b.f.9
「見て見て、晴くん!抹茶が濃い!」
「一口ちょーだい♬」
「はいはーいっ」
抹茶をたっぷりと使ったパフェ。
晴くんは抹茶ティラミス。
抹茶ラテに、抹茶アイス…
本当に抹茶尽くしの旅をした。
たまに、オムライスとかハンバーグとかが
見えて、2人して釘付けになって。
「今日は抹茶尽くしなんだ…
これは、乗り越えなくてはならない壁なんだ…」
と2人して無駄にシリアスぶって。
馬鹿笑いした。
「晴くん、晴くん!」
「ん?」
「蟹!蟹が動いてる!」
蟹三昧とかかれた、蟹料理の店の前で
2人でお腹を抱えて笑った。
なにがおかしいのか、なにが面白いのか、
後々になって考えてみてもよくわからないことでも
その時は、楽しくて、おかしくて、仕方なかった。
「ふぁ〜つっかれたぁ〜」
「ずーっと歩いてたもんね。」
「足パンパン!」
「ふふ、お風呂上がりにお揉みしましょうか。」
「うむ、よろしく頼む。」
「ははっ、くっだらな〜」
疲れてるはずなのに、
懲りずにまた、2人で笑い転げた。
「あ〜気持ちぃ」
「うまいでしょ〜マッサージ。」
「ん、うまぁい。」
「声が砕けてますよ、お客さん。」
「気持ちよすぎて、とろけてます。」
「とろけてるって。」
ふにゃふにゃとふわ〜とした喋り口調から
もう寝てしまいそうなのがわかる。
「晴くん。」
「ん〜?」
「いつだって私は晴くんの大ファンだからね。」
「ふはっどぉしたの、きゅーに。」
「ん〜?ファンが増えても私が最初のファンだぞ〜って。」
「心配しなくても、ちゃあんと わぁってるよ。」
…ありがとう、晴くん。
離れようとしてるのに、
晴くんの頭に、心に私を残そうとしてる。
ずるい私。
ダメと止める、もう一人の私。
本能と理性なんだ。
くかーっと眠りに落ちてる。
疲れが一気にきたんだろうな。
「晴くん、大好き。」
そっと頰に唇を寄せた。
タイムリミットまで あと少し。