恋色の波
世界は波で満ちている。
海の波、風の波、人の波。いろんな波で満ちている。
その中で、見えない波って言うのもあって。耳に届く、耳でしかわからない波がある。
ぼくが出す空気を震わす波は、他の鼓膜を震わせる。他が出す空気を震わす波は、ぼくの鼓膜を震わせる。
この耳を震わす波を、特定の誰かにしっかり聞いてほしい。ぼくの波を受け取ったその人が、明るくぼくに波を返してほしい。
その時、二人とも、心が波打ってほしい。
そういう気持ちをきっと、「恋」って、言うんだろうな。
不意に浮かんだこんな考えにバレないように吹き出すぼくは、
ピアノに向かう彼女の背中を、自分でわかるくらい、熱く見つめていた。
お題に更に「音」や「音楽」って言う言葉を使わない、って縛りを入れたらこんなのが出て来ました。
この発想の大本は音波って言う言葉でした。で、音と波に文字を分割したのがきっかけで、こうなりました。
正直、こん中のフレーズの一部と、ピアノに向かってる女の子が視えただけなんですけどねw




