ローゼンハイム家族会議とご報告
「はぁ~…」
どうもごきげんよう…
第7騎士団団長兼ローゼンハイム侯爵令嬢兼大聖女のアイリス・ローゼンハイムでございます
私は今…重大な家族会議の真っ只中です
なぜなら…まさかのお母様のご懐妊が発覚したからです!
「いや…マジかよ…世間体というのをだな…いや…えぇ?信じられねぇ…」
困惑するクレイお兄様と
「ハハハ…母上が幸せならいいじゃないか?な?クレイ!」
お気楽な次期侯爵当主のエリックお兄様。
「し…仕方ないだろ?メーヴィスが毎晩誘ってくるんだから…儂かて男だ!妻を満足させなければならん義務があるっ!いや…責任がある!」
顔を真っ赤にして…開き直るお父様
「なんですか?クレイ…私がもういい歳だから大人しくしろとでも言うのですか?えぇ…私は確かに年齢は重ねています…でも見なさい!私はまだまだピチピチの21歳の見た目ですよ!子供だって作れるんですから!愛した男に抱かれる幸せを味わったことがないからそんな事が言えるのですよ!」
クレイお兄様に激怒するお母様…
確かに…クレイお兄様の言いたいことは分かります
いよいよ侯爵当主が世代交代が近いのに…まさか前当主夫妻がまだ子供を作っているんですから…
色々な方々に「お母様のお腹の子は無事ですか?」なんて言われたらさすがの私でも恥ずかしく思います…
でもお母様の気持ちも…分かる気がします!
私もお父様の事は大好きですもの…
永遠の愛の契りを結んだのですから…未だ愛されるのも当然で…素敵です!さすがお父様です!
「「「「アイリスはどう思う?」」」」
家族全員が私に問いかけてきました
いや…どう思うと言われましても
実際にご懐妊していますし…家族が増えることはいいことではないでしょうか?
「家族が増えることはいいことではないのでしょうか?」
「そ…そうか…アイリスがいいなら、いいんだ…多分」
「さすがアイリス、お兄ちゃんの気持ちを察してくれたのかい?」
「かわいいアイリスよ…儂は嬉しいぞ!」
「そうね…アイリス、あなたは分かってくれると思っていましたよ?」
…さっきまでの殺伐とした空気は何だったのでしょう?
私の一存で物事が決まるならこんな家族会議をする必要はなかったのではないですか?
…とにかく、お母様が第四子を望んだのはつい最近らしいのです
騎士団宿舎で生活するお兄様方と
騎士団本部の近所の小さなお家で過ごす私…
そして毎晩帰って来ては未だお熱いお父様とお母様
…もしかして子である私達が悪いのでは?
実家に帰る事が少ない私達を見て、独り立ちした寂しさをお母様は埋めたかった…?
「ご…ごめんなさいお母様…これからは週に2日、お屋敷に帰るように致します!」
「僕もごめん…母上、騎士団が忙しいからって寂しくさせて…」
私とエリックお兄様はお母様に謝罪致します
多分…寂しかったのでしょうね…お母様
本当にごめんなさい
「?私が寂しいのかと思いましたか?…いいえ?違いますよ?…あなた達が独り立ちして、また子育てしたいと思ったのと…私は【不老不死】ですから、ドウェインが機能しなくなるまでこってり搾っていっぱい子供を作って育てたいと思ったのですよ?いけませんか?」
勘違いでしたか…
ってさらっと恐いこと言いませんでしたか?お母様…
思わずお父様の方に目を向けると…
お父様は真っ青な顔をしていました
「お父様っ!ファイトですよ!」
「父上なら出来ますよ!」
私達には励ます事しか出来ませんが…これからもお父様は大変ですね!
激務ですがお父様ならできると思います!
「息子達がこう言っているのですから…あなたも頑張ってくださいね?楽しみにしていますよ?途中でへばるのは…許しませんよ?」
お母様はペロリ…と舌舐めずりをしてお父様を睨んでいました
お父様の方は…頭を抱えて苦しんでいましたけど
なるほど~…
愛し合うって大変なんですね!
「母上…ほどほどにしておいてやれよ…」
その光景を終始見ていたクレイお兄様はため息をつきながら、お母様を諭していました
ローゼンハイム家はまだまだ安泰ですね!
☆☆☆☆☆
「ブワッハッハッ!そいつはいい!面白い話じゃ!」
事の顛末を国王陛下にお話致しました所、今の反応でした
大聖女の授与式後のパーティで国王陛下がずっと
「アイリス嬢…ローゼンハイム侯爵夫人は大丈夫かの?明らかに腹が…その…まさか…?いいや…奴もいい歳じゃが…いや…あのローゼンハイム家じゃからの…規格外の巣窟じゃから…」
と何やら凄くお悩みになられていましたので真っ先にご報告にお伺い致しました
その話を聞いた国王陛下は非常に大満足したご様子です
「ドウェインの奴には散々困らされたからに!出すもん出してメーヴィスの上で腹上死するやもしれんな!ブワッハッハッ!そうなったら国葬でも何でもしてやるわい!ブワッハッハッ!」
「陛下!淑女の御前ですぞ!お下品な物言いはお辞めください!」
あっ…ボーリックさんいたんですね
それよりも…お父様がお亡くなりになったら国葬していただけるんですか!?
