b.f.7
ガタン、ゴトン
電車に揺られながら、景色を眺めた。
「絶好の旅行日和だね。」
「ね!」
ビルばかりうつしていた窓は、
いつしか緑で染まってゆく。
「とりあえず、旅館着いたら荷物置いて
散策する?」
「するするー!あの旅館って古風な街並みが続いてるもんね。楽しみっ」
「俺も。」
「明日は抹茶尽くしでしょ、たくさん色んなことしたいねっ…て私変なこと言った⁇」
ジッと私を見つめているのに気づいて
なんだか気恥ずかしい。
「んーん。めっちゃ楽しそうだから、
休み取れてよかったなーって。」
そういう晴くんこそ、楽しそうに笑うから。
胸がぽわっと温かくなって
ちょっぴり傷んだ。
「す、凄い!窓から池が見える、
あっ鯉が泳いでるよ!」
「ふはっ…」
「あ、バカにしたでしょー」
どうせ子供ですよーだ。
「そんなことないって、可愛いなって思っただけ。」
「…そ、そんなこと言ったって何も出てこないもんねー。」
さらりと言うな、馬鹿野郎。
顔が真っ赤になっていくのが自分でもわかった。
晴くんはひとしきり笑ったら
簡単に荷物を持った。
「よし、散策しに行く?」
とにかく、1分1秒たりとも無駄になんてしないんだから。