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女騎士団長、異国に召喚させられ、聖女と祭り上げられる。  作者: DC224T
第1章~騎士団団長、聖女になる
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ファイアライゼン公爵家の夜会

騎士団の職務を早めに切り上げ、お屋敷に戻った私はすぐに夜会の支度をします。


帰って早々に湯浴みをして身を綺麗にし、夜会用のドレスにお化粧、宝飾品を着飾って姿見の前に立てば、ローゼンハイム家のご令嬢が出来上がりです。


先程まで騎士服に身を纏っていた少女とは全然違います。


「お美しいですよアイリス様」


「ありがとうサラ、あなたのおかげよ」


私の専属侍女であるサラにお礼を言い、お屋敷を後にします。


途中でエリックお兄さまと合流し、ファイアライゼン公爵家を目指します。


ローゼンハイム家、ブラッドリー伯爵家と並ぶ古くからラインツ王国に名を残す名家。


国王一家の次に力を持つのがファイアライゼン公爵家です。


医学に秀でていて、当主様もご子息様もお医者様です。


「あぁ…今夜の君は妖精のように美しいよ…僕のアイリス」


「まぁ…お兄さまも物語の王子様みたいですわ…でもお兄さま、妹である私ではなく、他のご令嬢にもその言葉を仰っていただきたいですわ、そうじゃないと本気になってしまいますもの」


「僕はいつだって本気なんだがなぁ…」


途中で合流したお兄さまを馬車に迎え入れて、馬車で15分…ファイアライゼン公爵家に到着いたしました。


ご立派なホールまで案内されてると、もうお夜会は始まっていました。


煌びやかなホールに集まる見目麗しい美男美女。


この夜会はファイアライゼン公爵家のご令嬢…フィリア様含む他のご子息様、ご令嬢様の婚約者探しと友達作りの為に開催されたお夜会です。


お夜会の主催者であるファイアライゼン公爵夫妻にご挨拶する為、お兄さまのリードに合わせてゆったりと歩く。


本当なら婚約者を伴って来るのですが、私達兄妹はお互いに婚約者はいません。


なので、兄妹で歩きます。


「ファイアライゼン公爵様、このような素晴らしい夜会へのご招待…誠に感謝致します」


「ごきげんよう、ファイアライゼン公爵様…煌びやかで美しいお夜会へのご招待…ありがとうございます」


お兄さまは左手を右胸に当てて頭を下げ、私はカーテシーを。


ラインツ王国で一般的なマナーとされるご挨拶。


私達の挨拶にファイアライゼン公爵はにこりと微笑んだ。


「これはこれは!ローゼンハイム侯爵のご令息様、ご令嬢様!よくぞお越しくださいました!

さすがローゼンハイム侯爵家を象徴するお二方、挨拶までしっかりしていらっしゃる!招待した私達も誇り高いですな!どうぞごゆるりとお過ごしください」


「ごきげんよう…お二人ともこれほど大きくなられたのね!本当に素敵だわ!エリックも本当にたくましいわ!アイリスちゃん…ほんっとうに可愛いわぁ!!!!うちに養子に来ないかしら?メーベルもきっと喜ぶわよ!」


「これっエカテリーナ」


ファイアライゼン公爵夫人…エカテリーナ様。

社交界の女帝と言われ、一挙一動全て見られており、気を抜くと本当に恐ろしいご婦人です。


…ですが、私にはなぜか激甘で、本当によくしていただいています。


エカテリーナ夫人はお母様のご学友で、私の事を娘の様に可愛がって貰っています。


形式上の挨拶を済ませると、後はもう自由です。


ファイアライゼン公爵夫人も、いつもの様に私に話しかけます。


「アイリスちゃんが来てくれるから、今日の軽食もアイリスちゃんの好物で揃えたのよ~!あらっ!今日のドレスは白が基調なの?アイリスちゃんにぴったりだわ!そうだ!アイリスちゃんにうちの領で取れた絹を使ったドレスをあげるわね?娘に着せても気が強くて似合わないもの…アイリスちゃんがうちのドレスを着て社交会に出てくれれば、きっと物凄い反響を貰えるわ!」


