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リアル王子  作者: 国見あや
5/8

もう十分だよ!

明日はリアル王子のお祖母様のご葬儀です。

そうなんです。リアル王子のお祖母様は元日にお亡くなりになったのです。93歳の大往生です。今は安らかに眠りについたことでしょう。

そして、私はリアル王子の嫁の立場として、こういう場に行く際の準備であたふたしていました。リアル王子は長男だし、長男に見合う嫁のつつがなさとは?

自分が太ってしまったため着ることができない喪服にため息ついて鏡を見て自分の体型を眺めて自分の醜さを呪いもしました。またデパートのセールで喪服の上のコートとして、と買ったコートが家でよく見たら黒色ではなく、濃紺だったことにもショックを受けました。

着れなくなった喪服をしまい、実家の両親に電話をかけて、家にある母のものを借りることにしました。実家からのお香典をふくさに包み、まだ安心できないまま帰宅。

気になることがいくつかあり、髪を切りに行き、そして喪服の下に黒のタートルはよくない、とマナー本に書いてあり、中に着る黒いインナーセーターを買いに行ったり。でも、あとでネットで調べてみたら、黒タートルに関しては色々賛否両論があるみたいでした。それから近い親族の場合はパールはしなくてよい、とあるのをネットで見たり、色々と慣れないことで翻弄されてしまった私でした。


ところで、じゃ、リアル王子は今どこにいるの?


私が髪を切りに行ったり夕方慌ただしくしている中、リアル王子は仕事の後に瞑想をしていました。そして、今、シトラスヨーグルトジュースを家で私の目の前で飲んでいます。


そして一言。


「もう、十分頑張っているじゃないか!それだけでいいんだよ。」


リアル王子は分かってくれていました。ちょっと呑気で腹が少し立っていた私でしたが力が抜けてきました。何も完璧を周囲が私に望んでいるわけではないのですね。

私は気持ちと準備の上では精一杯頑張りましたが、人の評価はそれだけで決まるわけではないのでしょう。ちょっと気が抜けながらも、少し裾を引っ張られる思いです。


結婚して初めての仏事がリアル王子の実家であり、私が長男の嫁だからしっかり何とかやりこなさなくてはいけない、と気を張っていたのを気付かないフリして全部見ていてくれたリアル王子です。


そして、最後は冗談を言いながら頭を撫でてくれたので、私は悩まず寝るとしましょうか。

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