そうですよね!!ラインツ王国に多大な功績を残したお父様ですもの!
「お父様がお亡くなりになられた場合、国葬をしていただけるんですね!ありがとうございます!」
「お?…え?…………おぉ…約束しよう…」
ちぐはぐなお返事なのが気になりますが
お父様がお亡くなりになられましたら、国葬で壮大にお送りしていただく約束をこぎ着けました!
功績を見たら一目瞭然ですよね!ラインツ王国史上最強と言われた伝説の騎士様なんですから!
「それで…アイリス嬢はいつ嫁入りするのだ?婚約者もおらん…浮わついた話も出ん、女子としていかがな物かと思うのじゃが…?」
「へ?私ですか?」
結婚…ですか
全く考えていませんでしたね
普通の男女は結婚して子供を作り…立派に育てるのが普通の事ですもんね
でも…私ってほら?お母様と同じく【不老不死】ですから、結婚はいつでもいいですし…子供もいつでもいいかなって思ったんです
そんなすぐに身を固める必要はないですよね?
「そうですね~…したい時に結婚すると思います!」
「したいときに…か…男ができれば結婚したくなるぞ?儂の息子…エドはどうじゃ?あやつも儂の若い頃に似て端正な男じゃ!アイリス嬢と釣り合うと思うのじゃが…どうじゃ?」
第一王太子…エド・フロイツ・ラインツ様ですか…
私よりも2歳年上のお方で、今はウェインバル帝国にご留学中でしたね
確か…お知り合いのご令嬢達曰く…「エド様は素敵でいらっしゃいますわ!お優しく…とてもお強いお方ですの!」との評判でした
あぁ…でも実際は全然強くありませんでしたね
エド様と模擬戦をしたことはありますけど…一突きで終わってしまいましたもの
「う~ん…残念ですが私にはもったいない御方です」
「なんと!?なら…なら…パトリックはどうじゃ!?」
第二王太子…パトリック・フロイツ・ラインツ様ですか…
年齢こそ私と同い年の御方ですが、お会いしたことがありません
お知り合いのご令嬢達曰く「パトリック様は凄く魔法の才があり…とても聡明な方ですのよ!それに…お兄様でいらっしゃるエド様の事を凄く慕っておりまして…ご兄弟仲良しなのですよ!」
というお話は聞きました
「う~ん…あまり面識のない御方はちょっと…」
私は国王陛下がオススメする王太子2人をお断り致しました。
王妃様って…大変そうですもの
「…アイリス嬢よ、貴女は一体どんな男が理想なのじゃ?」
「え?えぇ~…まずは私よりも剣が強く、魔法に秀でていて…博識で…う~ん…エリックお兄様とクレイお兄様とお父様とお母様とオリヴィエ様とメリダス様とマチルダさんの良いところを全部持った殿方ですね!」
剣術が優れ聡明で度胸があり、不老不死で魔法に秀で綺麗な心を持ち優しさに溢れて女性の様に美しい御方という意味です
私の言葉を真剣に聞いていた国王陛下は玉座にもたれ掛かり…ため息をついて一言…
「そんな奴はおらん…」
はい…ですよね!
知ってますよ理想が高いのは!
理想は高くてもいいじゃないですか?
だってお父様やお母様みたいに一生愛し合うんですから!
「そもそも…貴女の対象は男なのか?…聞くと貴女は…メリダス君やファイアライゼン公爵令嬢…あのウェインズ連合国第三王女を懇意にしており…ウェインズ連合国の第三王女に至っては告白までしておったらしいではないか?」
「まさか…なぜその話を知っているのですか!?」
ウェインズ連合国第三王女…マチルダさんの事です
城壁に耳ありとは…こういう事を言うのですね…
恐ろしいですね…情報というのは
「いいや…すまん…貴女が女性を好む事が悪い事とは思わん…貴女の人生じゃからの…自由にしてもらって構わんのじゃが…儂は少なからず貴女を孫娘と同じじゃと思っておる…じゃからちょっと心配になっただけじゃ」
国王陛下…!
私、陛下に嫌われてると思っていましたがそうじゃないのですね!
こんな威厳のあるお祖父様は嫌ですけど、今の言葉は嬉しく思います!
「ありがとうございます!私はゆっくり考えて決めます!」
「そうしておくれ…」
「はい!」
私は陛下の心遣いに温かい気持ちを味わいながら…お屋敷に帰りました。




