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     Tuffy-2 お茶目なタフィちゃん、がさつなナナちゃん

 タフィーは、ナナに遅れること、三ヶ月で我が家へやって来た。

そして、タフィーは、やって来たその日から、ここは自分の家、とでも言うように、

リラックスしていた。


 もちろん、持ち前のお気楽な性格だから、とも言えるのだけれど、

前の家で一緒に飼われていたナナが、すでにこの家にいたのは大きい。

仲良し子良し、と言う意味ではない。

実は、それは、男のサガ、だったのだ。


 すでに自分の子を産ませた、精力あふれる若造タフィーにとって、

ナナは、新妻というなまめかしい雰囲気ではないにしても、

我が家は、格好のラブラブ新居となった。

後は、ナナの発情を待つのみだ。

それだと、あれほど衝撃的に、自分のご主人様を失う、

と言う経験をした割には、サッパリしているのにも納得がいく。


 そしてタフィーは、ナナの気を引くため、

せっせ、せっせと、ナナの顔をなめる。

時には、両手で、ナナの顔を押さえて、なめている。

私は、初め、タフィーが妹の世話をしている風で、可愛いな、

と思っていたのだけれど、それは下心あってのことで、

そんな純情なものではなかったのだ。


 とは言うものの、ナナの方が、タフィーより大きく、貫禄もあり、

見方によっては、若妻に対するおべっかにも見えるし、

奥さんにへつらっている風でもある。


 さて、この二匹には、以前の家から持ってきたベッドと、おもちゃがあった。


 ナナは、ワンコの縫いぐるみ付きベッドで寝る。

そこに乗ると、中に入れてある小さな機械のスイッチが入って、

トクントクンと、

まるで、子犬が、母犬の心臓の音を聞いているかのような音がする。


 そしてナナは、ベッドから頭を垂れ下げて寝ていることが多い。

また、頭を逆にして、背中の方に、反り返って寝る時もある。

猫のハプスブルグも、体をねじって寝たりして、

体の上半身と下半身の向きが逆になることがあり、

なんで、私の犬と猫だけ、そんな変な寝方をするのだ、と理解に苦しむ。


 それに、ナナは、夢の中で吠えているのか、

「ホァン、ホァン」

と、もし、水面に出来た大きな泡が弾ける音、と言うのがあれば、

こんな音かもしれない、なんて思うようなカワイイ声を出す。

それに

「グーッ」

と、いびきをかくし、

「クゥッ」

と鳴いたりもする。

くちゃくちゃと何かを食べている様な時もあって、結構にぎやかだ。


 代わって、タフィーは大人しく寝る。

ところが、お腹を上にして、無防備にも、へそ天で寝る。

「敵が襲ってきたらどうするの!?」と言うのだけれど、

それだけ我が家は、安心できる所なのかもしれない。

この癖は、後に生まれた娘に遺伝し、

生娘なのに、あらわな姿で寝ると言う、

情けない、父娘のデュエットを作り出すことになってしまった。


 ところで、タフィーと共にやって来たワンコベッドは、

熊の縫いぐるみ付きで、ただひたすらデカかった。

タフィーがそこに乗ると、可愛いと言うよりは、

まるでゾウガメにしがみ付いた子ガメのようだ。

とにかく、場所を取るので、さっさと捨ててしまった。


 おもちゃも、小型犬用にしては大きめだった。

それでも二匹は、その大きすぎるおもちゃで良く遊ぶ。


 特にタフィーは 「持って来い」 をして遊ぶのが好きで、

自分の頭より大きなおもちゃを銜え、得意そうに走って来る。 

しかも、それを延々と続ける。


 ナナに「持って来い」をさせると、

まるで、蒸気機関車の如く走って行き、蒸気機関車の如く戻って来る。

そして、私からちょっと離れた所に陣取って、

そのまま、おもちゃを前足で押さえて遊ぶ。

時には、おもちゃを激しく、ブンブンと振るので、ニッキーは、

「怖いー!」と笑う。


 ナナは、「持って来い」が出来ない訳ではないけれど、

別にしなくても、十分に楽しそうなので、ほっとく事にした。

特に、タフィーを遊ばせた後は、すでに、こちらも、うんざりしてしまっている。

つまり、面倒くさいのだ。

この様にして、我が家の犬の訓練は、絶ち切れになる事が多い。


 そうこうしているうちに、小型犬用の、可愛らしいおもちゃも増えていった。

噛むと音が出るおもちゃは、ナナのお気に入りで、

ピコピコと音を出しながら、あちこちと動き回って、とても可愛い。

ところが、それを真剣かつ必死にやるので、かなりうるさい。 


 さらにナナは、この音の出る部品を、壊すまでかじり続ける。

かなり頑丈な玩具でも、すぐに壊してしまう。

その後、大人になったナナは、控え目に遊んでくれるようになり、

今は玩具を壊す事は少なくなった。


 ナナは、一生懸命遊んだ後、水を、

チャッピ、チャッピ、チャッピと大きな音をたてて飲む。

どーしたらそんな大きな音が出るのか不思議だけれど、

お世辞にも上品とは言えない。


 代わって、タフィーは「タフマン」の血統書名が、

