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誘拐犯の星  作者: 沙羅咲
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第6章 人生、いろいろ(2)

 そしてお見合い当日。


 よく使用している某有名ホテルの馬鹿みたいに広い一室で、私は綺麗に着飾って、お父様とお母様に挟まれて座っていた。


 なんか凄く馬鹿げていると思うのよね。


「お父様。お相手の方は、お一人でいらっしゃるの? それとも…」


「あちらのお母様は亡くなられていらっしゃるから、お父様とお二人でいらっしゃると伺っているわ」


 お母様が横から口を挟んできた。


 はぁ。


 ため息をついたところで、かちゃりとドアが開いて、案内のホテルの人に続いて入ってきたのは…。


 晃だった。


「お待たせしました」


 晃の後ろには、晃を老けさせた感じの素敵なおじ様。


 晃がすました顔で挨拶をする。


「山科晃です。以後お見知りおきを」


「名前…」


 違う名前に、私が思わず疑問を口にすれば、晃がニヤリと嗤った。


「高崎は母親の姓。本名は山科」


 詐欺よね。うん。詐欺だわ。


 学芸会のほうがまだマシなんじゃないかと思うくらいな両家の挨拶と、歓談の後に「あとはお若い方同士で、お庭の散歩でも」と、これまた決まった台詞を言われた。


 ぽいっとホテルの部屋から出されて、部屋のドアが閉まって…。


私は晃を睨みつけて、口を開こうとしたところで晃の人差し指が私の唇を閉じさせる。


「とりあえず…思惑通り、庭にでもいくか? 積もる話もあるだろうし」


 なんてラフな口調。こんな口調で私に向かって喋る晃なんて、初めて見たわ。


 いろいろ言いたいことはあるけれど、ぐっとこらえて途中階にある空中庭園に、晃のエスコートで移動した。


 そして周りに誰も居ないことを確認する。うん。私たちだけだわ。


「どういうことよ。一体。説明してくれるんでしょうね?」


 腰に手を当てて精一杯睨みつければ、晃が苦笑する。


 笑い事じゃないわよ。


「まあ、座れよ。長い話になる」


 晃は私をつれて、人口的な川の傍にある東屋に行き、中のベンチに腰をかけた。


 ぽんぽんと隣を叩いて座れというように示すから、仕方なく晃の隣に隙間を空けて座れば、晃が再び口を開いた。


「察しているかとは思うが、もともとこの結婚は親同士で取り決めていた」


「そんなとこだろうと思ったわ」


 拗ねたようにいえば、晃が嗤う。


「俺が社長についていたのも、お前の執事になっていたのも、身分を隠した見習いっていうところだ」


 人の気持ちを理解しないお父様らしい用意だわ。思わずため息が出ちゃう。


「なんで? どうしてそんなことになったの?」


 晃が自分の両手を組んで、自分の膝に置く。


「数年前、お前が誘拐されたときがあっただろ?」


 あ~。あれね。あったわね。いまだに犯人は分からず仕舞なのよね。


 晃の言葉が途切れたから、私は晃のほうを見た。綺麗な横顔が、まっすぐ前を見ている。何を見ているのかと思ったけど、特に何もないみたい。


「私が誘拐されたから? だからボディガード?」


「まあ、そうとも言うが、ちょっと違う」


 晃の視線が自分の手に落ちた。


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