第十四話(前編) 怪盗紳士はキャラが濃い
賞金首だった赤猪も退治した。
もっとサブイベを片付けたかったけど、メインイベントがくるからな。
『引かれ者の小唄亭』に帰還だ。
「ただいまー、女将さん。旧街道の赤猪を退治してきましたー」
真っ赤な毛並みの大猪を、【浮遊】で浮かせて入る。酒場のあちこちから声が上がった。歓声だか動揺だか分からん騒めきだ。
「どうやって退治したんだい」
女将さんが目を白黒させていた。
捌いて肉と皮にするにも、五人がかりで一日を要する巨体だ。倒すとなればさらに人数が必要だ。
「ふふ。俺がナイフで一撃っ………ってのは冗談で、嬢ちゃんの魔法だよ」
「突進してきたところを【防壁】の魔術を張って、衝突させました。とどめはロックさんが刺しましたよ」
「運んできたのは嬢ちゃんだけどな」
女将さんが赤猪を検分して、賞金を出してくれる。ロックさんの分は宿代と酒代を容赦なく差っ引かれた。
「どれだけツケてたんですか」
「ロックの坊やはラピス・ラジュリに貢いでるからね」
女将さんが告げ口してくれた。
マジかよ。どれだけ太客やねん。
「それより嬢ちゃん、祝杯だ、祝杯! おれはホットエールね!」
懐があったかくなったら、次に暖めるのは胃と喉。
ロックさんはホットエール、わたしはホットワインだ。美味ちい。
アルコール飛ばして、ボスコップの実のジュースで割って、蜂蜜入れてあるのだ。ジュース成分が多くて、ワインとは別物かもしれないけど美味しい。
テーブルに運ばれてくる料理は、腸詰とベーコンの盛り合わせ。
「ねえ。山分けで良いの?」
「こんな山盛りのお肉、半分も食べられませんよ」
「いや、賞金。猪退治に活躍したの、ほとんど嬢ちゃんだった」
「でもロックさんの道案内があってこそですよ」
「そりゃそうだけどさぁ。嬢ちゃんには護符も貰ってるし」
ロックさんのナイフやベルトには、わたしが創った護符が嵌っている。
固定メンバーを強化するのは当然だ。
「そもそもですね。冒険者ギルド会員じゃないと、賞金首を倒してもお金が入らないじゃないですか」
賞金を出しているのは、冒険者ギルドなのである。
国家に属する憲兵や自警団は、越境する犯罪者に対して追いかけられない。下手に追いかけたら、軍事的な条約違反に抵触する。だから国境を越える犯罪者とか、国境街道のモンスターなんかは、冒険者ギルドが賞金をかけて治安維持を図っているのだ。
そんなわけで国家は冒険者ギルドを支持しないと、逃亡犯の溜まり場になってしまう。
賞金首を狩るのは、冒険者の権利なのだ。
冒険者抜きで退治したって、賞金は手に入らない。モンスターなら素材は手に入るけどさ。
「野郎ども、新しい賞金首情報だよ!」
女将が甲高く叫ぶ。
客たちが注目しているなか、板壁に賞金首の石版印刷紙が張り出された。人だかりで見えないので、わたしはふわふわ【浮遊】して、板壁を眺めた。
『怪盗 クワルツ・ド・ロッシュ 賞金額3000エキュ』
やってきました、メインイベント!
