11.変態ドラッグマン、マダガスカルへ行く
前回までのあらすじ:
渋谷駅のホームで発生した謎の閃光。これを浴びた人々は、翌日、異常な力を手に入れたことに気づく。“閃光”を浴びた若者リンダは、異常な力を乱用する者により、自分たちまでもが凶悪な存在だと世間に認知されるのではないかと危惧を抱くようになる。そして、親友イヌイとともに昏睡レイプ事件を起こした男を捕まえに行くことに決める。
バー「シラクサ」は、六本木駅から離れた場所にあるこじんまりとした店だった。顔見知りの固定客が集う場所なのだろう。店は狭く、8人も入ればいっぱいになってしまう。だが、この日は都合の良いことに1人の客もいなかった。
店は小さいながらに、独特の完成された雰囲気を醸し出していた。棚に並んだ酒を照らすライトと、カウンターに置かれたキャンドルの光が店内を上品に彩り、静かな音でジャミロクアイの曲が流れていた。
舘という男は、リンダの憶測どおり、そこでバーテンをしていた。30代後半の肌の黒い男だった。髪は短く刈りそろえられ、真っ黒に染まっている。
舘はリンダとイヌイが店に入ってからも、しばらくのあいだ見向きもせずにグラスを拭き続けた。感じの悪い男だった。
「今から? もうすぐ閉まるよ」
「一杯だけなんで」と言って、リンダとイヌイの2人はカウンターの席に座った。
舘は気だるそうにコースターを置き、キャンドルの位置を直し、メニューを手渡した。しかし、リンダはメニューには見向きもせず、じっと舘のことを眺めた。
舘はリンダの視線に気がつくと目をそらしたが、リンダがそれでもやめずに見つめ続けると、しびれを切らしてこう言った。
「なんだよ」
リンダは何も言わず、ワイルドターキーのロックを注文した。イヌイも同じものをと言った。
舘は眉間にしわを寄せながら、メニュ−を回収し、氷を削り始めた。
「間違いない。こいつだ」
リンダはささやいた。
「いいか、イヌイ。こいつはおそらく揮発性の幻覚・催眠作用を及ぼす成分を分泌してくる。さっきの作戦通りに動いてくれ」
「わかった」
「ラッキーなことにキャンドルが十分な光量を放ってくれている」
*
リンダの発案したこの作戦とは、モルモットに培養されている細胞の特殊な性質を活かしたものである。リンダはその性質にいち早く気づいていた。
ここで少し時間をいただき、私がモルモットたちに培養した細胞の種類について説明させていただこう。
私は可愛いモルモットたちに、2つの細胞を培養した。
セルA・B・Cと、セルJである。
セルA・B・Cは3つの異なる生命体に由来する細胞であり、それぞれに際立った特性がある。今回の実験では、A・B・Cのいずれか一つをモルモットたちに培養することで、それぞれの特性を彼らがどのように生かすか観察することにした。
尚、A・B・Cの完全体を培養するとあまりに強力なため、その機能を限定した形で培養している。そしてこの限定の仕方によって、セルには番号が振られている。A-023やB-060といったふうに。
一方、セルJは、我々ジェリーフィッシュ星人に由来する細胞であり、モルモットたち全員に培養する必要があった。Jは人間細胞とA・B・Cを結合させる役割を果たしているからである。
リンダは、このセルJの持つ性質の一つに気がつき、舘を捕まえる上で活用できると考えた。
彼の発見したJの特性とは、「光合成」に似た作用ができるというものである。
我々の祖先は、星雲に存在するガスや光を吸収し、活動エネルギーに変換することで生命を維持してきた。
つまり我々ジェリーフィッシュ星人には、呼吸や消化などといった代謝機能は不要で、ただガスや光さえあれば生き延びることができるのである。
モルモットたちにも、我々ジェリーフィッシュ星人と同様の「光合成」機能が備わっているのだが、それに気がつくものは少ない。なぜなら、呼吸や消化を止めてみようと思う者なんていないし、酸素や栄養分を生産するには、肺や皮膚の細胞を複雑にあやつる必要があるからだ。
