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クーデター7 ~出会い~

                        プロローグ7




 その近づいてきた機械人形ドールは外壁を破り、中で機能が停止している機械人形ドールのセザルの前で動きを止めた。


「(見たことのない機体・・・クーデター側の機体?)」


 アイが見たことのある機械人形ドールでこのような形状をしている機体は記憶にない。

もちろん、この機体に乗っているのはカナタである。

ラスティールの製造は極秘に行われたため、正規で知っている人はほとんどいない。


「・・・えるか?聞こえるか?セザルのパイロット。勝負はもう着いている。コクピットから出てきて、おとなしく投降しろ。こちらの言葉を聞かなければコクピットを破壊する」


 カナタは拡声器越しにセザルのパイロットに話しかける。声の感じからして声をかけているパイロットはまだそんなに歳をとってはいないようだ。

拡声器越しに声をかけてもセザルのパイロットは応答はない。


「応答はないということは投降する気はないと捉えていいんだな。それともコクピット内部で気絶でもしているのか?」


 カナタは聞いた。

再び、反応はない。

あれだけの勢いで王宮の壁を突き破り、突っ込んできたのだ。

その衝撃でコクピット内部で気絶している可能性も否定は出来ない。


「ちっ・・・」


 カナタが舌打ちをする。

少しばかり苛立ちを覚えているようだ。

それからラスティールはセザルに細心の注意を払いながら近づいた。

そしてゆっくりとセザルのコクピット部分に機体の手をかける。

特にセザルから反撃する雰囲気もない。

おそらく、本当にコクピット内部で気絶しているようだ。


ガァガァガァガァガ!!


コクピットの開閉するハッチが無機質な機械音を上げて無理矢理、開けられていくのが分かる。


カシンッ!!


遂にセザルのコクピットのハッチは無惨にも根元から折れてしまった。

カナタはそのハッチを地面に放り投げる。

重厚な音と振動が地面を揺らす。

それからセザルのコクピット内部をカナタは覗きこんだ。

するとゆっくりとコクピット内部に機体の手を入れた。

アイとスメラギはその様子を瓦礫の陰に身を潜め、固唾かたずを飲んで伺っている。

セザルのコクピット内部からラスティールの手が出てきた。

その手にはセザルのパイロットが握られている。全身の力が抜けているため、確実に気を失っているらしい。

ラスティールが握る手に少しでも力を加えると容易に肉片へと姿を変えてしまうだろう。

その時だった。突然、握られているセザルのパイロットに動きがあった。手足をばたつかせ、必死に抵抗している。

目が覚め、自分に起きている状況をどうやら理解したようだ。


「投降は許可するが抵抗は許可しない」


 カナタはそう言うが、抵抗を止めようとしない。


「言ったはずだ、オレは投降は許可したが抵抗はしていないと」


 すると抵抗していたセザルのパイロットの口から悲鳴が上がった。

手足のばたつきも抵抗しているような動きではなく、明らかに外部から力を加えられて苦しんでいる動作だ。

カナタは機体の握る手に力を込めたのだ。


「止めなさいっ!!」


 身体が勝手に動いていた。アイは黙って見ていることが出来ず、ガレキの外に飛び出し、叫ぶ。


セザルのパイロットを握る手に力を入れるのが止まる。


そしてラスティールの頭部の真ん中にあるモノアイのカメラがアイをしっかりと捉えていた。


「あれは・・・姫様・・・」


 カナタがアイの姿を確認してから言葉を漏らした。

すぐにスメラギがラスティールとアイの間に身体を滑り込ませる。


「姫様、突然このようなことをされては困ります」


「でもあんなこと黙って見ていることなんて私は出来ません!!」


 アイが真っ直ぐな瞳で言い返した。スメラギはそんなアイを見て、嬉しく思った。


「(優しすぎる・・・自分の身分をもう少し理解してもらわないと。でも・・・そこがこの人の人となりということか)」


 スメラギは心中でそう感じた。

真っ先に逃げることも出来たがアイはそんなことはしないことをスメラギは分かっていた。


「姫様、貴女をお連れしろとめいが降っています」


 カナタが淡々と命じられた内容を反復するように言った。


「まずはその人を離して、それから降りてきて、名前を名乗ってください。名前の知らない者の言葉を私は聞きたくありません」


「了解いたしました」


 カナタは拡声器越しにそう言うと握っていたパイロットを地面にゆっくりと置く。

握られていたパイロットはその場で仰向けの状態で激しく呼吸を繰り返している。

それからカナタは機体を前屈みにして機体から降りやすい体勢にしてからコクピットハッチを開けて、ゆっくりと姿を二人に晒した。


「ハルカ・カナタと申します。姫様の御前での御無礼大変申し訳ありません」


 カナタは深々と頭を垂れ、平伏する。


「イダンセ国王女、アイ・ナナミである」


 アイはカナタを見下ろしながら毅然なる態度で言い放つ。

アイとカナタ。これが彼女と彼が顔を合わせ、会話を交わした初めての出逢いだった。

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