これのために寮に残ったんだから。
「怪盗かあ。もうそんな時期か。っていうか、なんで冬にしか出ないんだろうな。下調べかな」
農閑期だからだよ。あいつの実家、果樹農家だし。
「私見ですが、表の仕事が夏季に忙しいからでは?」
「ああ、表の顔かあ。あってもおかしくないな」
ベーコン齧りながら、ロックさんが疑問を口にする。
「予告状ってのがなんでかな? 盗みにくくなるってのに」
「怪盗は義賊であることを旨としています。そして忍び込むのは大金持ちだけ。予告状を出さないと、使用人が疑われて冤罪かかるからじゃないですか。嫌いなのは金持ちだけで、使用人に迷惑をかけられないと」
「なるほど。義賊って建前だから、そこの筋は通すのか」
「ま、ほんとのとこは、本人とっ捕まえて聞くのが早いですねぇ」
わたしはホットワインを飲み干して、お代わりを貰う。
「でも宮廷って魔法使いがいるよな。魔法でちょちょいのちょいって、怪盗の居場所わかんねーのかね」
「これも私見ですが、闇属性の耐性が高いと、【予知】とか【探索】とか【遠視】とかの魔術に引っかからないんですよ。魔術師じゃなくても耐性持ちはいますから、魔力と闇属性耐性が高いのかもしれません」
「よくわかんねーけれど、体質的に魔法で見つかりにくい奴がいるってこと?」
「おおむねそんな感じです」
真鍮のベルが鳴り、客が入ってきた。
ラピス・ラジュリさんとジャスプ・ソンガンさんだ。
「雪がちらついてきたから、今日はこっちで歌うわ。まずホットワインが欲しいわね」
寒いと思ったら雪か。
ふたりともこんな気温でも、露出が多い服だな。寒そう。
「ねえねえ、ラピス・ラジュリのおねーさん。おっぱい寒くないの?」
ロックさんがド直球に聞く。
わたしはワインを吹き出しそうになったけど、ラピス・ラジュリさんは妖艶に微笑む。
「心配ありがとう、坊や。訓練してるから平気よ。寒いところで露出しても鳥肌が立たないように、冬は毎朝、冷水で体を洗ってるのよ。ほら、なめらかでしょ」
ロックさんの手を取って、胸を触らせる。
サービスがいいってことは、相当な太客なんだな、ロックさん。貢いだ甲斐があってよかったね。
「おれね、今日は賞金首を仕留めてきたから、お金と武勇伝あるよ!」
「あら、素敵」
ラピス・ラジュリさんは嬉しそうに微笑む。
こりゃまた宿代と酒代がツケになるな。
ホットワインを飲み干す。
もう一杯飲みたいな。そう思っていると、ロックさんがわたしのコップに手のひらを置いた。
「嬢ちゃん、良い飲みっぷりだったな。薄暗いし送ってってやるよ」
「ラピス・ラジュリさんとデートするんじゃないんですか?」
「雇い主がぶっ倒れたら、おれの稼ぎが無くなっちまう。一番のお得意様だからな」
「それに、あなたになにかあったら、あのかっこいい保護者さんも怒りそうよ。怒ったら怒ったできっとセクシーでしょうけど」
ラピス・ラジュリさんは艶やかに微笑む。
だけどわたしに何かあったら怒る先生というのは、想像つかない。
「せいせいするんじゃないですかね。わたしが勝手にオニクス先生に懐いてるだけですし」
「あら、その名前。あの方、『隻眼のオニクス』の偽物?」
「………え、偽物って?」
「だってその名は、飛地戦争の英雄にして、闇の教団を壊滅させた、稀代の天才のものよ。片目が潰れてる男って、隻眼のオニクスを騙るやつ多いのよね。どいつもこいつも偽物で、ほんとに嫌になっちゃう」
「旦那はマジもんだよ」
ロックさんの言葉に、青と金の瞳が問うようにわたしに向けられた。
「先生の詳しい過去は伺っておりません。っていうか、その闇の教団を壊滅させたってのは、初耳なんですけど!」
つーか、闇の教団ってなんだよ。
中二病センス爆発している。闇の教団、あかん、笑えてきた。
「っていうか、闇の教団って何?」
「坊やはまだ小さかったのかしら? 闇の教団って十年位前に、永遠のいのちを研究していた邪教派魔術師たちがいたのよ」
