戦闘調査員の誕生!!(プロローグ)
時は西暦2048年、日本は前代未聞の問題を抱えている。
それは少子化、高齢化も上回る異常事態。
8年前、ある特殊なウィルスが日本中のネットワークで発生していた。
それは今でも続いていて、最近の調査でそれはAI(人工知能)によるものだと判明した。
当時では外国からのテロ行為だと思われていた。
しかし、その2年前にあった、国民多発発狂事件の影響で国民は、それは外国のテロではなく、国による洗脳ではないか。という仮説が立ち、ウィルスに感染された機種はその事件と同様に使用者に見たくないもの、思い出したくないものを何らかの方法で幻視、幻聴等で人々を発狂させていたことでその仮説を信じる者が多数だったため、国民は政治から離れ、日本は混沌の中に陥った。
あるところで、自分達のルールを定め孤立し始めた集団が現れ、その影響で日本中では所々、自分達独自のルールの集落ができていた。
1年が経つと国民は食糧や医療的に問題を抱え始めた。
食糧の場合、他の集落と契約を結び、食糧の調達や交換を行うことで、大きな問題にはならなかったが、国民の多くは国立病院を使うことを拒否していたため、本来すぐ完治できる病でも死人を出すこともあった。
それだけではなく、インタネットやWi-Fiに頼って生活を行なっていた日本人はそれらのものなしで生活するのは困難で、お金がある者は、国を立ち去り始めました。
テロだという可能性もあるため、国の出入りの手続きも複雑になっていた。
そんな日本に不幸中の幸と呼ばれるべき組織が成立された。
その組織はいわゆる何でも屋。組織の人員は学者が多いため、無料で子供たちに教育を与えるだけではなく、生活に役立つ機械の発明等、人々のために貢献する組織。
その組織は政治側についているという仮説も立てられたが、色んな集落で信頼を得ていた学者が集まって造った組織なのでその仮説を信じる者は少人数に収まった。
やがてその組織は国民に一番信用される組織となり、人々の不安の闇に光が差すような貢献を行なっているとのことで、組織は「聖陽組」と呼ばれ始めて、正式にその呼び名が定着した。
聖陽組では調査員と呼ばれる者たちがいる。
ウィルスの謎を調べるだけではなく、日本に発生する色んな問題を調べ解決をしていたが、とうとう、なかなか解決に至らない問題に直面してしまう。
調査を行うにつれ、謎が深まるだけであった。
人が行方不明になる集落の場所を調査に向かう調査員でさえ行方不明になるという事件が発生していた。
他の人々に不安が及ばないため、そのことを流布をしなかったが、いち早く解決するために、調査員は自分と同じ組織にいる発明家に、もし人間による悪事の場合に備えるため相手に怪我を負わせないための武器の製作を頼み、再び調査に向かったが、一人だけ大怪我を負え帰還をすることができた。
話しによると人体実験を行なっている組織が存在するとのこと、行方不明になった人たちが全員その実験の対象になっているとのこと、それらの実験で得た情報の成果を海外に売っているとのことをその調査員によって判明された。
それらのことを人々に伝えるか伝えないかで懊悩していると、戦いに長けた調査員を送るべきだという案が出たが、調査員はただの学者の集いであって、戦うことに詳しい者がいなかったため、その案は直ぐに採用されなかった。
そんな苦渋の闇に陥っていた聖陽組に光を持たらす者が現れた。その者は予想外の嵐のように姿を見せ、初めは聖陽組を潰さんとしていた。
西暦2041年6月2日。静まりかえった深夜2時。
入り口の門に『聖陽組』と書かれた。地上3階、地下2階あるその建物の中では未だに光が灯っていた。
日本の新しい政治と呼んでも過言ではないこの組織は日々努力は欠かせない。
学者は死に物狂いのように自分に科せられた役目を果たそうとしている中。その者が現れた。
当時の聖陽組には壮大な警備システムはまだ設けておらず、その者はほぼ不自由なく建物に侵入できた。
その者に気づいて声をかけた学者は全員一瞬にして昏倒され、その者は組織を建立させた。もと脳科学者で組織の責任者である倉橋由香総帥がいる部屋まで赴き彼女を眼前にしてこう言ったそう。
「お前が、この組織を作った人か」
眠気を必死に堪えていた倉橋総帥は急な展開に一瞬にして覚めると、冷静にその者に問いかけた。
「何者だ?」
「私は涼羅輝 舞矢お前を殺しに来た」
舞矢と名乗ったその者は当時では7歳の少女で、その見た目は悲惨なものだった。
身体中が泥で汚れていて、長い髪が乱れていて、その声のトーンは子供、ましてや少女のものだと思えないほど枯れていた。
しかし、殺すと宣言していながらも少女には武器と思わしきものを何も持っていない。
「何故だ?」
と倉橋総帥が聞くと舞矢は、
「お前たち、学者が憎い。私たちの力に、なりに来たと言いな、がら私の全てを奪った。だから、殺す」
舞矢は声が枯れているせいか、少し詰まらせながらも言葉を紡いだ。
「そう、でも、見る限り武器は持ってないようだけど。どう私を殺すつもり?」
「私はお前達が、私から奪った兄に、体術を教えてもらった。小さい時からず、ーっと。だから、お前みたいなお婆さんも、簡単に殺せる」
「お婆さんはちょっと聞き捨てならないね。私はこれでもまだ40歳よ?」
「……」
舞矢は何も言い返さなかった。これから屍になる人間の言うことなんか気にも留めていなかった。
その代わり倉橋総帥に向かって両拳を構えた。次の瞬間、棒立ちになっていた倉橋の後ろに回り、両腕でその胴体を掴もうとした舞矢は空気を抱きしめてしまった。
「はやっ!それが本物の私だったらもう死んでたね。残念、残像でした。なんちゃって」
「どうやって、かわした?」
いつの間にか舞矢の後ろでバカげた口調の倉橋に問いかける舞矢
「そうだね。強いで言えば科学の力。かな? だから、こんなこともできる」
倉橋がそう言うと、その部屋のあらゆるところに倉橋の姿が現れた。
「分身よ。さぁ、どうする、どれが本当の私かな?」
舞矢は無言で目の前に居た倉橋を通りぬけ、前にあったデスクの上に横になっているペンを手に持った。
そこに居た複数の倉橋は怪訝な表情をする。
舞矢は右手に持ったペンの芯を出し、天井に向くようにして真っ直ぐ上に投げた。
その速さはまるで放たれた矢のようだった。
パッリン、と電球のガラスが割れるような音が部屋中に響いた。
すると、舞矢の周りに居た複数の倉橋は消え、部屋の端に立っていた一人だけが残った。
舞矢は拳を握り締め前にあった障害物を飛び越え倉橋に一発パンチを入れよとして、その拳は倉橋の鼻先にで止まった。舞矢は電池が切れたかのように倒れた。
あまりの速さに倉橋は驚くことさえ忘れていた。
我に返ると倉橋の目の前でうつ伏せで倒れた少女を見て思った。
「この子、…使えるかもしれない」
これが彼女、初戦闘調査員、涼羅輝 舞矢の物語の発端である。