1日目。男の神が唯一人いる世界で、神は美少女を創り、男と女ができた
神となった俺は、とりあえずの目標を設定した。
それは、あらたに世界を創ること。
いや、ジジイに言われたことそのままなのだが、しかし、このまっ白でなにもない世界に唯一人いるというのも、どうにもヒマだった。
それに、ほかにやることも思いつかなかった。
だから俺は、とりあえず世界を創ることにした。
ジジイの思惑通りに動くことには少し腹もたったけど、すぐにどうでも好くなった。
そこらへん、俺は人間がいい加減にできている。
まあ、今日からは神なのだけれども。……。
さて。
俺がまず最初に創ったのは、それは自分の住居だった。
ベッドと布団、それに机。
あとは適当に壁で囲み、窓も創った。
まあ、窓なんか創っても、景色と呼べるものはなにも見えないのだが、とりあえず付けておいた。
材料も手間もかからないし、いつでも気軽に創りなおすことができるからだ。
一時間後(ちなみに時計も創った)。
こぢんまりとした住居を完成させた俺は、そこで安堵のため息をついた。
そして、次になにをしたら良いのか分からなくなってしまった。
「世界を創れとか言われましても……」
俺はベッドに座り、窓の外の『まっ白』を見た。
そして、深くため息をついた。
窓の外には、ものすごく広大な『まっ白』が、ただあるだけだった。
この『まっ白』は、おそらくは地球ほどの大きさなのだ。
「………………」
俺はそのスケール感に圧倒された。
ウームと唸ったまま、呆然として布団に沈み込んでしまった。
なにから手を付けて良いのか分からない。
が。
しばらくすると、俺は解決策を思いついた。
「まず、頭の良い人間を創ればいい」
そして、そいつに世界の創りかたを訊けばいい。
これは名案だと思った。
俺はさっそく人間を創ることにした。
「どうせ創るなら女の子が好いな」
俺はまず、どんな女の子にするのかを考えた。
・どうせなら美少女が好いな
・膨大な知識をもつ美少女が好いな
・それも素直で俺に従順な美少女だ
・ただし真面目すぎるのも一生懸命なのも勘弁して欲しい
・はげましたりスケジュールを管理したりとかはしないで欲しい
・なぜなら俺は、呑気にゆるふわ日常系な感じで創世したいのだ
などと考える俺は、たぶん不気味に微笑んでいる。
しかし、そんなことは気にすることはない。
だって、この世界には俺のほかに誰も居ないから。
「しかし、それも今日までだ」
俺は自信満々に、目の前の空間を指差した。
そして、誇らしげに言った。
「出でよ、美少女!」
言った後で思ったけれど、人間など創れるのだろうか。
俺に与えられた能力は、そこまでチートなのだろうか。
結論から言うと、それはYESだった。
「うわっ、ほんとに美少女が出た!?」
小柄でアイドルのような小顔。
それに、おでこのショートヘアー。
俺は、突如として出現した美少女に驚いた。
自らが創っておいて、俺は驚いてしまった。
だって驚くだろう、こんなの。
俺に与えられたのは、ガチのチート能力だったのだ。
俺が口をぽかんと開けたままでいると、美少女は目をあけた。
そのネコのようなつり目で、俺を視て、可愛らしく首をかしげた。
しばらくそのままのポーズで考えていたが、やがて美少女は頷いた。
そして、可愛らしくウインクをキメると、ハキハキとした声で言った。
「はじめまして、ご主人さまッ☆」
美少女は、いきなり飛びついてきた。
しかも、驚く俺にくちびるを重ね、
「私に名前をつけてくださいッ☆」
と言って、もう一度キスをした。
俺は、その勢いと屈託のない笑顔に絶句した。
美少女は、そんな俺の表情に満足したのか、
「きゃはッ☆」
と、イタズラな笑みをして、可愛らしくウインクをキメた。