永遠のいのち、ね。
どこの世界でもそういうの求めるやつはいるよな。
不老長寿と無病息災なら大歓迎。でも死なないってのは、どうなんだろ。分からん。
ただし不老不死を研究したくなっても、そんな中二病ネーミングはやめておく。
「で、不老不死の術を作って、術を掛けた対象がほんとうに死なないか、調べるにはどうしたらいいと思う?」
「殺してみる」
即答した。
「そう。それがいちばん確実よね。無能集団だったら被験者が死ぬだけですむんだけど、そこはなまじ有能な悪人がそろっていたから、中途半端な不老不死者を生み出して、耐久試験を繰り返していたのよ」
「えげつねー」
ロックさんが呻く。珍しく食欲が失せたっぽい。
「それを単身で瓦解させ、総帥の首を取ってきたのが、隻眼のオニクス」
「先生だったらやりかねない………でも先生、この前、光の教団に殺されかかってましたよ」
光の教団って、闇の魔術師を敵視してたな。
だったらその諸悪の根源を潰したオニクス先生は、どうして狙われているんだ。仲良くしてもいいじゃないか。
「あの連中は、闇の魔術師が活躍したのが気に食わないだけでしょ」
「闇の教団を滅ぼしたのに、光の教団に命狙われるって………貧乏くじですね」
「もし本物だったら絶対に寝物語をしてもらいたいわ」
ラピス・ラジュリさんはうっとりと語る。
たぶん先生は本物である。
だから絶対にラピス・ラジュリさんには、内緒にしておこう。
「ねえ、嬢ちゃん、帰るんだったら送ってくよ」
そうだな。あんまり長居すると帰りが寒くなる。
ロックさんが席を立つと、ラピス・ラジュリさんは別の男性客のところへと行ってしまった。
酒場から出る前に、わたしは【水上歩行】を詠唱する。
「あれっ、雪降ってんのに? くっつかない?」
「【水上歩行】は水を弾く魔術ですから」
ワインと【庇護】のおかげで、寒風もへっちゃらである。
「ロックさんはやきもちとか焼かないんですか? ラピス・ラジュリさんが他の男のひとと仲良くするの」
「へ? だっておれ、今あそこにいないじゃん」
「それゃ不在ですけど」
「自分がいない場所のこと考えたって、おれには意味がないもん。たぶんさ、普通の連中は故郷のこと想ったり、家族に仕送りしたり、自分のいない場所にも気を配るんだろうけどさ。おれはおれのいる場所がすべてなの」
「悟ってますね」
少し羨ましい。
「先の事考えないってだけだよ」
吹雪く六花の中、ロックさんは笑う。
そこだけ春の盛りみたいな笑顔だった。
………友人にはいいけど、こんな刹那主義が恋人だったら独占欲や嫉妬で発狂しそうだな。
「……あ」
門の前に見慣れた顔を発見してしまった。
フォシルくんの荷馬車が出立の支度をしていたのである。フォシルくんを久しぶりに見たな。サブイベ攻略しまくっていたから。
「ミヌレ………え、そいつは誰?」
「護衛のロックさんだよ」
端的に答える。
「ねえねえ、嬢ちゃん。あの男の子と知り合い?」
「ああ。ミヌレは俺が送っていく」
わたしが返事するより早く、フォシルくんが返事しやがった。なんでわたしの意思を無視するんだ、そういうとこ嫌いだぞ。
「へえ、良かったな、嬢ちゃん」
ロックさんはわたしの腰をひょいっと掴んだ。荷馬車の荷物のなかに、わたしの身体を詰め込む。フォシルくんは不愛想から不機嫌に切り替わった顔で、ロックさんを睨みつけていた。
「んじゃあな。嬢ちゃん、また雇ってくれな」
「ういうい」
荷馬車が走り出す。
凍てついた空気に、硬く響く車輪の音。
「護衛に雇ってる冒険者って、もっとおっさんだと思ってた」
フォシルくんが呟いた。
「若いけど腕は立つんですよ。最近めきめき名前が売れて、『ナイフ使いのロック』って言えば期待の新人ですよ」
「でも冒険者って将来は不安定だよなあ」
おまえはどうしてよく知らん相手をディスる?
