聖剣『ウィル・メテオーラ』
「ゲップ。まだ消化が始まらないか。腹がでっぱったままだ」
ヒュドラーが独り言をこぼしていると、玉座の間の扉が勢いよく開き、青白い光が飛び込んできました。
「ヒュドラー! 人々を苦しめ、大勢の人の命を奪ったお前を私は許さない!!」
「エトワール姫! ベハハ! 何を今更! お前は私の妻になるのだ! これからいくらでも贅沢させてやるんだから感謝してほしいくらいだ! ベハハハハ!」
「許せない! 許せない! 人々の幸せを返しなさい! 人の幸せを奪う権利なんて誰にもない!! あなたは私が許さない!!」
エトワール姫がそう叫ぶと玉座の間にある『流れ星の剣』が強く光り輝きました。
シリウスはそれを見逃さず、エトワール姫を背中に乗せたまま光の速さで『流れ星の剣』が刺さった台座へ駆けます。
「力を貸して『流れ星の剣』!!」
エトワール姫はシリウスに乗ったまま剣に手をかけました。
「まさか! もういい! お前も喰ってやる!!」
次の瞬間エトワール姫は台座から『流れ星の剣』を引き抜き、大口を開けた怪物ヒュドラーに向かって振り下ろしました。
「はあああああ!!!!」
エトワール姫の一太刀はヒュドラーの腹まで切り裂きました。
すると中から、ヒュドラーに食べられた人々が出てきました。シリウスは彼らを青白い炎で包みました。そのあたたかな炎は人々の傷を癒しました。
「お父様! お母様!」
「「エトワール!!」」
王様と王妃様の傷も治りました。お互いの無事を喜び、親子は力強く抱きしめ合いました。
それを見ていたヒュドラーが喋り出しました。
「わるかった! ゆるしてくれ。な、謝ったんだからいいだろ? こんな傷じゃ死なないが、治るのには時間がかかるんだ。俺様にもその青白い炎をくれ」
シリウスは首を振ります。
「ちっ! いいさ! 奪ってやる! 俺様に癒しの炎をよこせ!!」
ヒュドラーの尻尾がシリウスの青白い炎に触れた瞬間、ヒュドラーは炎に焼かれました。
「ああ!! なんで!! どうしてだ!!」
ヒュドラーは全身を炎に包まれ、急いで海に逃げ込みました。陸に上がろうとすると消えない炎が体を焦がすので、恐ろしい怪物ヒュドラーは一生海から出られなくなりました。