しかしリンダは、その存在にいち早く気がつき、この「光合成」で生産した酸素を循環させることで、無呼吸状態を維持できると考えた。そして、呼吸さえしなければ、舘は恐れるに値しない、と。
彼のこの判断は正しい。
舘はセルB-034を培養された培養体「ドラッグマン(麻薬分泌)」であるが、「ドラッグマン」の及ぼす幻覚・催眠作用は主に、空気中に散布された成分を吸引することによって生じる。リンダの言う通り、空気を吸い込まなければ、害はないのである。
問題は、うまく呼吸を止め続けられるかということである。人の動作は呼吸のリズムと深く関連しているからだ。
*
舘は、丸く削った氷をグラスに入れ、そこにウィスキーを少量注いで、リンダとイヌイの前においた。バーテンダーとしての腕は確かなようだ。
リンダはグラスをキャンドルの光に照らし、イヌイにウィンクをした。作戦開始の合図である。
「舘淳二さん。うまく髪の毛が染まっているようですが、どこの白髪染めを使いましたか? 僕のはどうも安物だったみたいで」
リンダがそう言うと、舘は鋭い目でリンダのことを見た。しかしリンダは見逃さなかった。彼の目の奥に怯えが隠れていることを。
「それに僕は染めても染めてもすぐに白くなっちゃうんですよ。おそらく力を使いすぎるからでしょうね。使えば使うほど白くなるんだと思うんです」
舘は不自然な笑みを浮かべながら言った。声はわずかに震えていた。
「何の冗談だよ。無駄話は隣のお友達にしてくれ、こっちは疲れてるんだ」
「いや、これは無駄話ではないですよ。あなたの命に関わる非常に重要な問題なんです」
舘は恐る恐るリンダの目を見た。感情の消えた冷たい目をしている。舘の目の奥に隠れていた怯えが徐々に溢れ出てきて、こわばった表情を形作っていった。
「あなたのその能力、たいへん興味深いものですよね。使いようによってはなかなか便利だ。レイブで使えばハッピーになれるし、麻酔としても活用できる。あまりお勧めはしないが、金儲けにも使えるでしょう。どうです? 他にも良い使い道はあるかな?」
舘は黙っていた。
「あとはやはり、それを使ってセックスをしたら気持ちいいでしょうねえ。どうでした? 気分は」
舘はフッと笑いながら苦し紛れにこう言った。
「お前、頭がどうかしたみたいだな。何の話かさっぱりだ。もうだめ、今日はもう店を閉めるよ。出て行ってくれ。料金はいいよ。特別にタダだ」
舘はカウンターから出ると、店のドアを開け、リンダとイヌイが店の外に出るのを待った。
リンダは席に座ったまま言った。
「煙草は吸って大丈夫ですか? ここに灰皿があるから大丈夫ですよね」
「いいから、帰れ! てめえら!」
舘はイヌイの椅子を引き、無理やり立たせようとした。イヌイはパッと立ち上がると、舘の両腕をつかみ、背中の方へ回して身動きを取れないようにした。
「おい! てめえら警察呼ぶぞ、ボケ!」
舘はがむしゃらにイヌイの手を振りほどこうとしたがイヌイの手はピクリとも動かなかった。リンダは立ち上がり、店の扉を閉めると、舘の前に立ってこう言った。
「やめなさい、我々は警察よりも上部の組織に属する。警察を呼んでも無駄だよ。我々は国家の命により君の処分に来たんだ」
リンダは大きく息を吸ってから言った。
「時間がないので手短にやってしまうよ」
舘は目を見開き、顔を歪ませた。殺されると思ったのだろう。目をつぶり、体をわずかに震わせた。催眠成分を発散し始めたのである。
リンダはイヌイに目で訴えかけた。息をしてはダメだ、と。イヌイはわずかに頷いた。
無色透明の成分を汗腺から水蒸気と一緒に散布しているのか。この勢いだとかなり広範囲に及ぶな。想像以上に厄介だ。
キャンドルの光が当たる右腕の皮膚に神経を集中させる。すると酸素が生み出され、血液に浸透する。「光合成」ができている!