「冗談」と思える程、お茶目なワンワンだ。

おもちゃを壊さない代わりに、ひとりでも遊ばない。

タフィーは、遊んでもらおうと、タタタッとやって来ては、

前足で、ちょいちょいと合図し、その愛らしい瞳で愛嬌を振りまく。

私は、時には煩わしく思うこともあるけれど、

カワイさに負けて、つい相手をしてしまう。


 それで私は、彼らを

「お茶目なタフィちゃん、がさつなナナちゃん」

と言うことにした。

時々、私は、ナナを、「ナナ子ちゃん」と呼ぶ。

そして、タフィーを、「タフィちゃん」とか、「タフタフ」

なんて呼んだりもする。


 ところが以外にも、がさつなナナは、

香水の瓶型の「CHEWNE NO5」(チゥネルの5番)の、

ワッペン付きおもちゃが大好きだ。

それは、ニッキーが、ペット用ブティックで買ってきてくれた、

プレゼントだった。

ナナは、それだけは壊すことなく、丁寧に遊んでいた。

それなのに、悲しくも、他の犬たちが、(後で生まれた、第二婦犬の子犬たちと隣の犬)

香水のふたの部分をもぎ取り、その小さな穴から中身を出してしまった。

でもナナは、色も汚くなったそのぺちゃんこの玩具を、

未だに気に入って、遊んでいる。


 ぺちゃんこと言えば、我が家には、犬にも猫にも人気のある、

平たい「ひよこ」のおもちゃがある。

もともとは、その中に、西洋のマタタビの「キャットニップ」を入れる猫用おもちゃだ。


 それが、長年に渡って、二階から一階へ、そしてまた二階へ、

床の上からテーブルの上へ、そして箪笥の上へと家中を移動する。

銜え易いのかもしれない。

犬が銜えているのを見付けたら、壊されないように、すぐに取り上げるのだけれど、

未だに壊されていないのが不思議だ。

もっとも今は、銜えすぎたらしく、シールの生地がはげてきている。


 その後、ニッキーが「SNIFFANY & CO」(スニファニー&コ)の刺繍入りの、

ティファニーブルーの、箱型おもちゃも買ってきてくれた。

これもナナのお気に入りだ。

どうやら、ナナは、四角い形が好きらしい。

(それも、さっそく、子犬たちが、リボンの部分を取ってしまった)

 

 ところで、タフィーは、持ち上げられると、足をバタつかせることがある。

ある時、バタついた足が私の膝の上で、ツルッと滑ってしまった。

するとタフィーは、なぜか怒って、

「ムーッ!」とふくれっ面をし、ニッキーを爆笑させた。


 ニッキーは、そんなタフィーを、からかうのが面白くて仕方が無い。

お茶目なタフィーは、からかいがいがある。


 たまに、タフィーを、ニッキーの車、フォルクスワーゲンの、

真っ赤なニュービートルに乗せ、

ニッキーと二人っきりで、ドライブに行かせたりもする。

そして私は、女の子とドライブでいいね、と言わんばかりに、

「バイバーイ」

と、手を振ってタフィーを見送る。


 助手席のタフィーは

「エーッ!」

と驚き、動き出した車の窓から私を振り返る。

そして、ドアをカシャカシャッと、スクラッチする。

ドライブと言っても、袋小路の道路で、

車の向きを変えるだけの短い間だけなのに、

戻って来たタフィーの後ろ姿には、いつも哀愁が漂っている。

(タフィーは、車の向きが変わったのに、まだ向こう側の窓の外を見ているのだ)


 こちら側の窓が開くと、タフィーは、大慌てで、

笑っているニッキーの上を踏んで、私の腕の中に飛び込んで来る。

(何度もやっているのに、なぜ学ばないんだー!; 私)


 からかっているのが、ばれては面白くないので、

私たちは、やり過ぎないようにしている。

ところが、最近、タフィーは用心し始めたらしく、

ニッキーをお見送りをするのを、躊躇している風だ。

(だってぇー、油断ができないんだもーん!; タフィー)


 私は、お客様を見送る時、いつもタフィーを抱っこして外に出る。

タフィーは、日ごろから、窓の外を見て警護しているので、

一応は使命感を持って、この「お勤め」をしているらしい。

タフィーは、にゅぅっと首を伸ばして、

怪しいモノがいないかどうかを確かめる。


 まるで私を守る小さなボディガードの様で、頼もしく思えるのだけれど、

実際は、近所の去勢されていない犬が自分のテリトリーに侵入して、

雌犬を盗んでいかないよう警戒しているだけなのだ。


 寒い冬は、タフィーをブランケットか私のコートに包んで、

「タフィちゃんは、ぬくぬくー!」と、言々ながら外に出る。

ニッキーはこの 「お勤め」 が、

"Too, Easy Job !" (簡単すぎー!)

とあきれている。


 ところで、「さあ、外へお見送りに行きましょう」と言う時、タフィーの姿が見えなかったりする。

と思ったら、たいていは、すでに私の後ろにいて、

「お呼びでしょうかー?」とでも言うような顔をして、私を見上げている。


 「タフィちゃん、存在感が薄いよー」

と私に言われたタフィーは、やっぱりからかわれることになる。


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