凶器の計画
「バールクヘッ」
執務室に乱入し…凶暴な笑みを浮かべて現れた細身の男
バルクヘッド直属の部下でありながら、制御が効かない乱暴な男…ウィリアム・ラルグスター
「なんだ…ウィリアム、私は忙しいのだ」
バルクヘッド大佐は日夜…疑惑の聖女について調べ回っている
メリダス教団からなんとか聞き出せないか探り続けていた
「なァ…バルクヘッドさんよぉ…?いい加減…あのくそ教皇も聖女も殺しちまえばいいじゃんかぁ?」
「貴様は馬鹿なのだな、もし2人を殺めてみろ…我々の立場が完全になくなってしまうぞ」
仮にでも我々は教皇様と聖女様を御守りする立場にある
その我々が2人に手を掛けたらどうなる…結果は一目瞭然だ
軍隊が解散し、新たな軍隊が編成され…我々は反乱因子扱いだ
「でもさぁ~手詰まりなんだろ?あの教団はくそ女以外は何も知らねえ…なら、簡単な話じゃね?そのくそ女を拷問して吐かせて…聖女を殺しちまえばいいじゃんかぁ?」
「アホなことを…それができないからこうやって足で情報を集めているんだっ!少ない頭でよく考え直せ!」
ウィリアムの戦闘能力は圧倒的だ
…だが、こいつは頭が悪い。
もし、こいつに相当な頭があれば大佐として指揮を執れるのだが…それは無理な話だ
この男のスキルは【バーサーカー】
戦闘に生き、戦闘に愛される男だからだ
「はぁ~…辞めるわ」
「は?」
「軍人はつまんねぇ!!肩書きだの大義名分だのくだらねえことばっかりでつまらねえんだよ!」
執務室で暴れるウィリアムを軽蔑するように見つめるバルクヘッド
あぁ…そうか、こいつを軍人としてではなく…野盗にして襲わせれば教皇や聖女…悩みの種を解決できるじゃないか
「なるほどなるほど…ウィリアム、お前は賢い選択をしたな…」
「だろ!?」
ウィリアムは目を輝かせて、ニヤリと凶悪な笑みを浮かべる
その凶器じみた笑みに、バルクヘッドは内心…怒りを覚えながら言葉を続ける
「明日…聖女と教皇はエリアシュの森で英霊の墓に祈りを捧げる…その2人に強襲訓練をつけてやれ!…あぁ、たまたま死んでも仕方がないだろうが…な?お前の弟と仲良く招待してやれ」
ウィリアムには双子の弟がいた。
弟も【バーサーカー】を持つ凶悪な者
この2人揃って軍の不要品である。
「分かったァ…たまたま殺しちゃうかもねぇ?」
「あぁ…たまたま死ぬ可能性は大いにあるからな」
実質の…殺害命令。
それも、あくどい言い方で殺害を仄めかさない嫌らしいやり口であった。
厄介な教皇が死ねば、我々の計画は大きく前進する。
当たりをつけた海域の先…未知なる大陸を支配し…我が国が最強であるという事を証明できるのだ。
あの見目麗しい女が死体となって目の前に出される事を想像し…バルクヘッドは性的興奮を覚えた。
散々苦しめられた女達だ
死体となった身体を弄んで、自分達の使い道がこのためにあったと…天から見下ろすといい
その後はネクロマンサーに死体を売り払ってやろう
あいつらは、あのような美少女の死体を大いに好む
何…ちょっとした小遣い稼ぎにもなり得る
「聞いていたか?ドミトリー」
「はっ!」
私が一番信頼している部下のドミトリーが、すぐに返事をする
バルクヘッドは興奮を落ち着かせ、ドミトリーに指示を出した
「あの聖女と教皇が惨殺される瞬間を…あの記録魔道具で記録せよ…それらは私の個人使用のコレクションにする」
「…大佐、死姦のあとは私に譲っていただけませんか?銀貨6枚で…剥製にして飾りたいのですが」
そういえば…ドミトリーは生粋の剥製マニアだ
美女の死体から皮を剥ぎ取り、それを剥製にして飾る…バルクヘッドも人の事を言えないが、ドミトリーも相当な気狂いであった
「…銀貨6枚なら譲ろう」
「へッへッへ…ありがとうございます大佐…あれほど綺麗な女は滅多にいませんからね、最高の出来になるでしょう」
彼らは…イグラシア大王国で史上最凶のバルクヘッド部隊なのであった。