リンダは舘を注意深く観察しながら右腕で生産した酸素を体内に循環させた。そして、息を吸い込まないように、肺の中の空気をできるだけ外に出さないようにして言った。
「我々にはそれは効かないよ。無駄な体力は使わないほうがいい」
ロボットのような抑揚を欠いた声色になってしまった。
舘は、ハアハアと息を切らしている。そしてリンダとイヌイの様子がまるで変わらないのを見て驚いている。これまで、彼の狙った獲物は、その煙を吸うとすぐに意識を失っていたのに。
リンダはまたも抑揚を欠いた調子で言った。イヌイはにやにやと笑っている。
「いいかい、舘さん。あなたの命は、あなたの選択にかかっている。私の提案通りに行動すれば、あなたは何とか生き残ることができる。しかし、それができないというのであれば、あなたはこの世に存在しなかったことになってしまう。
いいね、では、まずは一つ目の提案だ。その臭い煙を出さないでくれ、せっかくのワイルドターキーが台無しだ」
舘は悲嘆にくれた顔で言った。
「なあ、頼む。殺さないでくれよ」
催眠成分はもう出ておらず、空気中の成分も徐々に薄まっていく。ようやくリンダの声はまともな調子に戻った。
「よしいい子だ。その調子で私の提案に従うんだ。
いいかい、二つ目の提案はこうだ。
明日の朝、マダガスカルに飛んでもらう。羽田、朝10時の便だ。香港、モーリシャス経由でマダガスカルに向かう。空港では、私の仲間が君を待っている。喪服みたいな黒い服を着た連中だ。そこから先は彼らに従うんだ」
「マダガスカル? どうして?」
「詳しい話はできないが、とにかく、我々の組織は極秘裏にあんたのような人間をとっ捕まえて処理することが仕事なんだ」
「処理?」
「ああ、処理だ。処理には抹殺と研究という2つのオプションがある。抹殺はこの場で行えるが、研究はマダガスカルで行われる。どちらがいい? こちらとしては、マダガスカルに行ってもらえた方が嬉しい。手を汚さなくて済むからね」
「マダガスカルに行けば殺されないのか?」
「ああ、治験のバイトみたいなもんだよ。気にしないでいい」
舘はしばらくの間黙っていた。その間も、イヌイは力を弱めず舘の腕をぎゅっと押さえつけていた。
「マダガスカルに行ってくれるね?」
鋭い目つきでリンダが言った。しかし、舘は何もしゃべらない。リンダがイヌイに目で合図をした。イヌイは片手で舘の頭を鷲掴みにし、グググと握り始めた。
「いたたたたたた! やめろ!やめろ!」
「舘さん、迷っている時間はないんだ。お店を閉める時間だろう? 明日の朝、8時に羽田で落ち合う。いいね? 時間になったら私から電話をかける」
舘は激しくうなずいた。
「それと、念のため言っておくが、逃げようとしたって無駄だよ。君の行動はすべて我々に筒抜けだ。まだ抹殺というオプションは消えちゃいない」
舘は憎しみのこもった目でリンダを見た。
「そんな目で見るなよ。これは自業自得なんだ、君の行動は国家を非常にまずい状況に追い込んだ。なぜだかはわかるね?」とリンダは言った。
舘は首を横に振った。
「とぼけてもらっちゃ困る。まあいい、事務連絡だ。荷物はパスポートと財布と携帯のみ。他には不要だ。それと周りには気付かれないようにしなさい。君は一人暮らしだから大丈夫だね。両親には思い立って一人旅をすることにした、1週間後には帰ると伝言を伝えておくように。いいね」
イヌイは舘を軽々と持ち上げ、椅子に座らせた。リンダは彼の目の前に3千円を置いて、店を出て行った。イヌイがその後に続いた。
*
犯罪者を相手に暴力を振るい、彼を怯えさせ、騙した。訓練の場なんていう生ぬるいものではなかった。死の恐怖にガタガタと震える舘の腕の感触がまだ残っている。
果たしてこれは必要なことだったのだろうか? 明日の朝、警察が来ていきなり逮捕状を突きつけられたりはしないだろうか?
