  作者: 三風党
10/10

故郷へ

外ではたーん、たーんと音が聞こえてくる。種子島の音だと思うが、今はもう夜だろう。狙いが付くのだろうか。月夜なら見通しがきくと言うことか。そう言えば火を放たれたち言っていたな。すると外はかなり明るいのかもしれない。

「シロウ殿、俺たち二人をまた跳ばしてもらえるのか」

「はい、もう一度送らせていただきます」

「できるかどうか聞きたいんだが、どこにでも跳ばせるのかな」

「そうですね、まあ、いろんな時空に送ることができると思いますが」

「実は俺はオシショウサマの国に間違って跳ばされて、そこからここにまた跳ばされたんだ。俺の国に戻すことはできないかな」

シロウは少し考え込んでいた。

「そうですね。できるのではないかと思います。リード様の元々の座標を探り、そこに送ることはできると思います」

「そうか・・・」

俺はウーコンの方を向いた。

「ウーコン。お前国に戻りたいか」

「ん?」

「俺は自分の国に戻って冒険者を続けるつもりだが、おまえも来ないか」

「俺がリードの国に?」

「ああ、ウーコンならモンスターを倒す冒険者は天職じゃないかと思うぜ。まあ、猿人に対する偏見はあるが、おまえなら大丈夫だろう」

ウーコンも少し思案顔になったが、暫くするとパッと顔をあげた。

「いいな。いい話だな。俺はオシショウサマ達のことも名残惜しいし、故郷に残した猿共に会えなくなるのも寂しいが、冒険者ってのはやっぱり面白そうだな。行くぜ、俺は」

俺達は二人で大きく頷きあった。

「シロウ殿。そういうわけだ。俺たち二人とも、俺の国に跳ばしてもらいたい」

「心得ました。斉天大聖様を我が術でお運びするのは光栄の極みです。お任せください」

俺達が転移の準備をしているうちに外は増々騒がしくなってきた。

「ここに小屋が有るぞっ」

がんがんと戸を蹴る音がしたと思うと、出入り口の扉が蹴破られた。

「いたぞ」

「鉄砲隊撃てい」

たちまち、ダンッダンッと数丁の種子島が火を噴いた。

俺は無詠唱で風の盾で弾を防いだ。寸暇を置かずファイアーボールを撃ちこむ。

「うわあ」

「あちちちっち」

寄せ手の兵達は火達磨になって転がるが、入り口が派手に壊れて外からは丸見えだ。再び風の盾を構えた。

「シロウ殿、すまねえが手早く頼む」

「わかりました」

シロウが呪文を唱える。その向こうから、以前も見たサイクロプスの姿が見えた。ウーコンなら一捻りかもしれないが、相手をする時間も惜しいし、シロウの呪文の外には出たくない。

俺はライトニングを撃ちこんでサイクロプスを弾き飛ばし、風の魔法で竜巻を起こしその辺の兵を吹き飛ばした。

そうしているうちに時空が歪んできたのがわかった。

「無事パライソに行けることをいのっているぞっ」

俺が叫ぶのと、あたりの景色が消えていくのが同時だった。俺達はまたもや上下左右もわからない空間に投げ出された。近くにウーコンが居ることはわかる。自分の姿も多分見えている。転移も慣れてきたのかな。

俺は目を瞑った。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「冒険者東へ」はこれにて終了し「冒険者故郷へ」に続きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