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第2章 モモコのブログ①

 みんな元気してる?

 モモコこと、浦島桃子でーす。


 さて先日、仙台に行ってきたよん。

 神原ユリアがジョウモン共和国の国家元首である第一書記に正式に就任するということで、青葉城広場でセレモニーがあったんだ。

 ヤヨイ民国とジョウモン共和国は国交断絶している。だからヤヨイ民国の一般国民は普通だったら仙台なんか行けないけど、実は裏ワザがある。

 まずロシアのウラジオストックに旅行して、それから連絡船で北海道に移動する。次に函館で新幹線に乗り、青函トンネルを抜ければ、仙台はすぐだよ。


 セレモニーのクライマックスでは、神原ユリアがセーラー服姿で青葉城天守閣に登場。

 年齢は満十八歳とのこと。めちゃくちゃかわいい美少女なんだ。

 ヤヨイ民国の大手マスコミは、例によって行政の命令でさんざん彼女の悪口を言って貶めてるみたいだけど、わが国の男性にはロリコンが多い。

 情報操作で両国民を仲良くさせないのが彼らの仕事。でもあれだけ国家元首が美少女なら、貶めるにも無理がある。

 こっちに取材に来てたヤヨイ民国の男性記者たちが、おみあげにユリアちゃんのブロマイドやフィギュアをよだれを垂らしながら買ってたよ。記事では悪口ばかり書いているのにさあ。

 それにしろ、ユリアちゃんは先代の元首で父親の神原敏仁書記長には全然似てない。

 まあ書記長はぶさいくだから似ない方がよかったんだけど、でもあれだけ似てないと、実子じゃないという噂も国内では広がってるみたい。

 なんでもユリアちゃんは普通の人間じゃなくて、最新のバイオテクノロジーを駆使したゲノメロイドだっていう都市伝説もあるくらい。

 まあ天皇制じゃあるまいし、共和国で共産主義国家を標榜しているんだから、元首が世襲というのも矛盾した話だし、そう考えれば先代と血がつながっていない方がこの国の国民のためなんだろうけど、まあ相変わらず変な国だよね。

 ところで最近の若い人は、戦前の歴史をよく知らないらしい。学校じゃあ、意図的に現代史を教えないようだし......。

 あたしもまだまだ若いつもりだけど、戦前の歴史を知らない人のために、簡単に解説しておくね。


  **********************



 第二次世界大戦後、敗戦国となった大日本帝国の領土は三分割されたの。

 すなわち、ジョウモン民主主義人民共和国、ヤヨイ民国、米国領ジャパン州の三つ。

 南樺太、北海道、そして本州の東経139.75度(東京の壁)以東がジョウモン共和国、それ以西の本州と四国と朝鮮半島がヤヨイ共和国、九州、沖縄、台湾、その他、南洋諸島がジャパン州というわけ。


 一九四五年、ポツダム宣言を受け入れ、無条件降伏した日本はGHQの占領下に置かれた。東京裁判の結果、天皇を含む主なA級戦犯は処刑され、天皇制も廃止された。

 またこれと同時に九州、沖縄、台湾などが米国に割譲され、九州のハカタを州都にジャパン州が設置された。

 すると国内で共産主義革命が勃発。一九五〇年、ソ連の支援の下、革命家、神原成仁がジョウモン民主主義人民共和国を建国する。

 一方、米国は、戦前、CIA工作員だった吉田茂を初代大統領に東京に新政府を発足。国号をヤヨイ民国に定める。

 東京には山手と下町の境界である武蔵野台地に沿って巨大な壁が建設され、両国の国境をとした。これが有名な『東京の壁』というわけ。


 この頃、中国では毛沢東率いる共産党に追われた蒋介石の国民党は満州に亡命する。

 国民党は弱体化した満州国政府を武力で制圧し、一九五一年、マンチュリア共和国を建国。同年、永世中立国を宣言。


 ジョウモン共和国は仙台を首都とする共産主義国家で、東西冷戦時はソビエト連邦の同盟国だったが、一九九一年のソ連崩壊後、国際社会から孤立を強めている。

 一方、わがヤヨイ民国は東京を首都とする自由経済国家で、戦後、急速な経済成長を遂げる。



 以上が簡単な戦後史なんだけど、おわかりいただけたかな。


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