イヌイの頭にふとこのような考えが起こった。彼は疑惑と不安を抱きながら、リンダとともに六本木駅へ向かって歩いた。
「作戦は成功でいいんだよな?」
イヌイがリンダへ尋ねた。
「うん。彼は間違いなく明日の8時に羽田に来る。そこで彼に航空券を買わせる。携帯と財布をコインロッカーに預けて、身一つでマダガスカルに渡ってもらう」
「それでどうする?」
「しばらくの間、日本には帰れないだろうね。時間さえ稼ぐことができればいいのさ。世論を味方につけるための時間をね」
イヌイはうなずいた。続けてリンダは朗らかな様子で尋ねた。
「それより、僕の演技はどうだった? 子どもの頃は俳優になりたかったんだ。嬉しいよ、ああいうハードボイルドな役回りができて」
イヌイは、その質問には答えなかった。そして、しばらくの沈黙の後に言った。
「なあリンダ・・・
君の力はここ数日のマネーゲームで信用している。信じられないようなことだけど、リンダには本当にいろいろなことがわかるんだろう。
でも、今回おれたちがやったことは本当に最適解だったのか?
もうすでに、犯罪者の仲間入りをしたわけだけど、おれたちはこれからも、こんなタフな役回りを続けていくことになるんだろうか」
リンダは、イヌイの顔を見た。それから彼は立ち止まって煙草に火をつけ、目の前の相棒に1本差し出した。そして穏やかにこう言った。
「そうかもしれない。もっと酷いことをしなければならないかもしれない」
「でも何のために? おれにはよくわからないんだよ。自分のやっていることが」
イヌイは煙草をくわえた。リンダがそれに火をつけた。
「面白いことがわかったんだ。
この力を手に入れてから、僕は思い浮かぶ質問を片っ端から頭の中で問いかけてみた。するとね、すべての質問の答えが必ず返ってくるんだ。これをしたいと思うと、その手段や方法も自然とわかってしまう。精度や具体性のばらつきこそあるけれど。
でもね、唯一、目的だけは違う。自分が何をしたいのか、自分の目的が何なのかを尋ねても、まるで思い浮かんでこないんだ」
イヌイは黙って話に耳を傾けていた。リンダは煙草から立ち上る煙を眺めた。
「自分が何をしたいのか、生きる目的は何か。この力を手に入れてから、僕はそれを真剣に考えるようになった。そして心の奥底にある揺るぎない信念に気がついた。これが僕の生きる目的なのだと」
リンダは煙を空に向けてはいた。空には都市の光を吸った青い雲が揺れている。雲の奥には、かすかに光る星々が見えた。
「この世界はより良く、より美しく、より心地よいものになってゆくべきである。これが僕の信念なんだ」
イヌイはリンダの目を見た。リンダの漆黒の目には、いつものように感情の色が見えなかった。
しかし、その奥には強く小さな煌めきがあった。北極星のような、小さいけれども確かな煌めきが。イヌイは知っていた。時にリンダはこのような目をすることを。理想に取り憑かれた、強く未熟な若者の目を。
イヌイはそれに気がつくと、思わず笑ってしまった。
「わからないやつだな、君ってやつは。リンダ、君の目的はこの世界をより良く・美しく・心地よいものにすることなんだね?」
リンダはうなずいた。
「今日やったことも、より良く・より美しく・より心地よい世界のためなんだね?」
リンダはうなずいた。
「そうだよ。あの閃光を僕は人類にとっての希望の光にしなければならない。怪しげな都市伝説にしてはならないんだ。それには、少しタフな道のりを歩まねばならない。そして、その道のりは僕だけの力では歩めない。今日は突然、こんなことをさせてしまって悪かった。でもイヌイ君、君の力が必要なんだよ」
