表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
誘拐犯の星  作者: 沙羅咲
31/31

第6章 人生、いろいろ(4)

「ちなみに、あれ、私が持ってるから」


「は?」


 晃がウルフと遠野を見る。


「一番、安全で信頼が置けるでしょ?」


 そう言えば、遠野とウルフが頭を掻いて、苦笑した。


「まあ、俺たちはお互いに信頼できるほどじゃねぇしな」


「香織ちゃんなら持ち逃げしてもいいです」


 ウルフと遠野がそれぞれ答える。


 晃の眉間の皺が一段の深まった。


 私はそんな晃を無視して、軽く手を振ってウルフたちのほうへ歩く。


「じゃあね~。晃。私、彼らと一緒に行くわ。あの部屋で待ち合わせね。お父様とお母様をごまかすのは晃に任せるから」


 そう言い残して、あっけに取られた晃を残して、私は足早にウルフと遠野を引き連れて、ホテルの地下へ降りた。ウルフが車を用意している。


「晃、びっくりしてたな」


 運転席から振り返ってウルフが言う。私は後部座席でゆったりと座りながら肩をすくめた。


「まあね。自分の思い通りに行かないのなんて、初めてじゃない?」


「そうなんですか?」


「多分? ま、いいのよ。誠意を見せてくれるなら考えるけど、『好き』の一つもない男に嫁げるもんですか」


 そう言ったとたんに、遠野が助手席から振り返る。


「ぼ、僕は、か、香織ちゃんが、好きですから」


「おっと。先を越されたな。俺は愛してるぜ」


 私はウルフにはアカンベをしてみせる。


「ウルフのは言葉だけで気持ちがこもっていないから嫌」


 そう言い返せば、ウルフがにやりと嗤う。


「俺の本気を見せてやろうか?」


「お断りよ」


 ちょっとばかり身の危険を感じて断れば、遠野が口を挟む。


「か、香織ちゃんは僕のです」


「あ~。遠野? 勝手に決めないでよ」


 遠野が驚いたような顔をして私を見る。


「まだ決めてないし。それに…」


 私はそこで一度言葉を止める。そして視線を逸らすように、車の天井を見た。


「恋とか…よくわかんないし。本気だったら、本気で返さないと…悪いじゃない?」


 絞り出すように言えば、ウルフが笑い出した。


「嬢ちゃん、まじめだな」


 思わず彼をキッと睨む。


「そうじゃなくて、当たり前のことでしょっ! よく知りもしない人を好きとかないわ」


 ますます笑い出すウルフ。失礼しちゃうわ。


「じゃあ、俺にもまだチャンスはあるわけだ」


「そうね。私、あなたたちのことも、まだ知らないことだらけだし」



 バタンと音がして後部座席の扉が開いた。話に夢中で、まだ車が出ていなかったんだわ。マヌケ。



 ドアを開けて、入り込んできた人を見れば、晃だった。


「出せ。仁。とりあえず作戦会議だ」


「はい? 何いってんの? 晃」


 晃の言葉に、私が突っ込めば、晃のニヤリとした嗤いが戻ってくる。


「金をどうするのか、お前をどうするのか。俺たち三人は色々と考えないといけないんでな」


 な…。


 思わず口をパクパクさせれば、ウルフが再び笑いだす。


「そうだな。ま、三人で話し合うか」


「ちょ、ちょっと」


「いいですね。男同士の話し合いです」


 遠野まで言い出す。


「ちょっと~。私を無視しないでよ」


 男同士、意気投合した謎の状態のまま、私たちの車は発進したのだった。


Fin.


あとがき…Life goes on.


「誘拐犯の星」にお付き合いいただきましてありがとうございました。きっと彼らはお金を山分けせずに、しばらく寝かせた上で会社を興すとか、なんかそんな感じにするんじゃないかと思います。とりあえず、彼らは幸せってことで幕となりました。


 実はこの小説は私にとって、結構冒険でした。何かというと、その場で書いて長編小説にするという…多くの携帯小説の作者さんがやっている(と思われる)手法をとってみました。


 普段はプロットを作って、ある程度の長さ(一章分ぐらい)を書いてみて、それを修正しながらアップするという手法をとっているのです。原稿用紙10枚程度の短編の場合は、一発書きをすることが多いのですが、これだけの長さを毎回1Pずつ一発書きした感想は、ただ一言。「苦しい」


 本当に苦しかったです。こんなに大変だとは思いませんでした。その場で書き進めている作者さま、尊敬です。


 こちらのサイトで小説を公開するにあたり、ページ区切りを変えたりしていますが、ほとんど最初に書いたときのままです。誤字脱字など気をつけていますが、お気づきになりましたらお知らせください。


 また他の作品でお目にかかれるのを楽しみにしています。


 沙羅咲 拝

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