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1日目。南の村

「さっそく村を創ろうぜ」

 と、ミカンが満面の笑みで言った。

 俺は頷いてから、自分に言い聞かせるように、こう言った。


「もちろんだ。でも、その前に交易ルートを確認しよう」

 そしてルートを描いた。



挿絵(By みてみん)


「まず、NPCの武装商人を、アダマヒアから穂村まで移動させてみよう」

「それで道中を調べるンだな?」


「その通り。モンスターに遭遇するかもしれないからね」

 俺は武装商人に指示を出した。

 武装商人は幌馬車(ほろばしゃ)で、アダマヒアから穂村に向かった。

 それを『早送り』しながら、俺とミカンは観察した。

 ものすごく前のめりである。

 ワクワクしながらである。



「橋を渡って森に入ったな」

「ここら辺はひらけてンだな」

「木を切りにアダマヒアから来ているんだよ。ほら、木こりの小屋がある」

「ほんとだ」


「おっ、山小屋に泊まったぞ。『早送り』の倍速率をあげるか」

「って、カミサマ。良いのかよ?」

「えっ?」

「『早送り』したら、また怒られンぞ?」

 そう言って、ミカンは髪を耳にかけた。

 可愛らしくため息をついて、流し目を送ってきた。

 たぶん、クーラのマネだと思う。……。



「なあ、カミサマ。また怒られンぞ?」

「あーそれなら平気。そのことなら大丈夫だよ」

「ああン?」

「あれから調べたんだって。ワイズリエルがね、数年なら『早送り』しても問題ないって言ってたよ」

「ふうん?」

 そう言ってミカンが、俺の顔をわざとらしく覗きこんだ。

 超至近距離から見つめられた俺は、思わず視線を逸らした。

 するとそこには、ふるんとしたミカンのカッコイイおっぱいが。

 悪魔的な魅力を放つふたふさのおっぱいが、だぶだぶの着物からこぼれ見えていた。


「あっ」

「ああン?」

「ごめん」

「あ? なに謝ってンだ?」

「いやっ」

 俺は上手く説明することができずに、ぎこちない笑みをした。

 するとミカンは思いっきり首をかしげた。

 かるく体当たりするような感じで座りなおし、身を寄せてきた。

 その悪魔的なおっぱいで俺の腕を圧迫した。

 そして、ミカンは俺の肩にちょこんと頭をのせた。



「まあ、いいや」

「……うん」

「はやく進めようぜ」

 そう言ってミカンは、俺の持つコントローラをいじった。

 俺は『早送り』の倍率をあげた。

 すると武装商人はあっという間に、穂村に到着した。


「モンスターや野生動物には遭遇しなかったな」

「問題なさそうじゃん」

「ああ。このままアダマヒアまで帰ってみよう」

 そう言って俺は、武装商人をアダマヒアまで移動させた。

 武装商人は、無事、アダマヒアに到着した。




「だいたい片道1週間くらいかなあ」

「村の予定地まで、アダマヒアから3日ちょっと。穂村からは4日だな」

 と、ミカンは誇らしげに言った。

 俺は頷いて、武装商人を何回か往復させた。

 武装商人は、やはり片道を7日~9日で移動した。

 その際、モンスターには一度も遭遇しなかった。


「まあ、ここら辺はモンスターの棲息エリアに指定してなかったし、アダマヒアの木こりがずっと伐採してたからね」

「だからモンスターがいないのか」


「わざわざ来る必要もないんだろ」

「なんだか物足りねえな?」


「そんなこと言うなよ」

「ああン?」

 ミカンはしゃくるような声をあげ、顔を寄せてきた。

 俺は、今度は挑むように見つめ返してみた。

 すると、ミカンは顔を真っ赤にした。

 照れくさそうに視線を逸らし、ひざの上にコブシをのせた。

 ちょこんと座り直し、前髪を急にイジりはじめた。

 その、いつもとはまるで違うミカンに俺が呆然としていると、ワイズリエルがやってきた。

