トラップ
君は知っているかい?
学校にはたくさんの罠が張り巡らされてるんだぜ。
そう、罠だ。俺達を嵌めようとする恐ろしい罠。今、この瞬間も虎視眈々と俺達を狙ってるに違いない。
ゆえに我々は敵の罠から身を守るため、つねに警戒しなければならないのだ。
「…あの、すみません。ハンカチ落としましたよ」
おっとほらみろ、早速罠の予感だぜ。
ここで振り返ってはいけない。それは三流のすることだ。ここは冷静に、落ち着いて、逃げるのだ。
「あの…」
時間がない。カウント行くぞ。
3、2、1…
ダッシュ!!
「あ!…」
走れ走れ!…
…………
ハア…ハア…
ここまで来れば、大丈夫だろう。危ないところだったぜ。きっとあのハンカチは爆弾になっていて、時間差で起爆させるつもりだったに違いない。
「あの…すみません。ブレザー落としましたよ」
またか!くそう、体力がなくなったところで罠に嵌めようとするなんて……卑怯な!
「あのー…聞こえてます?」
……仕方ない。こうなった以上少々手荒いがベルトで敵を拘束するしかないようだな!
カウント行くぞ
3、2、1……おら!
「きゃ!…え、ちょっと何するんですか!……あ、ま、待ちなさいよ!」
ええい……走れ走れ……!
ハア…ハア…
こ、ここまで来れば大丈夫だろう。きっとあのブレザーには催眠ガスが仕込まれていたに違いない!危ないとこだったぜ。
しかし今日はやけに敵が多い…。
「お、おい、そこのお前!落としもの…」
…ふふ流石にしつこいな。しかし甘く見てもらったら困るぜ。ただ闇雲に逃げていたわけじゃない。
ここは既に昇降口だ。
逃走ルートを確保しておいてよかった。
「おいってば!」
カウント行くぞ!
3、2、1…
ダッシュ!
「マジかよ…あいつズボン置いて行きやがった…」