そういうところでわたしの好感度、ガンガン目減りしてるんだよ。
いや、理由は察してるけど。
「ロックさんは共済にも入ってる冒険者ですよ」
工業ギルドや商業ギルドに保険があるように、冒険者ギルドにも共済といういざという時のシステムがある。
「でも………」
まだなんか言うつもりか。
イラついてきた。
「フォシルくんっ! わたし、ここまでで大丈夫です。じゃあねっ!」
何か言われる前に、【浮遊】を唱えて、馬車を思いっきり蹴る。浮き上がった全身が、空っ風に晒された。
次に【防壁】の魔術を唱えて、学院を目指した。
馬車より遅いけど、直線距離を進めるので結局、早い。
裏門の方に誰かいる。
冬木立の間で、オニクス先生と寮母さんがいた。雪が降りしきる中、ふたりともゆっくり歩きながら、何か小さな声で喋っている。
………なにを話しているんだろう。
オニクス先生の肩に雪が積もっていた。
寮母さんが何気なく払う。
「………」
あのふたり、距離が近くないか?
すごく意地悪な気分になった。
癇癪起こしたい。
あのふたりが近くにいるってだけで、石を投げてやりたい。
わたしってこんな恋愛脳だったかなあ。色恋沙汰には興味なかったはずなのに。
ひょっとかしてアレか、性行為が思考に影響しているのか。それはそれで、ヤれば落ちる女みたいで、わたしが気持ち悪いな。
寮母さんは寮へ戻っていく。先生だけが残って、木立に凭れた。
空を見上げる先生。
隻眼と視線が合う。
降りてこいと手で合図されるが、なんだか腹が立ってきた。いいや、もう、無視してやれ。知らんもん。
寮の方向へ足場を作って、跳ぶ。
「………ん?」
下方で魔力が動いているのを感じる。
見下ろせば、先生の周囲の小石が浮き上がっていた。
わたし目掛けて飛んでくる。
小石に【飛翔】をかけて飛ばしたのか。小石たちが弾幕となって襲い掛かってくる。
生徒に何するんですか。
「我は風の恩恵に感謝するがゆえに、盾となりてわが身を守り賜え 【防壁】!」
足場として使っていた魔術を、本来の用途として紡ぐ。
この魔術、物理攻撃ならほぼ防ぐが、耐久性はない。一度防げば散じてしまう。
わたしは呪文を重ねて詠唱し、幾重にも【防壁】を張る。
しまった。小石の被弾は防げるけど、これじゃ防戦一方だ。反撃はおろか逃走のための足場作りも出来ない。
完全に身動き取れねぇ。
初手ミスした。
大きく呼吸した次の瞬間、わたしの鼻腔を月下香の香りがくすぐる。
「見事な魔術展開だ」
背後から、先生の声がした。
まさか、地面で呪文を唱えている先生は。
「【幻影】…ッ」
「気づくのが遅い」
叱咤と笑いが混ざった声だった。
オニクス先生は小石を【飛翔】で飛ばす前に、【幻影】で身代わり置いて、その隙にわたしの背後に回っていたのか。
「この私を無視するとはいい度胸だ、生徒番号320」
「いえ、その……のっぴきならない事情がありましてね。とにかく目立たないところに移動しませんか?」
その提案は、受け入れてくれた。
わたしの姿を【幻影】で見えなくして、地面に降り立つ。
冬木立の裏道を進んだ。
葉がすべて散った梢は絡み合って、透かし編みのように折り重なっている。
「先週、職員会議があってな」
オニクス先生が沈痛な吐息を漏らした。
「【浮遊】と【防壁】を併用しての疑似飛行を市街地で行うことは、校則で禁止された」
「校則、増えなくてもいいのに………」
「不遡及の時点でありがたく思え。あの実技担当は遡及を主張していたがな」
ああ、シトリンヌか……
「殺意が顔に出てるぞ」
「ふへへ」
「戦場なら兎も角、上官殺しは出来んぞ」
………この口調、先生、上官殺したんかな。
「今回の件は褒めるべき行為だが、ますます目を付けられたな。国を救おうが世界を救おうが、学閥から弾かれると魔術師としては身の振り方が難しくなってくる。具体的に言うと就活が地獄だ」
………この口調、先生、世界救ったんかな。
「先生くらい凄かったら、月にある象牙の塔にでも就職できたのでは?」
「七賢者のうち、五人と折り合いが悪くてな」
遠い目で呟く。
何か仕出かしたんかな……?