 ぴょこんと隣に座った。

 そして言った。



「アダマヒアから村の予定地までは、3日ちょっとですねッ☆ これは『東海道中膝栗毛(1802年 著:十返舎一九)』の江戸から箱根までと、ちょうど同じ日数ですッ☆」

「そうなの? じゃあ、それくらいの距離なんだ」


「おそらくッ☆ 『東海道中膝栗毛』の登場人物ヤジ&キタは徒歩の旅ですが、彼らはかなりの健脚ですッ☆ ですから、だいたい同じと考えて()いでしょうッ☆」

「ヤジ&キタって」

 まあ、間違ってはないけれど。

 作品のニュアンスをよく伝えてはいるけれど――と、ぼそっとツッコミを入れると、

「きゃはッ☆」

 ワイズリエルは、ちょこんと舌を出して、バチッとウインクをキメた。

 どうやらツッコミを待っていたようで、とても喜んでいた。





「まあ、それはともかくとして。今から村を創ろうと思うんだけど」

「良いですねッ☆」

「はやくしようぜ」


「じゃあ創っちゃうよ」

「はいッ☆」

 俺は木造家屋を何軒か建てた。

 それと一緒に、畑とそれを守る(さく)も創った。



「ご主人さまッ☆ 最小限の集落を創ったら、まずは宿泊施設として家屋を一軒、山小屋のように開放することをオススメしますッ☆」

「それって、旅人がベッドと炊事場を自由に使えるようにするってこと?」


「はいッ☆ 山小屋やキャンプ場のように――空いてるベッドで寝てください。ご飯が食べたかったら、手持ちの食材を自分で調理してください――というスタイルで、宿を提供するのですッ☆」

「なるほど。それで、まずはこの土地で宿泊する習慣をつけさせるわけか」



「その通りですッ☆ ここで一泊するような日程で旅をさせるのですッ☆」

 そう言ってワイズリエルは、ぷるんと胸をゆらした。

 ワイズリエルは小柄だから、ミカンより全体的に小さいのだけれども、しかし、その胸の迫力はなかなか負けていなかった。


「それで次の段階ですがッ☆ 武装商人に両都市で同行者を募らせます。そうやって、まずはこの村をアダマヒアと穂村で、周知徹底させるのですッ☆」

「そうすれば、ここで働きたい、住みたいという者が出てくる」

「自然と村人が増えンよ」



「その通りです、ご主人さまとミカンさまッ☆」

 ワイズリエルはやわらかく微笑んだ。

 俺は微笑みを返し、彼女の言う通りにした。

 すると簡易宿泊施設は数年で、彼女の言う通りの、ちょっとした集落となった。



挿絵(By みてみん)



「ご主人さまッ☆ これでアダマヒアと穂村の交易は成立しましたッ☆ そして村の運営も安定しはじめましたッ☆」

「じゃあ次に」

「いよいよだな?」

「いよいよだ」


「モンスター討伐(とうばつ)ギルドだな」

 と、ミカンはキラキラと瞳を輝かせて言った。

 ポキポキと指を鳴らし、肩をゆっくりまわしはじめた。


「一番になってやンよ」

 と、ミカンはもうギルド会員になった気でいた。

 というより、いつの間にかモンスターを『討伐(とうばつ)する』ギルドということになっていた。思い込み、決めつけていた。……。



 ちょっと不安感をおぼえた俺とワイズリエルは、釘をさした。

 しかし、テンションの上がり切ったミカンは、なにを言っても上の空(うわのそら)だった。

 俺とワイズリエルは、そんなミカンにふたりして、まるで保護者のようなため息をつくのだった。



――・――・――・――・――・――・――

■神となって2ヶ月と1日目の創作活動■


 南の村を創った。

 ・宿を創った


 ……実は集落の誕生時から、NPCを村長として配置している。しばらくは彼に指示を送り、この村をコントロールしていこうと思う。




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