エカテリーナ夫人はとにかくお喋りが大好きで

、騎士団として定期的な訪問でも長話になってしまうのが玉に瑕です。


「ありがとうございます、私にはもったいないお言葉ですわ!フィリア様も太陽の様に明るく、お上品なお方ですからきっと絹のドレスもお似合いになられると思いますわ」


私はエカテリーナ夫人の言葉を丁寧にお返事しつつ、フィリア様へのリスペクトをする。


多分、どちらも角が立たない方法だと思うのだけれど…


「お母様不服です!あたしが似合わないなんて!」


長く綺麗な紫髪を靡かせながら、綺麗な紫薔薇の様に美しいドレスを着飾った琥珀色の瞳とつり目が印象の強い美少女が私達の元に歩いてくる。


ファイアライゼン公爵令嬢…フィリア様です。


「アイリス!そんなお喋りお化けと話してないでこっちに来なさいよっ!」


私よりも1つ歳上のフィリア様、私と幼い頃からの付き合いで、幼馴染のお友達です。


「全く…この子はなんでこうもお転婆なのかしらっ!行ってあげなさいアイリスちゃん」


エカテリーナ夫人に私は頭を下げて、フィリア様の方に歩く。


「お久しぶりですわ、フィリア様!お元気そうで何よりです」


「アイリスっ!本当に久しぶりね!会いたかったわよ!ほんっとうに相変わらずお姫様みたいで可愛いわね!」


フィリア様は今現在、お化粧品を作るお仕事をしていて お互いに忙しくてなかなかお会いする機会がなかったのです。


それと私のちょっとした目的があって、フィリア様とエリックお兄さまをくっ付けちゃおうと頑張ってます。


…といっても、実はエリックお兄さまとフィリア様はお互いに面識がなく


このお夜会が初対面になります。


「アイリス~…勝手に僕と離れないでくれよ!悪い虫がついたら気が気じゃないんだから!」


色々な方々に話しかけられて、対応していたお兄さまが私の所にかけて来ました。


ちょうどいいわね。


「あら?クレイ様?…ですわよね?」


「違いますよフィリア様、ローゼンハイム侯爵家次期当主、現騎士団総長のエリックお兄さまですわ」


私は手のひらでお兄さまを指して紹介します。


エリックお兄さまは、フィリア様のお顔を間の抜けたお顔で見つめていました。


「えっ…お兄さま??エリックお兄さま?」


私とフィリア様は呆然としたお兄さまに呼びかけます。


一体どうしたのでしょうか…?


「驚いたね…この世にアイリス以上に美しいご令嬢なんかいないと思っていたんだけど…君はアイリスと反対…アイリスが太陽なら君は月の様に美しいな…」


あら… お兄さまがフィリア様にご関心を抱くとは思いませんでした


フィリア様とお兄さま…うん、お似合いだと思います


お兄さまとフィリア様が仲良くお話している所を見守りながら、アップルジュースの入ったグラスを一口いただきます。


やっとエリックお兄さまが'ブラコン'という呪いから解放されるのですね…


私はつい嬉しくなり、笑みを浮かべてその光景を見続けていました。


…?


何か移動系の魔力を感じます


おかしいですね…こういったパーティーでは魔法はご法度のはずですが?


私は感知した魔力の根源を探して周囲を見回します。


「アイリス!」

「アイリス!?」


あら?お兄さま達が私の方を見ています。


私は足元で光る魔方陣を見て思います。


狙いは私でしたか


…なかなかの実力をお持ちのお方ですね。


ん~どうしましょう


私は顎に人差し指を置いて考えます。


「アイリス!何を考えてるんだっ!?」


お兄さまは慌ててます。

無闇に魔方陣の中に入る危険性を知っているので、さすがに立ち入れません。


そうですね~…術者の思惑通りにしてあげますわ


私を狙っていますもの、大きな悪事でも起こそうと思っているのでしょうね。


…ふふふ


私は思わず笑みを浮かべてしまいました。


私、自他共に認めるラインツ王国最強ですから。


久しぶりに手応えがありそうな方々がいそうですわ


足元の魔方陣が完全に発動して、周囲は閃光の様に光りました。


行って参りますわねお兄さま

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