リンダは友の目を見た。イヌイは首をすくめた。
「よくわからないけど、わかったよ」
「ありがとう。イヌイ君、君ならわかってくれると思ったよ」
「いや、君が何を目指しているのかはよくわからなかったよ、正直。
ただ、ここ数日の言動を見る限り、君の導き出す答えは基本的に信用に値すると思っている。それだけだよ」
リンダは笑いながら言った。
「あの変態ドラッグ野郎をマダガスカル旅行に送り出さなければならないという答えも?」
「懐疑的ではある。だが信じてみるよ」
「うん。では明日の8時前に羽田で。いいね」
「わかった。おやすみ」
「おやすみ」
2人は握手をしてから、六本木駅で別れた。
*
2人は翌日の朝、変態ドラッグマンをマダガスカルへ旅立たせることに無事に成功した。
舘淳二は、リンダのハードボイルドな演技とイヌイの怪力にひどく怯え、何も怪しむことなく現金や携帯電話をロッカーに預けてから飛行機に乗り込み、マダガスカルへ向けて飛び立った。
リンダとイヌイはこの日仕事を休んだ。
他にすることもないので、2人はコーヒーを買って羽田の展望デッキで飛び立つ飛行機たちを眺めた。
何も言わずにコーヒーをすするイヌイにリンダが尋ねた。
「イヌイくん、どうした? 妙に静かだけど」
イヌイは静かな声で言った。
「リンダ。お前、人格変わったか?」
「え?」
「ヘラヘラしてるけど、犯罪を犯してる自覚はある? おれらがやっていることは脅迫罪だよ。それに犯罪者を国外に逃してもいる」
「その認識はあるよ」
「怖くないの? それにあの男がかわいそうだとか思わないの?」
「怖くはない。かわいそうだとは思うよ。でも仕方がない」
「法を犯してもいいと?」
「今の状況では仕方がない」
「人殺しや窃盗もいいの?」
「それは人を悲しませることになる。誰も幸せにならない。だからしない」
「今回やったことは誰かを幸せにするのかい?」
「僕はそう思っている」
イヌイは答えなかった。
「こうなってしまったのは、たぶん僕が弱いからなんだよ。もう少しいい方法があるのかもしれない。でもこうする他に何も思い浮かばないんだ。それは僕にその方法をイメージする想像力とか余裕がないからなんだと思う」
しばらくしてからイヌイが言った。
「あの男、かわいそうだよ」
リンダはふと、この先、自分から感情がどんどんと失われていくのではないかという不安に駆られた。自分には舘がかわいそうだという気持ちが足りないのかもしれない。それは僕が薄情な人間だからなのだろうか。それともあの閃光のせいなのだろうか。
リンダは飛行機の中にいる舘のことを考えた。彼が今何を考えているのかを。
そのとき舘淳二は窓の外を眺めていた。灰色で無機質な滑走路を眺めていた。
彼はその後40時間に及ぶフライトのあいだ、自分の人生について考えた。
こんなはずじゃなかった。体に異変が起こって、びっくりして、少し度が過ぎただけなんだ。でももう終わった、俺の人生はもう終わりだ。もういいや、どうにでもなれ。さようなら僕の人生、俺の生活。
彼は機内食には手をつけなかった。物を食べるような気分ではなかったのだ。舘淳二という男は、自分のしたことを深く後悔した。そして自分を、窓に映る青い空を、この世界を強く憎んだ。
マダガスカルに着いてから、彼は空港の到着ロビーで迎えを待ったが、いつまでたっても迎えは来なかった。
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