「先生。そういえば法律の教科書に『一個師団を超える戦力相当の呪符を、個人が所持することを禁ず』ってあったんですよ。一個師団をどう個人が上回るんですかね」
「【幻影】で姿を消しつつ囮を設置、【隕石雨】を降らせて、広範囲に【恐怖】。残存兵を【精神破壊】で撃破すれば壊滅できる」
理論的にはそうかもしれんが、普通は実行するMPが無いからな。
消費MPって、【幻影】が30、【隕石雨】が9999、【恐怖】30で、【精神破壊】が100だよな。
「先生、【隕石雨】を発動できたんですね」
「ああ。だがそれを含めて、呪符の七割が国庫に召し上げられた。今の私は一個師団さえどうにも出来ん。無力を嗤うがいい」
出来る方がおかしいからな。
師団って一万人だもん。
先生のMPっていくつだろ。
戦闘メンバーに入れられないと、ステータスは分からんもんな。
ちなみに魔術師としてやっていける平均MPは100らしい。ロックさんがMP6、エグマリヌ嬢が初期MP80だけど300まで上がる。怪盗クワルツ・ド・ロッシュは初期3000です。
放牧場を通りかかる。
赤煉瓦の厩の傍らの放牧場には、いろんな馬たちがのんびりしていた。冬の薄暗さのなかでも元気だ。栗毛や粕毛や鹿毛の馬車馬たち、魚目で月毛の騎乗馬。孕んでいる牝馬も何頭かいた。
美しい青毛の馬は、先生の姿を目にした途端に駆けよってくる。先生の愛馬だ。
オニクス先生は微かに表情を和らげ、柵越しに愛馬を撫でる。
頬を、首筋を、たてがみを。
ああ、羨ましい。
恨めしいほど、羨ましい。
だってわたしはあの大きな手のひらが、どれほど優しい愛撫をしてくれるか知っているもの。わたしも獣の姿になれば、あの手はもう一度この膚を撫でてくれるだろうか。
物言えぬ獣になって、このひとの膝にすり寄りたい。
わたしは馬鹿みたいなことを考えている。
「私は馬鹿みたいだ」
半ば独り言めいた呟きだった。
「試験が終わったらきみが来るかと思って彫金していたのに、ずっと私を避けていたな」
「ふへっ? 作って……頂けるんですか…………」
思いもよらない言葉に、わたしの喉から間抜けな声が出た。
だって先生に、なんの義理も借りもない。
ペンダントを作ってくれたのは、わたしの空の護符を壊したせいだ。追加してくれたのは、図書迷宮でのあれこれがちょっと尾を引いたからだ。
「………暇だったからな」
先生はそっぽ向いて、愛馬を撫でた。
このひとが手ずから作ってくれたことが嬉しい。でもわたしが傍にいない時に、わたしの事を考えていてくれたことが、何より嬉しい。
先生の手が、指が、わたしのために銀を彫金する。
想像するだけで胸の下にある心臓が、高鳴る。
「来たまえ。きみの信用度の低い縫製では、呪符が紛失する可能性がある」
「ういうい」
わたしはのこのことついていった。




