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12. ランク稼ぎ

「この依頼受けます」

「かしこまりました〜」

「って言うか、遠隔で依頼って受けられないんですか? 正直いちいち受付まで来て依頼受けますとか終わりましたとか言うの面倒で」

「あ、それでしたらギルドの掲示板にアクセスしてログインしてから依頼を受けていただいて、依頼画面の一番下にある受諾ボタンを選択すれば遠隔で受けられますよ!」


 翌日。

 早速オークの巣を討滅する依頼を選択し、ついでに受付に質問するとそんな答えが帰ってくる。


「討伐依頼とかは完了後にコールセンターにかけて頂いてから指示に従って証拠をスナップショットで撮って貰くか、スカウターで録画した物を送って下さればオッケーです。流石に採集依頼とかは現物をここに持ってきてもらいますけどね」

「ほ〜」


 魔物は部位を切り取って、とか最初は思っていたが、現代化されるとギルドってこうなるんだな……

 そんな事をしみじみと考えながら転送装置に乗って、俺はこの星のパストラル地区の隣の地区となる、エクスクルシ地区へとやってきた。



 ラルリビ星、エクスクルシ地区。

 昔のエクスクルシ王国だ。

 富裕層の多いパストラルとは違い、中流階級の人間が多い。

 国土で言えば一万平方キロメートルぐらいの小さめな地区で、農業が盛んな区域でもあった。


 農業が盛んということは、それを狙う魔物も多いと言うこと。

 そんなわけで、オークの巣を討滅する依頼を受けたのが今日だ。

 オーク程度であれば推奨ランクはスペードの5だが、特に受諾制限がなかったのでそのまま受けた。

 俺の場合スペードがまだ2なので、とっとと稼ぎをするためにも自分のランクよりも適正ランクの高いものを受けたのだ。

 ……と言っても、そうやって稼ぎに手を出して死ぬ人も少なくない。そこは俺も気をつけないといけない。と言っても、こないだ焼き払ったゴブリンなんかはランク4推奨だからそこまで気にしているわけではないのだが。


「さて、と。オークの巣は……」


 スカウターのマップを展開し、辺りをチェックする。

 GPSみたいな機能を使って俯瞰的な2Dマップを自分の視界に展開。


 オークはゴブリンと同様に、地球人をベースに造られた狂気の産物だ。

 地球人と猪の遺伝子を掛け合わせて造られたとされるこの魔物は、更にゴブリンの遺伝子も掛け合わせているらしく、皮膚が硬く筋肉の鎧を纏っているため、物理攻撃はなかなか効かない事がある。

 例によって雑食であり、例によって人ベースの魔物と人()ベースにしているため年中発情期。ゴブリンよりは些か緩やかだが、すぐ増える特徴がある。



 なんだかなー。せっかくこう言うファンタジーチックな魔物が軒並みこう言うエグい経緯で生まれているから正直気が滅入る。

 どっかのゲームの赤と白の傘を社章にしている製薬会社かな? ウイルスを使用した生体兵器かな??


 そんなこんなでマップを頼りに巣を目視できる場所へと到達すると、それは見えてきた。


「ここか……」


 オークの巣は、まるでドームのようだ。

 予想とはだいぶ違っていたが、そういえば猪は屋根のついた巣を作ると聞いたことがある。

 加えて人ベースであれば、そんな物を作ることも容易いのだろう。


 さて。


「【クラグリフト(モノエスタブ)】」


 念力使いの俺がわざわざ念力呪文を唱え、物を浮遊させる。


 浮遊させたのは巨大な岩だ。

 自分もスキルの方の念力で浮かび上がり、巨大岩と共に空高くへと上り、狙いを巣に定める。


「行け!」


 そして発射。

 カタパルトの様に吹っ飛んでいく岩が巣に衝突すると、大地が揺れて近くの崖が落石を起こす。


 ドーム状の形状をしていた巣は岩の下敷きとなり、見るも無惨な姿になっていた。

 オーク共の姿は見当たらない。どうやらほぼ全部下敷きになったか?


