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48話 怪しい天使カフェ

天使カフェのバイト募集に応募した所、早速面接の連絡が来た。クエスト村に登録してるのは私なので、付き添いでリーティアと共に店に向かっている。


道路の中央を走る路面電車に二人で揺られながら、お店について話していた。


「どんなお店なんだろうね。ここまで来ておいてあれだけど、変なお店だったら止めていいからね?」


「スノー様は心配なさってくださるのですね。私は大丈夫です」


「ま、まあ一応、旅は道連れ世は情けって言うし! 何だかんだ言っても、一緒に旅するのも何かの縁だし!」


「ウフフフ、ありがとうございます」


たじろぐ私を見ても、リーティアはいつも通りの気怠そうな雰囲気のままだ。よく考えるとリーティアと二人きりというのも初めてだな。


途中から何喋ったらいいか分からなくなり、結局それ以降は無言のまま天使カフェに到着してしまった。


店の名前は『エンジェルラヴ』って、完全に店長の趣味が入ってる気がする。


「見た目は至って普通の、お洒落なお店ね」


「そうですね。とにかく入ってみましょう」


二人でお店のドアを開けて入ると、数人の天使の格好をした女の子達が出迎える。お店は大盛況で、八割ぐらい席が埋まっている。


「お帰りなさいませ! 女神様!」


「女神様?」


「たぶん天使だから、お客が主の神様という設定なんじゃないですか」


「あーなるほど。そういう世界なのね」


お店の中はキラキラと輝いた装飾が施された内装で、テーブルや椅子は白い雲のデザイン。


正直言って落ち着かないな。私は普通のカフェの方が好きだわ。


「それでは女神様! お席にご案内させていただきます!」


「あー違うの。私達は今日バイトの募集で来たんだけど」


「あ! 失礼しました! すぐに大天使ツカサエル様を呼んできます!」


大天使ツカサエルって、つまり店長も天使になり切ってるって事かな。


それから待つ事約五分、ようやく大天使ツカサエルこと店長が現れた。


天使の格好をした、おじさん魔族。頭の上には天使の輪っかがあるけど、頭からは角が四つも生えていて全然天使感がない。

それに天使の衣装が明らかにサイズが合っておらず、ポッコリお腹が衣装の間からはみ出している。しかも足にはルーズソックスかよ!


「待たせたね下界の者よ! 私こそがこのエンジェルラヴの主、大天使ツカサエルだ!」


「…………」


「はい、今日はよろしくお願いします」


リーティア凄いな、私はこの店長のテンションに付いていけずに固まってしまったのに。


「うーん! いいねいいね! キミ達! さあ早速天使に変身してくれたまえ!」


「いやあの、私は付き添いで、応募はこの子なんだけど…っていうか、もう採用決定なの!?」


面接も何もしてない内から、もう着替えるように言って来る。かなり強引な店長だ。


「キミ達のような子なら大歓迎さ! さあ早く!」


「だから私は付き添いだって! それに仮面をしてるのに、天使なんてなれないでしょ!」


「それはそれでミステリアスな天使という事で、新たなるジャンルを獲得できそうだ!」


ダメだ、話しが通じない。このお店自体が、恐らくこの店長の趣向を全開で作った店なんだろうな。それによく見ると店長以外の天使は、みんな女の子だ。


「リーティア! 帰りましょう! もっと良い仕事探すから!」


大天使ツカサエルこと店長が気持ち悪くて、店を出ようとリーティアに促した。だがリーティアが冷静に対応をする。


「店長さん。今は私だけでお願いします。この方は私の保護者みたいなもので」


「ん-仕方ない! それならあなただけでいいさ! すぐに着替えて来たまえ! あと私の事は大天使ツカサエルと呼ぶように!」


「はい、大天使ツカサエル様」


そのままリーティアは、他の従業員に付き添われお店の奥へと入っていった。


そして店長が、


「あなたも気が変わったら何時でもおいで! 大天使ツカサエルは何時でもあなたを迎えるさ!」


「い、いえ……遠慮しておきます」


その後は店長とは話しが噛み合わないので、他の従業員と仕事の打ち合わせをして何とか終わった。


とりあえずこれで、クエスト村から報酬が入る。一日二万ミラはでかい。


しかも人気になれば、さらにそれにプラスアルファだそうだから、上手く行けばリーティアだけでもかなり儲けられる。


(でも、ちょっとこんなお店に置いていくのは気が引けるな)


少しリーティアに罪悪感を覚えながらも、店を後にしてホテルに戻る事にした。





――――




チビ雪はホテルの部屋でカールと二人でトランプをしていた。


「うわー! また負けたー!」


トランプでのポーカーというゲーム、チビ雪はこれでカールに十連敗を喫した。


というよりカールは、最初はトランプを知らなかったけど色々なゲームを教えたら、メキメキと上手くなってチビ雪を始め、次第に誰も相手にならなくなってしまったのだ。


スノーお姉さま…もとい小雪様も勝てなくなって、つまらないからもういい! と言い始め。


なので今は、あまりみんなでトランプをする事がなくなった。今はカールと二人だけなので、サシでの勝負を挑んだのだけど。


「ねえ、何でそんなにトランプ強いの?」


「大したことじゃないよ。要は相手の癖を見るんだ」


「クセ?」


「そう癖だ。チビ雪ちゃんは良いカードが来た時、僅かに目を右に向ける癖がある。そして手札が悪い時は、一旦座り直すんだ」


「ええー!? 私そんな事してる!?」


自分でも気づいていない僅かな癖。どうやらカールは、それを見抜く目が非常に高いみたいだ。


ここでようやく気付いた。リーティアが何故、カールがカジノに向いていると言ったのかを。


(でも、あの時初めてトランプをしたばっかりだったのに、リーティアはもう見抜いてたんだ)


カールも凄いけどリーティアも凄い。


もう一度ポーカーを挑みながら、チビ雪はそんな事を考えていた。

最後までお読みいただきありがとうございます!


少しでも楽しんで頂けたら、ブックマークや評価をして頂けると嬉しいです。


よろしくお願いします

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