 念の為に空中の高い位置に陣取り、巣の真上から辺りを見回す。

 岩からは煙が上がっている。オークたちからしたら突然家に巨大な隕石が降ってきて押し潰されたような物だ。

 可哀想だが、俺は可能なら死体が見たくないのと、強靭な肉体を持つオーク共をまとめて倒すならどうすればいいかを検討した結果、こんな事になってしまった。


「お、生き残りが居るな」


 外に出払っていたオークが何匹かが戻ってきたらしく、唖然とした様子で自分たちの巣を眺めている。

 鳴き声とかは聞こえない。だって俺今かなり高いところに居るし。


「じゃあ残党狩りを始めますか……」


 巨大岩を持ち上げた時とは真逆に、念力を薄く広く展開。

 草花や葉が舞い上がり、グルグルと俺の周りを台風のように吹き荒れると生き残ったオークたちが俺に気付き、何やら指を指して騒ぎ始めた。


「【広範囲展開(フィヨルドベルト)】、【鋼鉄化(メタニア)】」


 宙を舞う葉っぱが、その性質を変化させる。

 補助魔法を広範囲に展開させる術式を予め展開し、鋼鉄化の呪文を唱えて木の葉や花弁を全て金属化する。


 あとはもう簡単だ。


「貫け!」


 腕を払うと共に宙を舞う金属のベクトルを指定し、念動力でそれを飛ばすだけ。

 やっている事は簡単だが、敵からしてみたら細く鋭い金属片が天空から雨のように降り注いでいるのと同様だ。

 金属化させた雑草が勢いよく下界へと降り注ぐと、それはオークたちを切り裂き串刺しにしていく。


「そぉらっ!」


 そして外れて地面に突き刺さった金属を念力で再び持ち上げる。

 ここでオークたちはようやく俺が奴らを攻撃している事に気付き、石やら木の棒やらを投げつけようと試みる。しかし俺は空高く位置しているので、いくらオークの筋力が凄まじいと言ってもそれは届かない。


 中には魔法を唱えて火の玉やらを放つマージ的な存在も居るが、そこは俺の予め展開してあった斥力場で軌跡を逸らして回避。


 持ち上げた草花が俺の前でグルグルとうねる様に回転させ、念力でそれを押し潰して圧縮……いや、圧着させる事で槍を形成し、それを俺は射出。

 金属の塊がオーク1匹に脳天から突き刺さりその命を奪う。


「終わりだ。【物体爆撃(ボンバラガ)】」


 刺さった槍を対象に爆破魔法を唱えれば、その鋼鉄の槍が凄まじい衝撃で爆ぜ散り、爆発した鉄の破片と衝撃波で残りのオークを全て掃討してゲームセットだ。


 オークに、叫ぶ暇すら与えない。


「さてさて……」


 スカウターの録画機能を停止させ、動画ファイルをアップロードしてギルドに送信する。


 ……なんか地球で働いていた頃を思い出す。

 製品の検証データを.zipファイルに加工して、パスワードを付けて、それで……ううっ、あまり思い出したくない。


 ついでにスカウターの機能を望遠モードに切り替えて、オークたちが何か良さそうな物を持っていないか念の為にチェック。


 ……と、思ったけど、オークたちはかなり凄惨な殺し方をしているので、持ち物とかは原型とどめてないし、もちろんオーク共も原型は届けてなかった。俺の精神にダメージがあるだけだった。くそっ。

 次はもっとスマートに敵を倒そう。


 そのまま俺は依頼掲示板を空中で再度開き、他にめぼしい依頼がないかをチェックし、遠隔で依頼を受諾する。


「おっ、これも討伐系の依頼じゃん。ワームか」


 依頼内容は、ここからほど近い砂漠地帯に出没するワームの討伐だ。サンドワームであれば、推奨ランクは地対地であれば7相当で高いが、何らかの手段で空を飛べるなら推奨ランクは2段階下がってランク5相当の魔物。



 要するに、稼ぎをするには持ってこい。


「そうと決まればワームを狩りに行くか」


 歩くのもめんどくさいので、そのまま念力で自分の身体を浮かせながらふよふよと移動する俺であった。

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